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待ち人来たりて
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少し国を離れていただけなのに、懐かしく感じるのはなぜだろう?街や城を見るとそう感じた。そしてオレは馬車から降りて久しぶりに会うリアンをみつけた。
「ただいま」
おかえりなさいとリアンが微笑むと思ったが、思ってもいない行動に出た。いきなりオレの体に飛び込んできた。子どものようにぎゅっと抱きしめてきて、オレは驚いた。
「遅い!遅いわよ!」
「そんなに……心配かけたかなぁ?」
「私の計算より2日も遅いのよっ!怪我してないわよね!?どこも悪くないわよね!?」
いつも平気な顔しているリアン。だけど今回は戦からずっと心配をかけていた。オレだってリアンのこと心配していたけれどなとそっと頭を撫でた。互いに互いのことを気に掛ける存在がいるという嬉しい気持ちをどう表現したらいいんだろう。リアンに会うと心が満たされていく。最近ずっと殺伐としていたから。
「悪かった。帰ろうと思ったら、コンラッドに引き止められてさ」
帰る日を計算しているのがリアンらしいけど、余計に不安になるだろうと笑いたくなるが、それが彼女の性分なのだろう。
「概ね、うまくいっただろう?」
そのオレの言葉にリアンは顔をあげて体を離す。眠れなかったのか、彼女の目が赤い。
「リアンこそ襲撃は大丈夫だったか?……いや、一応報告は受けてるけど」
「えーと、腕のいい大工さんを頼んでおいたわ」
あ……やっぱり……後から損害を受けた場所を見てこよう。
「申し訳ありません。リアン様の力を使わずに済ませたいところでしたが……」
トラスが謝る。
「トラス、気にするな。リアンの力を示す機会にしただけだ」
どういうことですか?と聞き返すトラス。リアンがニッコリ微笑む。先ほど一瞬見せた弱気で不安な顔はどこかへ消えて、自信に満ち溢れている。得意分野にはとことん強気だ。
「王妃は魔法が使えるし、暗殺者なんて返り討ちよ!と、力を示しておけば、今後狙われることも減るでしょう?」
「そういうことだ。でも宰相に想定していたことは、内緒にしといてくれ。修繕費のことで怒られる」
この修繕費ってなんの予算ですか?と不審に思っていたからな……想定通りなんだと言ったら怒られる。
「……呆れます。二人共、いたずら後の子どものような顔をしています」
トラスが苦々しく笑った。
「しかし、だいぶ陛下はお優しい方法をとったなぁ。その分、こっちが猛烈に働きましたけどね!」
エリックがそう言って笑う。
「わざわざダレン副将軍の像を作るなんてね。壊しても良かったのでは?」
三騎士の中で一番可愛い顔をしていて、一番過激なんだよな。確かにエリックに、かなり暗躍してもらった。
「それはダメよ。ダレン副将軍はあちらの兵にとても人気がある方だし、殺してしまえば私たちの国に反発心を与えることになるわ。せっかくウィルバートと中の良いコンラッド殿下が即位するのに……長く友好を保っていきたいのよ」
「50年、100年単位でリアンは物事を見ているからな。優しいというより、そういうことだな」
リアンの説明にオレが付け足すとなるほど、とエリックが納得したようだった。
「以前なら壊していたの?」
リアンがふとオレに尋ねる。
「かもしれないな。でもこれからも必要ならば……オレはするだろうな」
悲しい顔をするかと思いきや、リアンはそうなのねと言って、嘆息する。
「王様は大変ね」
「大変だよ。と、いうわけで、リアン、オレ達、ちょっと夏休みをもらわないか?」
え!?と周囲が驚く。リアンも目を丸くした。
「1日だけだけど、近くの避暑地の離宮を用意させた。戦からずっと二人の時間がなかったからな」
「ウィル!意外だわ。想定外だわ!」
なに言ってるの!仕事しなさいよと怒るかと思ったら、こっちも想定外だったよと思ったが、口にしない。彼女がとてもうれしい顔をしていて、オレもすごくうれしくなる。
