209 / 304
普通の女の子
しおりを挟む
思った以上に遅くなってしまった。ハイロン王国に先に着いていたコンラッドと合流する。
「え!?ウィルバートが来たんですか!?てっきり三騎士が来ると思いましたよ!?どうしたんですか!?」
「自分の王妃と民を取り戻しに来て何が悪い」
オレがムスッとして、そう言うと、コンラッドが機嫌悪いですねーと苦笑する。
「我々三騎士がウィルバート様を守りますから、ユクドール王におかれましては心配ご無用です」
トラス、フルトン、エリックがオレの周りを固めるようにいる。
「もちろん三騎士もついてるし、心配はしてませんが、きっとリアン様の策はユクドールとシザリアが通過する時に、圧をかけてほしかっただけだと思いますが、まさか王様自らの迎えに来てるとは考えていないんじゃないですかね」
コンラッドは面白いとばかりに口元が笑っている。
「迎えに来てほしいってリアンなら思うさ。口には出さないだろうけど、リアンだって、普通の女の子で、こんな他国に売り飛ばされるなんて、相当、怖い思いをしたはずだ」
ギュッとオレは拳を握りしめる。世論なんて
無視してリアンだけの安全を考え、あのベラドナを処罰してしまえばよかったんだ!ほぼ尻尾を掴んでいたのだからな。自分の動きの遅さがこんなことを招いてしまうなんてと今更、後悔しても遅いが。
「普通の女の子ですか……ねぇ……?普通の女の子は自分の居場所を自ら示してきたり、他国の王を利用したりしようとしませんけどねぇ」
コンラッドがボソッとそう呟いてから、言葉を付け足す。
「内部に入り込みやすいように、ユクドールの水のろ過装置について知りたいとハイロン王が言ってるらしいですが、これもきっとリアン様てすよね?使者をたてて、行かせようと思いましたが、気が変わりました。なんだか楽しそうなので、僕も参加しようと思います!」
「コンラッドもか!?」
「除け者にしないでください。僕もせっかくここまで来たんですから、つきあいますよ。どうせ国へ帰るついでですから」
……実はコンラッドの参加こそ、リアンの策略に含み済みのような気がしたが、それは口には出さずにおこう。
「リアン様を普通の女の子と言うのは少し無理がありますよね」
「普通の女の子なら、裏切られて奴隷商に売り飛ばされた時点で泣いて、心折れてるよな」
「自分の身はどんな手を使おうが、しっかり守ってると思うなぁ」
トラス、フルトン、エリックまでもが、ヒソヒソ話をしている。
「リアンは意外と繊細な普通の女の子だぞ!?」
オレが力説するが、他の四人は肩をすくめたり苦笑したりするばかりだった。
コンラッドも何を言ってるんですかと信じない。
「陛下の周りの敵を次々と潰してるしなぁ~。今回も長年の因縁の敵を消せたわけだし、リアン様を普通の女の子と呼ぶには、無理があるよなぁ」
エリックが軽い口調でそう言った。普通の女の子なんだ!中身が人より多少好奇心が強いだけなんだよ。なんて言い返しても、これ以上無理そうなので口を閉ざした。
オレには、リアンの無事がわかる。なぜなら最後の切り札をまだ使ってないからだ。使えばわかる。皆が気づくことになるだろう。
使った瞬間、オレは何もかも投げ捨てて助けに行くことになるけどな。リアンが、それくらいやばい状況ということだからだ。そう思い、少し赤い砂の混じった砂漠の街の奥にある大きな城に目を向けたのだった。
「え!?ウィルバートが来たんですか!?てっきり三騎士が来ると思いましたよ!?どうしたんですか!?」
「自分の王妃と民を取り戻しに来て何が悪い」
オレがムスッとして、そう言うと、コンラッドが機嫌悪いですねーと苦笑する。
「我々三騎士がウィルバート様を守りますから、ユクドール王におかれましては心配ご無用です」
トラス、フルトン、エリックがオレの周りを固めるようにいる。
「もちろん三騎士もついてるし、心配はしてませんが、きっとリアン様の策はユクドールとシザリアが通過する時に、圧をかけてほしかっただけだと思いますが、まさか王様自らの迎えに来てるとは考えていないんじゃないですかね」
コンラッドは面白いとばかりに口元が笑っている。
「迎えに来てほしいってリアンなら思うさ。口には出さないだろうけど、リアンだって、普通の女の子で、こんな他国に売り飛ばされるなんて、相当、怖い思いをしたはずだ」
ギュッとオレは拳を握りしめる。世論なんて
無視してリアンだけの安全を考え、あのベラドナを処罰してしまえばよかったんだ!ほぼ尻尾を掴んでいたのだからな。自分の動きの遅さがこんなことを招いてしまうなんてと今更、後悔しても遅いが。
「普通の女の子ですか……ねぇ……?普通の女の子は自分の居場所を自ら示してきたり、他国の王を利用したりしようとしませんけどねぇ」
コンラッドがボソッとそう呟いてから、言葉を付け足す。
「内部に入り込みやすいように、ユクドールの水のろ過装置について知りたいとハイロン王が言ってるらしいですが、これもきっとリアン様てすよね?使者をたてて、行かせようと思いましたが、気が変わりました。なんだか楽しそうなので、僕も参加しようと思います!」
「コンラッドもか!?」
「除け者にしないでください。僕もせっかくここまで来たんですから、つきあいますよ。どうせ国へ帰るついでですから」
……実はコンラッドの参加こそ、リアンの策略に含み済みのような気がしたが、それは口には出さずにおこう。
「リアン様を普通の女の子と言うのは少し無理がありますよね」
「普通の女の子なら、裏切られて奴隷商に売り飛ばされた時点で泣いて、心折れてるよな」
