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自分にはないもの
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謹慎がいつまでたってもとけないし、王城からいつになったら出してくれるのかしら。
そうクロエが言い、窓辺のところで椅子に座って外を眺めて、はあ……とわざとらしくため息を吐く。
「なんで僕の部屋にきて、わざわざ愚痴を聞こえるように言ってるんだよ?」
「ウィリアムから、お父様に言ってくれない?『クロエはものすごーく反省してたから、そろそろ外出させてあげてくれ』って!真面目なウィリアムならお父様もそうか!ってなるわよ!」
「なるわけないだろー!僕を味方につけようと思ってもだめだからね!どう考えてもクロエが悪い。勝手に城から出ていって、他国にいて、ユクドール軍の危機を救うなんてかっこいいけど、後から聞いた、お父様や皆の心配がどんなものだったかわかるよね?」
「心配させて悪かったと思ってるわ」
お茶を片手に僕の部屋で暇を潰してるクロエはどう見ても反省してるようには見えない。
「僕はこれから剣術の授業なんだ。着替えるから出ていってくれよ」
その一言が不満だったのか、テーブルに頬杖をついて目を半眼にさせる。
「剣術だって、小さい頃は許してくれて、ウィリアムと一緒にしていたのに、いつの頃からか出入り禁止にされちゃうし、もっと私だって内政とか経済とか世界の歴史とか勉強したい……ウィリアムは学びたいと思う事を学ばせてもらえていいなぁ……」
その顔つきが、お母様そっくりだったから、クスッと笑ってしまった。
「クロエが剣術して、それ以上強くなったら困るからだろ」
「失礼ね。違うわよーっ!からかわないでよー!」
「いつまで髪の毛も短くしてるんだよ。伸ばさないとバレたら……」
「……皆の前ではウィッグ被ってるのに、なんでウィリアムには、バレてるのよ?」
クロエ付きのメイドが泣き言言ってたことは内緒にしておこう。つまんなーい!と退屈そうなクロエ。
ドアがトントンと叩かれる。真面目な騎士のトラスが現れた。
「クロエ様?またこの部屋にいたのですか。ここはウィリアム様のお部屋ですし、授業がこの後あります。クロエ様にはクロエ様の授業があります。お戻りください」
「もうっ、トラスったら毎日毎日、真面目なんだから~!たまにウィリアムの部屋で遊んでもいいでしょう?人生には気晴らしも必要よ」
またこの王女様はと呆れた顔をされるが、クロエはフッと鼻で笑い、トラスにさらに言う。
「面白味のない毎日より刺激的な毎日のほうが恋をしているように充実しているだろうって名言を知らないの?」
「誰の名言ですか?それ聞いたことありませんよ」
「わたしが作った名言でした~!」
完全に真面目なトラスをからかってる。
「なんですか、それはっ!かまってられませんよっ!クロエ様はほんとにお母様にそっくりすぎて話していると、調子が狂います。ウィリアム様、いきましょう!」
なによぉ!と頬を膨らませている。どちらかと言えば、お祖父様に似ていると思うんだけどなと思ったけど、クロエに追求されると、めんどくさくなりそうだから、やめておく。
いってらっしゃーいと退屈そうに手を振るクロエに見送られて、剣術の稽古へ向かう。
破天荒で、まぶしいくらいいつも楽しそうなクロエは皆にとって問題児の王女かもしれない。でも僕はそんなクロエが羨ましい。自分の言いたいこと、したいことをしてまっすぐに生きている。外に出る勇気もある。王国を助けるためにシェザル王国に乗り込み、さらにユクドール軍を助けるべく、馬で駆け付けたと聞いた。もう本当にすごすぎるよ。
僕もクロエみたいになれたらいいのに。みんなのために役に立てる人になりたい。僕に勇気があればいいのに。嫉妬に近いような……なんだか説明しようのない気持ちがクロエに湧いてくるのだった。
そうクロエが言い、窓辺のところで椅子に座って外を眺めて、はあ……とわざとらしくため息を吐く。
「なんで僕の部屋にきて、わざわざ愚痴を聞こえるように言ってるんだよ?」
「ウィリアムから、お父様に言ってくれない?『クロエはものすごーく反省してたから、そろそろ外出させてあげてくれ』って!真面目なウィリアムならお父様もそうか!ってなるわよ!」
「なるわけないだろー!僕を味方につけようと思ってもだめだからね!どう考えてもクロエが悪い。勝手に城から出ていって、他国にいて、ユクドール軍の危機を救うなんてかっこいいけど、後から聞いた、お父様や皆の心配がどんなものだったかわかるよね?」
「心配させて悪かったと思ってるわ」
お茶を片手に僕の部屋で暇を潰してるクロエはどう見ても反省してるようには見えない。
「僕はこれから剣術の授業なんだ。着替えるから出ていってくれよ」
その一言が不満だったのか、テーブルに頬杖をついて目を半眼にさせる。
「剣術だって、小さい頃は許してくれて、ウィリアムと一緒にしていたのに、いつの頃からか出入り禁止にされちゃうし、もっと私だって内政とか経済とか世界の歴史とか勉強したい……ウィリアムは学びたいと思う事を学ばせてもらえていいなぁ……」
その顔つきが、お母様そっくりだったから、クスッと笑ってしまった。
「クロエが剣術して、それ以上強くなったら困るからだろ」
「失礼ね。違うわよーっ!からかわないでよー!」
「いつまで髪の毛も短くしてるんだよ。伸ばさないとバレたら……」
「……皆の前ではウィッグ被ってるのに、なんでウィリアムには、バレてるのよ?」
クロエ付きのメイドが泣き言言ってたことは内緒にしておこう。つまんなーい!と退屈そうなクロエ。
ドアがトントンと叩かれる。真面目な騎士のトラスが現れた。
「クロエ様?またこの部屋にいたのですか。ここはウィリアム様のお部屋ですし、授業がこの後あります。クロエ様にはクロエ様の授業があります。お戻りください」
「もうっ、トラスったら毎日毎日、真面目なんだから~!たまにウィリアムの部屋で遊んでもいいでしょう?人生には気晴らしも必要よ」
またこの王女様はと呆れた顔をされるが、クロエはフッと鼻で笑い、トラスにさらに言う。
「面白味のない毎日より刺激的な毎日のほうが恋をしているように充実しているだろうって名言を知らないの?」
「誰の名言ですか?それ聞いたことありませんよ」
「わたしが作った名言でした~!」
完全に真面目なトラスをからかってる。
「なんですか、それはっ!かまってられませんよっ!クロエ様はほんとにお母様にそっくりすぎて話していると、調子が狂います。ウィリアム様、いきましょう!」
なによぉ!と頬を膨らませている。どちらかと言えば、お祖父様に似ていると思うんだけどなと思ったけど、クロエに追求されると、めんどくさくなりそうだから、やめておく。
いってらっしゃーいと退屈そうに手を振るクロエに見送られて、剣術の稽古へ向かう。
破天荒で、まぶしいくらいいつも楽しそうなクロエは皆にとって問題児の王女かもしれない。でも僕はそんなクロエが羨ましい。自分の言いたいこと、したいことをしてまっすぐに生きている。外に出る勇気もある。王国を助けるためにシェザル王国に乗り込み、さらにユクドール軍を助けるべく、馬で駆け付けたと聞いた。もう本当にすごすぎるよ。
僕もクロエみたいになれたらいいのに。みんなのために役に立てる人になりたい。僕に勇気があればいいのに。嫉妬に近いような……なんだか説明しようのない気持ちがクロエに湧いてくるのだった。
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