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隠し事の牛丼
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スーパー『ヤスイチ』の袋を片手に持ち、あたしにハイと渡すイケメン魔王様。
「え!?………えええっ!?」
「食いたいから、材料を買ってきた」
自分で!?!?
あたしが驚いていると、顔を赤くして言う。
「なんだ!?別にいいだろう!?会員カードをルドルフがくれて、ポイントとというものもつけてきたぞ!!」
ありがたく思え!と恩着せがましく言って、ルドルフに会員カードを返している。
………人の世界に馴染みすぎだろう。
袋の中をのぞくと、牛肉、玉ねぎ、紅生姜……わかった!何が食べたいのかわかりました!
「魔王様の食べたいもの……それは牛丼ね!?」
「正解だ」
頷いた。30キロの米袋を片手でヒョイッと持ち、ドサッと置く。何杯食べる気!?お米はこんなに使わない。しかし保存できて、カレーの日のためにあると助かるし、ありがたいけど……と大量のお米を眺める。
「じゃあ、腕をふるわせてもらいます!」
魔王様チョイスの高価そうな牛肉を食べやすい大きさに切る。玉ねぎが目に染みてウルウルしつつも切り終えた。意外とシンプルなんだよね。
ジュワッと牛肉を焼き、色がついた頃に玉ねぎを入れる。みりん、砂糖、醤油、だし汁っと……味付けをしていく。
「あー、お腹すいたーっ!」
ルドルフが甘辛い匂いに我慢できなくなっている。炊きたてご飯にのっける。
「どうぞ!今日はお好みで温泉卵をのっけてもいいですよ!」
温泉卵を用意しておく。からめて食べると美味しいのだ。
「僕はそのままナチュラルにいただくよ!」
「オレはのせよう!」
魔王様はとろっとした温泉卵と赤い生姜を牛丼にトッピングした。
カッカッカッ!とかっこんでいく2人。食べっぷり良いなぁと見ているあたしのほうが気分が良くなる。
「急に食べたくなった!」
そう言う魔王様にルドルフは僕のオムライスみたいなものですねとモゴモゴと口を動かしながら言った。
ひと息ついて、ほうじ茶を淹れる。
食後のまったりとした空気。
「魔王様とルドルフとサシャはあたしに何か隠してない?」
なんのことだ?ととぼける魔王様。ルドルフは目をそらしている。
「このネックレスをつけてから魔法が使えるようになった気がするんだけど?」
シンとする室内。
「気の所為だろ。さーて、仕事仕事」
魔王様はさっさといなくなる。入れ替わりに、魔王様!仕事してくださいよ!とサシャが入ってきた。
「もうっ!」
あたしが答えてくれなくて怒っているとどうしたんです?とサシャが尋ねてきた。
魔法の力についてサシャに言うと、魔王様の許可なく話せないと言う。
「ただ……詳しくは言えませんが、アナベルと婚約したのはマナのためだったんですよ。敵をあぶり出すための策の一つです。結果、クーザイン家はそこまでの敵ではなかったようですが……まだ敵はいます。魔王様はいろいろ考えられているんじゃないかと思います」
信じてあげてくださいと付け加えて去っていくサシャ。魔王様の腹心と呼ばれるサシャは何もかもお見通しなのかもしれない。なんだか羨ましい。
「なんで教えてくれないのかなぁ?」
腕組みをするあたし。死にかけたあたしを助けてくれたり他の魔族たちから守ってくれたり魔王様を信じていないわけじゃない。
右手で不思議なネックレスを弄ぶ。ルドルフが言った。
「僕の首がとぶから、頼むから大人しくしててよね」
……そうだった。前回、怒られたルドルフ。大丈夫よと言いつつもスッキリしないあたしは嘆息したのだった。
「え!?………えええっ!?」
「食いたいから、材料を買ってきた」
自分で!?!?
あたしが驚いていると、顔を赤くして言う。
「なんだ!?別にいいだろう!?会員カードをルドルフがくれて、ポイントとというものもつけてきたぞ!!」
ありがたく思え!と恩着せがましく言って、ルドルフに会員カードを返している。
………人の世界に馴染みすぎだろう。
袋の中をのぞくと、牛肉、玉ねぎ、紅生姜……わかった!何が食べたいのかわかりました!
「魔王様の食べたいもの……それは牛丼ね!?」
「正解だ」
頷いた。30キロの米袋を片手でヒョイッと持ち、ドサッと置く。何杯食べる気!?お米はこんなに使わない。しかし保存できて、カレーの日のためにあると助かるし、ありがたいけど……と大量のお米を眺める。
「じゃあ、腕をふるわせてもらいます!」
魔王様チョイスの高価そうな牛肉を食べやすい大きさに切る。玉ねぎが目に染みてウルウルしつつも切り終えた。意外とシンプルなんだよね。
ジュワッと牛肉を焼き、色がついた頃に玉ねぎを入れる。みりん、砂糖、醤油、だし汁っと……味付けをしていく。
「あー、お腹すいたーっ!」
ルドルフが甘辛い匂いに我慢できなくなっている。炊きたてご飯にのっける。
「どうぞ!今日はお好みで温泉卵をのっけてもいいですよ!」
温泉卵を用意しておく。からめて食べると美味しいのだ。
「僕はそのままナチュラルにいただくよ!」
「オレはのせよう!」
魔王様はとろっとした温泉卵と赤い生姜を牛丼にトッピングした。
カッカッカッ!とかっこんでいく2人。食べっぷり良いなぁと見ているあたしのほうが気分が良くなる。
「急に食べたくなった!」
そう言う魔王様にルドルフは僕のオムライスみたいなものですねとモゴモゴと口を動かしながら言った。
ひと息ついて、ほうじ茶を淹れる。
食後のまったりとした空気。
「魔王様とルドルフとサシャはあたしに何か隠してない?」
なんのことだ?ととぼける魔王様。ルドルフは目をそらしている。
「このネックレスをつけてから魔法が使えるようになった気がするんだけど?」
シンとする室内。
「気の所為だろ。さーて、仕事仕事」
魔王様はさっさといなくなる。入れ替わりに、魔王様!仕事してくださいよ!とサシャが入ってきた。
「もうっ!」
あたしが答えてくれなくて怒っているとどうしたんです?とサシャが尋ねてきた。
魔法の力についてサシャに言うと、魔王様の許可なく話せないと言う。
「ただ……詳しくは言えませんが、アナベルと婚約したのはマナのためだったんですよ。敵をあぶり出すための策の一つです。結果、クーザイン家はそこまでの敵ではなかったようですが……まだ敵はいます。魔王様はいろいろ考えられているんじゃないかと思います」
信じてあげてくださいと付け加えて去っていくサシャ。魔王様の腹心と呼ばれるサシャは何もかもお見通しなのかもしれない。なんだか羨ましい。
「なんで教えてくれないのかなぁ?」
腕組みをするあたし。死にかけたあたしを助けてくれたり他の魔族たちから守ってくれたり魔王様を信じていないわけじゃない。
右手で不思議なネックレスを弄ぶ。ルドルフが言った。
「僕の首がとぶから、頼むから大人しくしててよね」
……そうだった。前回、怒られたルドルフ。大丈夫よと言いつつもスッキリしないあたしは嘆息したのだった。
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