【短編集】死者は語らない~カラゴル博物館へようこそ

藍田ひびき

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プロローグ

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 ランベール王国の王都アスガッド。美しい水路に囲まれたこの街の片隅に、ひっそりと建つ風変わりな博物館がある。

 カラゴル博物館。
 
 それはとある偏執狂な趣味を持つ貴族が集めたという、数々の遺体が収蔵された博物館である。
 人間の骸を見せ物にする趣向を、道義的に受け入れ難いという者は多いだろう。一方でこれらの品を好んで見たがる数寄者がいるのも、また事実だ。
 
 深い闇を覗き込んだ際に得られる驚きと少しの恐怖。それはいつだって人を愉しませる。


 「ご来館ありがとうございます。私は当博物館のキュレーター、オーギュスト・ケステンと申します。本日はどの展示をご鑑賞なさいますか?」

 博物館を訪れた者は、キュレーターの出迎えを受ける。黒づくめの礼服を身に纏い、黒髪で涼やかな眼差しの男。彼は完璧な作法で来訪者を誘う。

「滅亡した国と運命を共にした忠義の騎士。夭折した画家の手。魔獣との戦いで命を落とした聖女。まるで生きているかのように美しい少女や、産まれてすぐに命を落とした赤子の展示もございます。……ほお、全てご覧になりたい?それはそれは。ええ、閉館まではまだまだ時間がございます。どうぞ、心ゆくまでお愉しみ下さい――」
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