離れていた分だけ、お互いに素直になれるようだった。
一日だけの夏休みをオレとリアンはとることにした。
「ただいま」
おかえりなさいとリアンが微笑むと思ったが、思ってもいない行動に出た。いきなりオレの体に飛び込んできた。子どものようにぎゅっと抱きしめてきて、オレは驚いた。
「遅い!遅いわよ!」
「そんなに……心配かけたかなぁ?」
「私の計算より2日も遅いのよっ!怪我してないわよね!?どこも悪くないわよね!?」
いつも平気な顔しているリアン。だけど今回は戦からずっと心配をかけていた。オレだってリアンのこと心配していたけれどなとそっと頭を撫でた。互いに互いのことを気に掛ける存在がいるという嬉しい気持ちをどう表現したらいいんだろう。リアンに会うと心が満たされていく。最近ずっと殺伐としていたから。
「悪かった。帰ろうと思ったら、コンラッドに引き止められてさ」
帰る日を計算しているのがリアンらしいけど、余計に不安になるだろうと笑いたくなるが、それが彼女の性分なのだろう。
「概ね、うまくいっただろう?」
そのオレの言葉にリアンは顔をあげて体を離す。眠れなかったのか、彼女の目が赤い。
「リアンこそ襲撃は大丈夫だったか?……いや、一応報告は受けてるけど」
「えーと、腕のいい大工さんを頼んでおいたわ」
あ……やっぱり……後から損害を受けた場所を見てこよう。
「申し訳ありません。リアン様の力を使わずに済ませたいところでしたが……」
トラスが謝る。
「トラス、気にするな。リアンの力を示す機会にしただけだ」
どういうことですか?と聞き返すトラス。リアンがニッコリ微笑む。先ほど一瞬見せた弱気で不安な顔はどこかへ消えて、自信に満ち溢れている。得意分野にはとことん強気だ。
「王妃は魔法が使えるし、暗殺者なんて返り討ちよ!と、力を示しておけば、今後狙われることも減るでしょう?」
「そういうことだ。でも宰相に想定していたことは、内緒にしといてくれ。修繕費のことで怒られる」
この修繕費ってなんの予算ですか?と不審に思っていたからな……想定通りなんだと言ったら怒られる。
「……呆れます。二人共、いたずら後の子どものような顔をしています」
トラスが苦々しく笑った。
「しかし、だいぶ陛下はお優しい方法をとったなぁ。その分、こっちが猛烈に働きましたけどね!」
エリックがそう言って笑う。
「わざわざダレン副将軍の像を作るなんてね。壊しても良かったのでは?」
三騎士の中で一番可愛い顔をしていて、一番過激なんだよな。確かにエリックに、かなり暗躍してもらった。
「それはダメよ。ダレン副将軍はあちらの兵にとても人気がある方だし、殺してしまえば私たちの国に反発心を与えることになるわ。せっかくウィルバートと中の良いコンラッド殿下が即位するのに……長く友好を保っていきたいのよ」
「50年、100年単位でリアンは物事を見ているからな。優しいというより、そういうことだな」
リアンの説明にオレが付け足すとなるほど、とエリックが納得したようだった。
「以前なら壊していたの?」
リアンがふとオレに尋ねる。
「かもしれないな。でもこれからも必要ならば……オレはするだろうな」
悲しい顔をするかと思いきや、リアンはそうなのねと言って、嘆息する。
「王様は大変ね」
「大変だよ。と、いうわけで、リアン、オレ達、ちょっと夏休みをもらわないか?」
え!?と周囲が驚く。リアンも目を丸くした。
「1日だけだけど、近くの避暑地の離宮を用意させた。戦からずっと二人の時間がなかったからな」
「ウィル!意外だわ。想定外だわ!」
なに言ってるの!仕事しなさいよと怒るかと思ったら、こっちも想定外だったよと思ったが、口にしない。彼女がとてもうれしい顔をしていて、オレもすごくうれしくなる。
離れていた分だけ、お互いに素直になれるようだった。
一日だけの夏休みをオレとリアンはとることにした。
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