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招かざる訪問者
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しおりを挟むディオンからのプレゼント!?
そう思って目を丸くしてからディオンに目を戻すと、もうそこにはディオンの姿は無かった。
こんなこと、ディオンがするなんて……
そう思いながら、ゆっくりと箱に視線を戻す。
期待を胸に、そっと蓋を開けると――
碧く輝くブレスレットが現れた。
その瞬間、思わず息を呑んだ。
「……っ」
ブレスレットには小さな花の形をした宝石がいくつも散りばめられていて、その煌めきやデザインは、まるで私の好みを知っていたかのように感じた。
私は、驚きと嬉しさが同時に押し寄せてきて、思わず口元を覆ってしまった。
…………
……
「遅いよ~シエル何してたの?」
「ご、ごめん。プレゼント整理とかしてて」
と言うと、「そうなんだ。……って、なんかシエルの顔、赤くない?」と覗き込まれ、目線が宙に泳ぐ。
「えっ、そ、そう?」
「ん?何これ」
メイは、私の手首をガシっと掴んで自分の目の前に持っていく。
「あれ?こんなブレスレット持ってたっけ?めちゃくちゃ可愛いね」
「あ、ありがとう……」
照れ隠しのように笑うと、メイが疑いの目を向けてくる。
「何なに~?それって誰かからのプレゼント?」
「これは……その……」
「教えてくれないの?もしかしてまた隠し事?」
そう言われてギクっとしてしまう。
「そ……そんなんじゃ……」
弱々しい声が出ると、私の背中をバンッ叩くメイ。
「冗談でしょ!私、別に怒ってないよ。出て来た時からニヤニヤしてたから気にはなるけどね」
「えっ!?私ニヤニヤしてた!?」
私はその言葉に、両頬を押さえて真っ赤になってしまう。
「うん。……あっ!ということは、まさか……それ……」
メイは何かに気付いたように目を大きくしたと思うと、ブレスレットに指を向けた。
「カミヅキ講師からでしょ」
スパっと言い当てられて、思わず押さえていた自分の両頬を、さらにペチャンコにした。
「シエルって本当に分かりやすいなぁ。っていうか、カミヅキ講師ってこんな可愛いのを贈るんだね。すっごく意外」
メイは、顎に手を当ててブレスレットをマジマジと見る。
まだ、多少なりともディオンへの気持ちがあるメイに、どう反応していいのか分からない。
「良かったじゃん。こんな嬉しそうなシエルを見てると、私まで嬉しくなるよ」
メイはそう言って、私に笑顔を見せた。
「あ!もしかして、また私に遠慮してた?」
その言葉に目を泳がしてしまうと、「遠慮なんかしたら、容赦しないって言ったでしょ!?」と叱られてしまう。
そうだった……
「言ったでしょ?私は今、あの魔法自衛隊のお兄さんにお熱なの!」
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そう言って笑い飛ばすメイは、本当に吹っ切れているように見えた。
「で。やっぱそれカミヅキ講師からのだよね?」
「えっ。うん……」
その後、私たちは恋の話に花を咲かせながら仲良く廊下を歩いた。
穏やかで楽しい時間がこれからも続くと思っていたけれど、今夜、運命が大きく揺れ動く瞬間が訪れようとしていることを、まだ誰も知らなかった――
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