僕と一万円

kazuayano

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僕と一万円

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い、いちまんえん、、、
僕が幼稚園から小学校に進学して
お爺ちゃんが
「お婆ちゃんと2人からのお祝いだよ」
はじめて持った自分の10000円

まず幼稚園のときに工作で作った僕のお手製の自慢の写真入れに入れてみる
まっさらの勉強机に乗せて
下から上から光の当たり加減を変えたり部屋を真っ暗にして
懐中電灯で照らしたり
ライターの火でユラユラ照らしたり心が踊る

今までずっとお年玉もパパとママに「貯金しておくから」
とおつかいでスーパーやコンビニやパン屋さん、お豆腐屋さんとかに持っても2000円が最高額だったお友達も10000円を持ってた事は見たことがない
今、同級生の中で僕が一番のお金持ちではないのか

何を買う?貯金か?
何か、パパとママに言えば取り上げられそうな気もする
お年玉の様に「貯金ね」は
嫌だ絶対に!自分で考えて使いたいんだ僕は

あっそうだ
ママはいつもお金の話しは笑うだけで「お父さんに言いなさい」
パパに聞く「僕のお年玉って今いくら貯まってるの?」
「今か?何か欲しいものでも有るのか?」「違う、明生くんは4万円貯まってるって言ってたから僕はいくらなのか知りたいだけ」
嘘を吐く

「ガッカリさせるな?将暉 父さんは好きな女の子でも出来てプレゼントを考えているのか?国語辞典でも欲しいとでも言って欲しかったよ、それぐらいだ4万円ちょいだ」
「分かった」
部屋に戻り写真入れから取り出し
隅々まで眺める
考えたことも無かった
電球に向けて見ると真ん中に表面のオッサンと同じ顔が透けてる
しかもさりげなく浮かんだ造りでも有る
まじまじとみると下には金ピカの部分も有る
その上のところに丸い輪が二つ
この丸い輪も普通は見たことない
光に当てる事によって浮かび上がる感じで出来てる
この英語と数字はじめて見た
数えるのが大変なぐらいの数字が並んでる
そして模様、凄い造りをしてる

「将暉?スーパーでお買い物お願い出来る?」
「いいよっ紙に書いてよ」

小学校に上がってからお使い賃をくれるようになった
「はいっこれだけね、ゆっくりでいいから気を付けてね特に車には、200円ぐらいのお釣りが有るから今日はお小遣いねそれが」
ママが書いてくれた買い物メニューと2000円を受け取る
「そうだっ一万円は全て見た
5000円札と1000円札と500円玉、100円玉、50円玉、10円玉、5円玉、1円玉全てを同じ様に確認したい両替してもらおう」
スーパーで紙に書かれた全てを忘れてないか確認しながらちゃんとカゴに入れ、お会計は1840円だった。お小遣いは160円いただきっ レジの店員さんに「この一万円を全種類のお金に両替して欲しいんだけど、、?」
少し困った顔をし上をチラリと見上げ(両替は出来ません)と書かれた紙にまで僕は見なかった
店員さんの顔を見ていた
「今回だけよ、内緒ね」
レジに人が並んでいなかったからか
笑顔に戻り「なぜ?」と聞いて来る
「僕、小学校に上がってはじめてお爺ちゃんから一万円もらってこの一万円は全部見たから他のお金も全部造りを見てみたいの」
少し思案顔の店員さんは自分の財布から取り出した2000円札を僕に渡してくれた
「4枚の1000円札から好きなの2枚残して2枚と交換ね」
このお姉さんは選んでくれたのか
5000円札は折れ目の無い綺麗な
1000円札も一枚だけは同じ綺麗な
お姉さんの財布から出してくれた
2000円札も折れ目が無かった
「僕?その残り2枚の1000円札の1枚も両替してあげる」

なんの意味か良く分からなかったけど言われた通りにした
もちろん折れた方の1000円札をお姉さんに渡す
500円玉も2種類
お姉さんは「最近新しい硬貨が出来たの、少し薄茶がかったのが新しい分、僕?お名前は?将暉。将暉君、500円玉もそう、100円も全部いつ造られたのか今は令和ね、その前の平成何年、昭和何年って一つ一つに刻まれてるから!良い?帰ってゆっくり眺めてごらん」

一度「少し待ってね」と
別のレジに行き戻って来たのは
古い硬貨 新しい硬貨
同じ50円玉一つ取って見ても
ピカピカの物、錆がかってる物
どんより汚れている物
色んな種類を集めてくれた様だ
最後にお姉さんは
「その中の一枚の10円玉がなぜギザギザなのかは私も知らないわ」
笑顔で言ってくれた
帰ってママに買い物した分を渡して部屋に帰る
5000円札から1円玉、存在も知らなかった2000円札
全てをまじまじ眺める
お姉さんの言った通りに
令和4年も平成17年も昭和35年もそれぞれの硬貨に刻まれてる

色んな事に興味が出て来た
10円玉でも昭和何年のやつは
少し高く売れるとかも
そして今の野口英世の前には
福沢諭吉の前には
5000円札の女性の前にも
また別の顔が有った事も
更にまだその前、その前、その前
一円がお札だった時代もあったり
一円より小さい銭とゆう単位のお金があった事も
江戸時代には大判、小判と今の50円玉に似てるけど変な文字が描かれてる物が存在したことも
もっと昔には石ころがお金代わりだったことも
何故僕がこんなにお金に詳しくなれたのか?は
パパに「お金の歴史の本」
と「日本の歴史の漫画全巻」と
「国語辞典」をお年玉からおねだりしたら、喜んで一緒に本屋さんに買いに行ったから

パパは
「待たせたね~将暉」と満面の笑みで買ってくれた
それはお金の歴史も日本の歴史も国語辞典もいずれ必ず役に立つ時が来るから
そのチョイスに喜んでくれたみたいだった

本屋さんの帰り道にパパは珍しく越乃寒梅とゆう2万円もする日本酒を買っていた

何がそんなに嬉しかったのか?
単なる自分の興味にお年玉を遣っただけなのに、、、、、

まだ一万円は一円も遣っていない
もらってから本を読む時間ばかりでおつかいに行けば増えていく

しかもパパは
「これはお年玉からではなくて
父さんからのプレゼントだ」とまで
何がそんなに、、、

変なパパ
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