「自分の身はどんな手を使おうが、しっかり守ってると思うなぁ」
トラス、フルトン、エリックまでもが、ヒソヒソ話をしている。
「リアンは意外と繊細な普通の女の子だぞ!?」
オレが力説するが、他の四人は肩をすくめたり苦笑したりするばかりだった。
コンラッドも何を言ってるんですかと信じない。
「陛下の周りの敵を次々と潰してるしなぁ~。今回も長年の因縁の敵を消せたわけだし、リアン様を普通の女の子と呼ぶには、無理があるよなぁ」
エリックが軽い口調でそう言った。普通の女の子なんだ!中身が人より多少好奇心が強いだけなんだよ。なんて言い返しても、これ以上無理そうなので口を閉ざした。
オレには、リアンの無事がわかる。なぜなら最後の切り札をまだ使ってないからだ。使えばわかる。皆が気づくことになるだろう。
使った瞬間、オレは何もかも投げ捨てて助けに行くことになるけどな。リアンが、それくらいやばい状況ということだからだ。そう思い、少し赤い砂の混じった砂漠の街の奥にある大きな城に目を向けたのだった。
4
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
そんなに義妹が大事なら、番は解消してあげます。さようなら。
雪葉
恋愛
貧しい子爵家の娘であるセルマは、ある日突然王国の使者から「あなたは我が国の竜人の番だ」と宣言され、竜人族の住まう国、ズーグへと連れて行かれることになる。しかし、連れて行かれた先でのセルマの扱いは散々なものだった。番であるはずのウィルフレッドには既に好きな相手がおり、終始冷たい態度を取られるのだ。セルマはそれでも頑張って彼と仲良くなろうとしたが、何もかもを否定されて終わってしまった。
その内、セルマはウィルフレッドとの番解消を考えるようになる。しかし、「竜人族からしか番関係は解消できない」と言われ、また絶望の中に叩き落とされそうになったその時──、セルマの前に、一人の手が差し伸べられるのであった。
*相手を大事にしなければ、そりゃあ見捨てられてもしょうがないよね。っていう当然の話。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
夫が愛人を離れに囲っているようなので、私も念願の猫様をお迎えいたします
葉柚
恋愛
ユフィリア・マーマレード伯爵令嬢は、婚約者であるルードヴィッヒ・コンフィチュール辺境伯と無事に結婚式を挙げ、コンフィチュール伯爵夫人となったはずであった。
しかし、ユフィリアの夫となったルードヴィッヒはユフィリアと結婚する前から離れの屋敷に愛人を住まわせていたことが使用人たちの口から知らされた。
ルードヴィッヒはユフィリアには目もくれず、離れの屋敷で毎日過ごすばかり。結婚したというのにユフィリアはルードヴィッヒと簡単な挨拶は交わしてもちゃんとした言葉を交わすことはなかった。
ユフィリアは決意するのであった。
ルードヴィッヒが愛人を離れに囲うなら、自分は前々からお迎えしたかった猫様を自室に迎えて愛でると。
だが、ユフィリアの決意をルードヴィッヒに伝えると思いもよらぬ事態に……。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
公爵家の秘密の愛娘
ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝グラント公爵家は王家に仕える名門の家柄。
過去の事情により、今だに独身の当主ダリウス。国王から懇願され、ようやく伯爵未亡人との婚姻を決める。
そんな時、グラント公爵ダリウスの元へと現れたのは1人の少女アンジェラ。
「パパ……私はあなたの娘です」
名乗り出るアンジェラ。
◇
アンジェラが現れたことにより、グラント公爵家は一変。伯爵未亡人との再婚もあやふや。しかも、アンジェラが道中に出逢った人物はまさかの王族。
この時からアンジェラの世界も一変。華やかに色付き出す。
初めはよそよそしいグラント公爵ダリウス(パパ)だが、次第に娘アンジェラを気に掛けるように……。
母娘2代のハッピーライフ&淑女達と貴公子達の恋模様💞
🔶設定などは独自の世界観でご都合主義となります。ハピエン💞
🔶稚拙ながらもHOTランキング(最高20位)に入れて頂き(2025.5.9)、ありがとうございます🙇♀️
目覚めたら公爵夫人でしたが夫に冷遇されているようです
MIRICO
恋愛
フィオナは没落寸前のブルイエ家の長女。体調が悪く早めに眠ったら、目が覚めた時、夫のいる公爵夫人セレスティーヌになっていた。
しかし、夫のクラウディオは、妻に冷たく視線を合わせようともしない。
フィオナはセレスティーヌの体を乗っ取ったことをクラウディオに気付かれまいと会う回数を減らし、セレスティーヌの体に入ってしまった原因を探そうとするが、原因が分からぬままセレスティーヌの姉の子がやってきて世話をすることに。
クラウディオはいつもと違う様子のセレスティーヌが気になり始めて……。
ざまあ系ではありません。恋愛中心でもないです。事件中心軽く恋愛くらいです。
番外編は暗い話がありますので、苦手な方はお気を付けください。
ご感想ありがとうございます!!
誤字脱字等もお知らせくださりありがとうございます。順次修正させていただきます。
小説家になろう様に掲載済みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる