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怠惰な王妃の戦いの理由
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クラーク家で何も考えずに寝て過ごしたらしく、ツヤツヤスッキリのリアン。
王宮に戻ってきても、今までの分を取り戻すかのようにゴロゴロしている。やはり怠惰はサイコーねとお茶とお茶菓子をアナベルに用意させて幸せそうに微笑む。ソヨソヨと心地よい風が庭園を吹き抜けた。
「けっきょく痴話喧嘩じゃないですか。心配した我々の身にもなってください」
オレの後ろに控えてるセオドアの言葉になんか……静かな怒りを感じるぞ?
「心配してくれたの?」
リアンがクスクス笑う。すっかり元気になって、顔色も良い。別に心配など……とセオドアは少し顔を赤くし、それ以上は喋らなくなった。
「さて、リアン、次は大人しく留守番だ」
オレがそういうとあからさまに不満気な顔をするリアン。それでやっぱりな……と気づく。
「リアン、オレが怒らなかったら自分が交渉に行くつもりだったな?」
「え、うん。まぁね……でも私がリアムってみんなにバレちゃったものね。行けないわよね」
あの変装でバレないと思ってたのか……とセオドアが小さくそう言った。
「コンラッド王子を送ってくるだけだから、頼むから後宮で大人しくしていろよ!?」
リアンはわかったわと頷いた。……反省、したのかな?してるのかな?いや、絶対してない気がするんだが?なんだかオレばかり心配してる気がする。
そうだ。まだ心配の種は増えた。
コンラッド王子が帰る前にリアンに会いたいと言った。なんの用だ?恨みに思ってないよな?とオレは最大限警戒し、セオドアも同席させた。
しかし……恨みどころか。
「リアン王妃に完敗でした。また機会があったらチェスをしてもらえませんか?他にもぜひいろいろ教えてもらいたいです」
うん?あれ?
「え?ええ……いいですけど……?」
リアンが戸惑う。
「ウィルバートはなんて退屈な王妃を娶ったと思いましたが、とんでもなかったです。ぜひウィルバートに飽きたら、我が妻に迎えたい。もしこの国の王妃が嫌になるようなことがあれば、このコンラッドを思い出して頂けますか?」
『えっ……』
オレとリアンの声がハモった。
「あなたのその才能、もっと大きな国でいかされるべきです。もちろん、女性としても魅了的だと思います。特にその宝石のような緑の目が美しいです」
スッとリアンの手を取り、手の甲にキスをした。
セオドアが剣を抜こうとして、三騎士が手を伸ばそうとして………止まった。皆が固まった。
オレはハッと我に返り、慌ててリアンの手を取り、隠す。
「コ、コンラッド!おまえ!なにをしてるんだ!?」
にっこりと笑う銀髪の青年はオレに視線をぶつける。
「その王妃、欲しくなりました」
「なんだって!?」
リアンは!?と横を見ると固まっている。お……おい?
「アハハッ。……ウィルバート、このギャップが可愛すぎるんですね。なんだかわかる気がします。戦いの時は凛々しいのに……そっか……恋愛となるとこうなるんですね。弱点みつけてしまいましたか?」
無邪気にコンラッドが笑い出す。
「わ、わからなくていい!理解するな!」
慌てるオレ。ピクッと動き出し、復活するリアン。
「な、なにを言ってるのよ!?」
オレとリアンの動揺を楽しそうに交互に見るコンラッド。
「良いですね。なかなか……王族で恋をするなどできないものです。大抵は叶わず許されない恋ですよ。リアン王妃が必死でウィルバートと自分の恋を守ろうとした……そんな戦でもあったのでは?」
カツーンとリアンの手から扇子が落ちた。
えっ………?
ええええっ?
まさか……リアン、あんなにかっこよくキングを守る!って……かっこよく戦略をたてて……。
「あ……えっと………その………」
カアアアと顔を赤くしている。
「やはりそうでしたか。はあ……速攻で失恋ですか。まあ、人妻ですし、ウィルバートに斬られても嫌ですから……良いんです」
悲しそうにしつつもコンラッド王子はここぞとばかりに逆襲してきた。リアンは赤い顔のままちらりとオレを見た。
本気で!?恋を守るってオレとの!?
可愛すぎる………ここに誰もいなければいいのになーと思うのだった。今直ぐギュッと抱きしめたい気持ちになる。
「陛下、呆けてる場合ですか?」
セオドアが甘い場の空気に耐えられなくなったらしく、見かねてぼそっと言う。
「あ、いやー、まあ……リアンは渡さないぞ!じゃなくて……」
オレはコホンと咳払いし、王の顔へ戻す。
「コンラッド、そちらの王にオレも挨拶をしに行こうと思う」
「ウィルバートが自らですか!?……父王がなにするかわかりませんよ?」
「セオドア、エリックを連れて行く。この二人の腕に敵うものは滅多にいないからな」
ジイイイとリアンが私も行きたいのにとあきらめきれない視線を送ってくるが無視だ!
「エイルシア王国に手を出させない」
オレはハッキリとリアンに向かって言う。
「くっ……なんで私を置いて行くのかしら?一緒に行きたい……っ!」
「お嬢様!いい加減にしてくださいっ!」
「リアン様、陛下の心配するお気持ちを察してください」
リアンが悔しげに呟いて、アナベルに叱られ、セオドアにも苦言を言われる。オレはその様子を見て、苦笑した。
「リアン、一つ謝っておくよ。王妃にしてしまってごめん。きっと王妃じゃなければ、リアンは宰相や参謀になっていたかもしれない」
その言葉にキョトンとし、そしてクスクス笑い出すリアン。
「私は私達の日常を守りたいだけだもの。あなたとの怠惰な日常をね」
そんな役職は望んでないわと、怠惰なふりをしている王妃は言った。
「気をつけて行ってきてね……私、ここで怠惰に過ごして待ってるわ」
輝く笑顔とエメラルド色の瞳にオレは安心して………いや、そんなわけはなく。
しっかりと他の者たちにリアンが王宮内に!後宮に!いるように頼むぞっ!と念を押して国を留守にしたのだった。
王宮に戻ってきても、今までの分を取り戻すかのようにゴロゴロしている。やはり怠惰はサイコーねとお茶とお茶菓子をアナベルに用意させて幸せそうに微笑む。ソヨソヨと心地よい風が庭園を吹き抜けた。
「けっきょく痴話喧嘩じゃないですか。心配した我々の身にもなってください」
オレの後ろに控えてるセオドアの言葉になんか……静かな怒りを感じるぞ?
「心配してくれたの?」
リアンがクスクス笑う。すっかり元気になって、顔色も良い。別に心配など……とセオドアは少し顔を赤くし、それ以上は喋らなくなった。
「さて、リアン、次は大人しく留守番だ」
オレがそういうとあからさまに不満気な顔をするリアン。それでやっぱりな……と気づく。
「リアン、オレが怒らなかったら自分が交渉に行くつもりだったな?」
「え、うん。まぁね……でも私がリアムってみんなにバレちゃったものね。行けないわよね」
あの変装でバレないと思ってたのか……とセオドアが小さくそう言った。
「コンラッド王子を送ってくるだけだから、頼むから後宮で大人しくしていろよ!?」
リアンはわかったわと頷いた。……反省、したのかな?してるのかな?いや、絶対してない気がするんだが?なんだかオレばかり心配してる気がする。
そうだ。まだ心配の種は増えた。
コンラッド王子が帰る前にリアンに会いたいと言った。なんの用だ?恨みに思ってないよな?とオレは最大限警戒し、セオドアも同席させた。
しかし……恨みどころか。
「リアン王妃に完敗でした。また機会があったらチェスをしてもらえませんか?他にもぜひいろいろ教えてもらいたいです」
うん?あれ?
