女嫌いの旦那様、その愛本物ですか?

カエデネコ

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(番外編)嫉妬心は憎しみとなる ①

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 なんでいつもこうなんだ?あいつは小さい頃から褒められ可愛がられている。

「アルバート!聞いたぞ。王立学院の首席だと!?すごいじゃないか」

 また!?またか!?父である王が皆の前で、アルバートを褒める。天使のような微笑みで、たいしたことではありませんと返事をする。あざとくないか!?その微笑みは!?

「それにひきかえオースティンは首席どころか……こないだ授業をさぼっていたことがわかってな。オースティン!アルバートは頑張っているぞ。おまえはアルを見習え!将来王になるのだから……」

 くどくどくどくどと父の説教は続く。アルバートは困った顔をしている。そんな表情すらわざとらしく見える。

 アルバートめ……勉学など適当にしておけばいいのに、真面目に取り組むから、比較されるこっちの身にもなれ!

 そう毒づきたかった。……が、アルは陛下に向かって言ったのだ。

「陛下、もうそのへんで……オースティン殿下は体調が悪かったんでしょう?そうですよね?」

 元気すぎるほどだ!おまえ!それでかばったつもりかよおおお!恩を売ってるつもりかよおおお!

 おもしろくない。おもしろくなさすぎて、プイッとその場から去った。父のオースティン!と叱責するような声が聞こえたが知ったことか!

 小さい頃から欲しいものはすべて手に入れてきた。しかし、アルバートの持っている能力だけは手に入らない。人を魅了するような微笑みと綺麗な顔立ち、嫌味のない気品がある雰囲気。天性のものだろう。もしあいつが弟だったらとゾッとする。いやいや、公爵家の坊っちゃんだから、王位継承権がないわけでもない。

 面白くない。
  
 本当に面白くない。

 あいつだけには負けたくない。

「あれ?オースティン殿下ですか?どうしたんですか?こんなところまできて?」

 ハッと気づくと騎士の宿舎の入り口のほうへ来ていた。外出しようとしている騎士たちがいた。

「あ、いや……」

 怒りの勢いだけでここまできたとは言えず、ふと視線をそらす。そらした先にはちょうど城下町の門が開かれており、町の景色が見えた。ウキウキとした騎士たちの雰囲気すら妬ましくなってしまう。

 門のところに立っている女性にふと気づいた。

「ん?あれは誰だ?」

 騎士の1人がデヘヘへと照れたように笑う。

「自分の彼女なんですよ!勤務時間が終わるのを待ってくれていて、今から街で遊ぶ予定です」

 その女性と目が合った。キリッとした強い目、赤色唇。豊満な胸と女性らしい雰囲気だった。

 幸せそうな騎士を見て、思った。

 ちょっとからかってやろう。

「おい。そこの女、騎士よりも王子と遊びたくないか?」

『オースティン殿下!?』

 騎士たちが叫ぶ。自分の彼女なんですよと言った男は状況が読めず、呆然としている。

 女性は王子!?と聞いて目を輝かせる。ほらな。なんでも手に入る。簡単なことだ。

「殿下!それはあまりにも……」

 騎士の一人が声をかけてきた。うるさいなと横目でにらみつけて、女性の手を掴む。そして城の中へ悠々と手を繋いで入っていく。騎士たちがざわめいているが、かまうか。

 なんだって手に入る。

 アルバートめ。いつかおまえの物も奪ってやるからな!!
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