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忙しい王妃
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「あれ?急いでいるのですか?」
「おー!ちょっと話し相手にならないか?」
ユクドール王とシザリア王が声をかけてきたけど、時間がない。
「急いでいるから後からにしてくださらない……っと、エイルシア王国の滞在はどうかしら?」
「良い休暇ですよ。ただ、お目当ての彼女とお喋りくらいはしたいですね」
「美人が多いから、悪くないなぁ」
ウィルは国になかなか帰らない二人にイライラしてることを私は知っているけれど、ニッコリ極上の笑顔を浮かべた。
「ぜひ、長く滞在して頂けたら嬉しいわ」
その一言に気分を良くするシザリア王。逆に不安な顔をするユクドール王のコンラッド。
「歓迎する言葉なのに、怖い気持ちになるのはなぜでしょうか?」
「は?ユクドール王は考えすぎだろ!?ハッハッハー!」
「まったく海賊の王は考えが無さすぎるんですよ」
「なんだとー!」
二人の言葉を背中で聞いて、自室へ飛び込む。素早く服を簡素な物に着替える。
「お嬢様!?どこへお出かけになるんですか!?いけませんよ!陛下の許可を得ていませんのに!」
アナベルが慌てて止める。今日、護衛についていたフルトンもおいおいと焦りだす。
「ウィルバート様は視察でいないんだ。勝手なことをしないでくれよ?帰ってきてからでいいだろう?」
「今すぐ、いつもの孤児院へ行きたいのよ。フルトン!ついてきてくれない?」
威勢が良くて大男のフルトンが、いやいやいや!と手を振る。顔色を変えている。
「勝手なことをすると、陛下にマジで怒られる!イヤだ!ただでもリアン王妃のこととなると陛下はムキになりやすいんだ!」
「大丈夫よ。私が頼んだと言うし、ちゃんとウィルにとりなすわよ」
フルトンに悪いけど、それが間に合うかわからないけどと心の中でつぶやく。きっとウィルは怒るわね。心の中でフルトンにごめんねと謝る。
お願いよ!と頼む私にフルトンは怯みだす。
「フルトンがいれば、そんな危険なことないわ!それにいつもの孤児院へ行くだけだもの。すぐ帰ってくれば大丈夫よ。ウィルより早く帰っていればいいのよ」
すぐ帰ってこれればの話だけど……。
「ホントに自分で行きたがって無理やり外出したって言ってくれよ!?怒られるのはリアン妃だけにしてくれ!」
「フルトン様!本当にお嬢様を外へ!?だめですよ!」
アナベルが不安な顔をして止める。フルトンは困った顔をしているが、私の様子を見て、嘆息しつつ、言う。
「だめと言われても、行くんだろ?」
「そうね」
私は即答し、動きやすいように髪の毛をキュッとまとめる。
「……だそうだ。大丈夫だ。このフルトン様が全力で守る」
任せろ!と強気のフルトンだった。アナベルはやめてください!と最後まで止める。
「お嬢様、アナベルは嫌な予感しかしません!待ってください!」
さすが長年私のメイドをしているだけある。
「アナベル、もし私になにかあった時、ウィルにクラーク男爵家に行ってと告げておいて!……あっちから来るかもしれないけど」
お嬢様行ってはいけません!と私の姉のようなアナベルは両手をギュッと握って必死で言うのだった。
きっとウィルは怒るのが目に浮かぶ。だけど断ち切りたいの。ウィルにいつまでも付きまとわせるわけにはいかないのよ。あの善人の仮面を被った悪人は存在すればすれほど、私達を狙い、不幸にさせたがる。それはこの国にすら影を落とす。
私はウィルも国も守りたいの。この国であなたと平穏で怠惰な未来を過ごしたいから。
「おー!ちょっと話し相手にならないか?」
ユクドール王とシザリア王が声をかけてきたけど、時間がない。
「急いでいるから後からにしてくださらない……っと、エイルシア王国の滞在はどうかしら?」
「良い休暇ですよ。ただ、お目当ての彼女とお喋りくらいはしたいですね」
「美人が多いから、悪くないなぁ」
ウィルは国になかなか帰らない二人にイライラしてることを私は知っているけれど、ニッコリ極上の笑顔を浮かべた。
「ぜひ、長く滞在して頂けたら嬉しいわ」
その一言に気分を良くするシザリア王。逆に不安な顔をするユクドール王のコンラッド。
「歓迎する言葉なのに、怖い気持ちになるのはなぜでしょうか?」
「は?ユクドール王は考えすぎだろ!?ハッハッハー!」
「まったく海賊の王は考えが無さすぎるんですよ」
「なんだとー!」
二人の言葉を背中で聞いて、自室へ飛び込む。素早く服を簡素な物に着替える。
「お嬢様!?どこへお出かけになるんですか!?いけませんよ!陛下の許可を得ていませんのに!」
アナベルが慌てて止める。今日、護衛についていたフルトンもおいおいと焦りだす。
「ウィルバート様は視察でいないんだ。勝手なことをしないでくれよ?帰ってきてからでいいだろう?」
「今すぐ、いつもの孤児院へ行きたいのよ。フルトン!ついてきてくれない?」
威勢が良くて大男のフルトンが、いやいやいや!と手を振る。顔色を変えている。
「勝手なことをすると、陛下にマジで怒られる!イヤだ!ただでもリアン王妃のこととなると陛下はムキになりやすいんだ!」
「大丈夫よ。私が頼んだと言うし、ちゃんとウィルにとりなすわよ」
フルトンに悪いけど、それが間に合うかわからないけどと心の中でつぶやく。きっとウィルは怒るわね。心の中でフルトンにごめんねと謝る。
お願いよ!と頼む私にフルトンは怯みだす。
「フルトンがいれば、そんな危険なことないわ!それにいつもの孤児院へ行くだけだもの。すぐ帰ってくれば大丈夫よ。ウィルより早く帰っていればいいのよ」
すぐ帰ってこれればの話だけど……。
「ホントに自分で行きたがって無理やり外出したって言ってくれよ!?怒られるのはリアン妃だけにしてくれ!」
「フルトン様!本当にお嬢様を外へ!?だめですよ!」
アナベルが不安な顔をして止める。フルトンは困った顔をしているが、私の様子を見て、嘆息しつつ、言う。
「だめと言われても、行くんだろ?」
「そうね」
私は即答し、動きやすいように髪の毛をキュッとまとめる。
「……だそうだ。大丈夫だ。このフルトン様が全力で守る」
任せろ!と強気のフルトンだった。アナベルはやめてください!と最後まで止める。
「お嬢様、アナベルは嫌な予感しかしません!待ってください!」
さすが長年私のメイドをしているだけある。
「アナベル、もし私になにかあった時、ウィルにクラーク男爵家に行ってと告げておいて!……あっちから来るかもしれないけど」
お嬢様行ってはいけません!と私の姉のようなアナベルは両手をギュッと握って必死で言うのだった。
きっとウィルは怒るのが目に浮かぶ。だけど断ち切りたいの。ウィルにいつまでも付きまとわせるわけにはいかないのよ。あの善人の仮面を被った悪人は存在すればすれほど、私達を狙い、不幸にさせたがる。それはこの国にすら影を落とす。
私はウィルも国も守りたいの。この国であなたと平穏で怠惰な未来を過ごしたいから。
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