「え?ええ……いいですけど……?」
リアンが戸惑う。
「ウィルバートはなんて退屈な王妃を娶ったと思いましたが、とんでもなかったです。ぜひウィルバートに飽きたら、我が妻に迎えたい。もしこの国の王妃が嫌になるようなことがあれば、このコンラッドを思い出して頂けますか?」
『えっ……』
オレとリアンの声がハモった。
「あなたのその才能、もっと大きな国でいかされるべきです。もちろん、女性としても魅了的だと思います。特にその宝石のような緑の目が美しいです」
スッとリアンの手を取り、手の甲にキスをした。
セオドアが剣を抜こうとして、三騎士が手を伸ばそうとして………止まった。皆が固まった。
オレはハッと我に返り、慌ててリアンの手を取り、隠す。
「コ、コンラッド!おまえ!なにをしてるんだ!?」
にっこりと笑う銀髪の青年はオレに視線をぶつける。
「その王妃、欲しくなりました」
「なんだって!?」
リアンは!?と横を見ると固まっている。お……おい?
「アハハッ。……ウィルバート、このギャップが可愛すぎるんですね。なんだかわかる気がします。戦いの時は凛々しいのに……そっか……恋愛となるとこうなるんですね。弱点みつけてしまいましたか?」
無邪気にコンラッドが笑い出す。
「わ、わからなくていい!理解するな!」
慌てるオレ。ピクッと動き出し、復活するリアン。
「な、なにを言ってるのよ!?」
オレとリアンの動揺を楽しそうに交互に見るコンラッド。
「良いですね。なかなか……王族で恋をするなどできないものです。大抵は叶わず許されない恋ですよ。リアン王妃が必死でウィルバートと自分の恋を守ろうとした……そんな戦でもあったのでは?」
カツーンとリアンの手から扇子が落ちた。
えっ………?
ええええっ?
まさか……リアン、あんなにかっこよくキングを守る!って……かっこよく戦略をたてて……。
「あ……えっと………その………」
カアアアと顔を赤くしている。
「やはりそうでしたか。はあ……速攻で失恋ですか。まあ、人妻ですし、ウィルバートに斬られても嫌ですから……良いんです」
悲しそうにしつつもコンラッド王子はここぞとばかりに逆襲してきた。リアンは赤い顔のままちらりとオレを見た。
本気で!?恋を守るってオレとの!?
可愛すぎる………ここに誰もいなければいいのになーと思うのだった。今直ぐギュッと抱きしめたい気持ちになる。
「陛下、呆けてる場合ですか?」
セオドアが甘い場の空気に耐えられなくなったらしく、見かねてぼそっと言う。
「あ、いやー、まあ……リアンは渡さないぞ!じゃなくて……」
オレはコホンと咳払いし、王の顔へ戻す。
「コンラッド、そちらの王にオレも挨拶をしに行こうと思う」
「ウィルバートが自らですか!?……父王がなにするかわかりませんよ?」
「セオドア、エリックを連れて行く。この二人の腕に敵うものは滅多にいないからな」
ジイイイとリアンが私も行きたいのにとあきらめきれない視線を送ってくるが無視だ!
「エイルシア王国に手を出させない」
オレはハッキリとリアンに向かって言う。
「くっ……なんで私を置いて行くのかしら?一緒に行きたい……っ!」
「お嬢様!いい加減にしてくださいっ!」
「リアン様、陛下の心配するお気持ちを察してください」
リアンが悔しげに呟いて、アナベルに叱られ、セオドアにも苦言を言われる。オレはその様子を見て、苦笑した。
「リアン、一つ謝っておくよ。王妃にしてしまってごめん。きっと王妃じゃなければ、リアンは宰相や参謀になっていたかもしれない」
その言葉にキョトンとし、そしてクスクス笑い出すリアン。
「私は私達の日常を守りたいだけだもの。あなたとの怠惰な日常をね」
そんな役職は望んでないわと、怠惰なふりをしている王妃は言った。
「気をつけて行ってきてね……私、ここで怠惰に過ごして待ってるわ」
輝く笑顔とエメラルド色の瞳にオレは安心して………いや、そんなわけはなく。
しっかりと他の者たちにリアンが王宮内に!後宮に!いるように頼むぞっ!と念を押して国を留守にしたのだった。
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