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これは怠惰なピクニック?
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ウィルが突然ピクニックに行こうと言い出した。
「まあ、近場で城内の小さい森なんだけどね」
そう言った森はなかなか大きく、狩りもできる規模で、湖もあった。ぐるりと見回す。
「どこが小さいのよ!?」
思っていた以上すぎるほどだ。これだから王族は……と思ったけど口には出さずに半眼になる。
湖の真ん中には小さな島がある。透き通っているきれいな水を覗き込むと小魚や小さなカニがいた。水をすくうと、さっと散っていく魚たち。空を映す湖面。
「きれいな場所ね。知らなかったわ」
「狩りで遊ぶための森なんだ。水鳥もいる」
「突然、ピクニックなんてどうしたの?」
私が振り返って尋ねると、ウィルが苦笑いしながら答える。
「忙しくてリアンとの時間がない!怠惰にすごしたい!って煮詰まっていたら、半日休んだほうがいいとセオドアが……」
「セオドアが休みを勧めたの?珍しいわね」
セオドアがそんなこというなんて。仕事優先で淡々としている彼だけど……。
「まぁね。『ブツブツ文句言ってる時間がもったいないので、半日休みをとるほうが効率上がります』って言われた」
あ、そういう意味なのね。
それにしてもピクニックって聞いていたのだけど、これはいったい……。
「リアン、好きなだけ好きなもの頼むと良いよ」
ニッコリ微笑むウィル。テーブルが設置されたそこにはズラッと並んだケーキに焼き菓子やシェフがすぐ作れるように鉄板やフライパンを前にし立っている。給仕係もいる。
「思っていたピクニックとはちょっと違うけど……」
「え?そう?狩りをしたり釣りをしたりして、その場で食べたいなら、すぐ調理してくれたりするし、ゆっくりお茶をしてもいいし万全だろ」
そのあたりの価値観が微妙に違う!ちょっとしたピクニックって言ってたのに、ガーデンパーティのようだと囲むテーブル、使用人たちに私は頬がひきつる。
しかし、良かれと思ってしてくれたのは間違いない。
「えーと……まぁ……準備してくれてありがとう」
どういたしましてと満足そうに言うウィルは完璧なセッティングだ!と思っていそうだ。ピクニックシートを敷いてる私のイメージはとりあえず頭の片隅に置いておく。
設置された椅子に座る。テーブルの上に生クリーム付きのパンケーキやブランデーケーキ、クッキー、ジャムが添えられたスコーン、フルーツなどが運ばれた。
「はー、やっぱりのんびりとリアンとお茶するのはいいね」
ウィルは穏やかな顔になっている。最近ずっと忙しいものねと私もお茶を片手に頷いた。
「湖で釣りでもするかい?」
「釣り!?それは怠惰なのかしら?」
「師匠はボーッと釣れないけど釣り糸を垂らしているから怠惰に入るんじゃないかな?」
「そう言われたら、師匠はボーッと釣りしてるわね」
ぼんやりと湖面をみつめながら考えごとしている師匠の姿が思い出された。
「じゃあ、してみる?」
私とウィルは立ち上がる。
……そしてその十分後。
「見て!私、釣れたわよ!」
「オレはもう3匹目だ!」
「なんですってー!負けないわよ!」
ニヤッとウィルは人の悪い笑いを浮かべる。
「オレは幼い頃から、この湖で釣りをしていた!この釣り勝負はリアンに勝てる気がする!」
「私の勝負の運を甘くみないで!ここからよ!」
いつしかバチバチの釣り勝負になっていた。怠惰を忘れて釣りをしてしまったことに気づいたのはずいぶんたってからだった。
そして怠惰にリアンと過ごす予定だったんだけどなぁとウィルもまた夕食に出た二人で釣った魚が料理されたものを見て、腑に落ちない顔をし、呟いていたのだった。
「まあ、近場で城内の小さい森なんだけどね」
そう言った森はなかなか大きく、狩りもできる規模で、湖もあった。ぐるりと見回す。
「どこが小さいのよ!?」
思っていた以上すぎるほどだ。これだから王族は……と思ったけど口には出さずに半眼になる。
湖の真ん中には小さな島がある。透き通っているきれいな水を覗き込むと小魚や小さなカニがいた。水をすくうと、さっと散っていく魚たち。空を映す湖面。
「きれいな場所ね。知らなかったわ」
「狩りで遊ぶための森なんだ。水鳥もいる」
「突然、ピクニックなんてどうしたの?」
私が振り返って尋ねると、ウィルが苦笑いしながら答える。
「忙しくてリアンとの時間がない!怠惰にすごしたい!って煮詰まっていたら、半日休んだほうがいいとセオドアが……」
「セオドアが休みを勧めたの?珍しいわね」
セオドアがそんなこというなんて。仕事優先で淡々としている彼だけど……。
「まぁね。『ブツブツ文句言ってる時間がもったいないので、半日休みをとるほうが効率上がります』って言われた」
あ、そういう意味なのね。
それにしてもピクニックって聞いていたのだけど、これはいったい……。
「リアン、好きなだけ好きなもの頼むと良いよ」
ニッコリ微笑むウィル。テーブルが設置されたそこにはズラッと並んだケーキに焼き菓子やシェフがすぐ作れるように鉄板やフライパンを前にし立っている。給仕係もいる。
「思っていたピクニックとはちょっと違うけど……」
「え?そう?狩りをしたり釣りをしたりして、その場で食べたいなら、すぐ調理してくれたりするし、ゆっくりお茶をしてもいいし万全だろ」
そのあたりの価値観が微妙に違う!ちょっとしたピクニックって言ってたのに、ガーデンパーティのようだと囲むテーブル、使用人たちに私は頬がひきつる。
しかし、良かれと思ってしてくれたのは間違いない。
「えーと……まぁ……準備してくれてありがとう」
どういたしましてと満足そうに言うウィルは完璧なセッティングだ!と思っていそうだ。ピクニックシートを敷いてる私のイメージはとりあえず頭の片隅に置いておく。
設置された椅子に座る。テーブルの上に生クリーム付きのパンケーキやブランデーケーキ、クッキー、ジャムが添えられたスコーン、フルーツなどが運ばれた。
「はー、やっぱりのんびりとリアンとお茶するのはいいね」
ウィルは穏やかな顔になっている。最近ずっと忙しいものねと私もお茶を片手に頷いた。
「湖で釣りでもするかい?」
「釣り!?それは怠惰なのかしら?」
「師匠はボーッと釣れないけど釣り糸を垂らしているから怠惰に入るんじゃないかな?」
「そう言われたら、師匠はボーッと釣りしてるわね」
ぼんやりと湖面をみつめながら考えごとしている師匠の姿が思い出された。
「じゃあ、してみる?」
私とウィルは立ち上がる。
……そしてその十分後。
「見て!私、釣れたわよ!」
「オレはもう3匹目だ!」
「なんですってー!負けないわよ!」
ニヤッとウィルは人の悪い笑いを浮かべる。
「オレは幼い頃から、この湖で釣りをしていた!この釣り勝負はリアンに勝てる気がする!」
「私の勝負の運を甘くみないで!ここからよ!」
いつしかバチバチの釣り勝負になっていた。怠惰を忘れて釣りをしてしまったことに気づいたのはずいぶんたってからだった。
そして怠惰にリアンと過ごす予定だったんだけどなぁとウィルもまた夕食に出た二人で釣った魚が料理されたものを見て、腑に落ちない顔をし、呟いていたのだった。
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