魂の躍動 人間の再発見

Birkenau

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自由惑星フリーベガス

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自由惑星フリーベガスこの惑星は法律などと言うものは存在しないあらゆる事が出来る。人間の欲望をすべて受け止めてくれる惑星だ。
そこに遊びに行く二人の男女、
男の名前はベック
女の名前はヒルト

この二人は付き合っていた。しかし二人とも死ぬ気だった自ら命を断つつもりだ。理由は簡単さ、生きているのがいやになったから悩みがあるとかそんなんじゃないただ生きているのがいやになったから

「ヒルトどうやって死のう?人造体である以上死ぬのは難しいよね」
「そうよね薬は無理だわこの体じゃあね、やっぱり溶鉱炉に飛び込む?」

二人は毎日どうやって死ぬのかを話していた。

そして人類管理調整委員会に手紙を送った。
(人造体でも死ねる方法を教えて下さい)
「ベックったら手紙を送るなんて人間らしくて素敵じゃない」

ベックは微かに微笑んだ

手紙はその日の夕方に返信がきた

Mr.ベック手紙をありがとう手紙なんて人間らしくて素敵ね、君と君の彼女の話は読んだよ、人造体で死ぬのは無理です!
並大抵のことでは死なないように出来ていますから、それでも死にたいのならぜひこちらに行ってみてはどうでしょう!これは普通の人にはいけない惑星です。しかしあなたがこの手紙を送ってきたのも何かの運命でしょうからあなたには自由惑星フリーベガスへのチケットを差し上げます。

人類管理調整委員会
自殺対策局 局長 エカテリーナよりあなたに愛を込めて

ベックは思ったなんて馴れ馴れしいやつなんだとしかもバカにしたような態度、自由惑星フリーベガス?そんなもの聞いたこともない

「ヒルト、何か人類管理調整委員会から手紙がかえってきたんだけど内容がふざけすぎてるんだよね」

ヒルトは読んで笑っていた。そして言った。

自由惑星フリーベガスにいこうと

もし彼らはこれから先に起こることがわかっていたなら絶対にいこうとしなかっただろうし、ヒルトも行こうとは言わなかったはず?
そして人類管理調整委員会は100ドルを節約できただろう

出発の日

ベックは部屋にあるものをすべて売り払い部屋を解約した。そうしてくださいと指示があったからだヒルトはなぜか興奮していた。よっぽど楽しみなのだろう

昼は塩漬けのポークに茹でたじゃがいもそしてエンドウ豆のベーコン添えだった。

ベックは言った。
「あの世でもヒルトのエンドウ豆のベーコン添えが食べたいかも」

「かもって何よ食べたいなら作るけど?まああの世にキッチンがあればだけどね」

「キリストがなんとか用意してくれるよ」

「あなたが宗教の話をするなんて珍しいね」

「そうさすべてが変わっても宗教だけは残るのさ」

人類管理調整委員会から迎えが来た。
運転手は乗ってはいるが、自動運転なのでなにもしない、同乗者を楽しませるのが彼の義務なのだ。
運転手はヨーゼフと言う名前だそうだ
しかしよくしゃべる男だ、他愛の無い会話を永遠と
そしてベックは聞いた。
「ヨーゼフ、君はこの仕事は長いのかい?」

「そうですね。もう覚えて無いくらいですね。たぶん二十年くらいです。」

「そうですか、今までにもこういう客を乗せたことはありますか?」

「そりゃあ長くやってればあなたみたいなのを乗せたことがあるよ、自由惑星フリーベガスに行くんだろ?」

「ええそうです。どんなところかわからないけど」

「みんな同じ事を言うよ人類管理調整委員会にここに行ってみればと言われたんじゃないですか?」

「まあその通りだよ。人類管理調整委員会ってどんなところなんだい?」

「あ、それ私も気になるわ」

ヒルトが突然会話に入ってきた。

「私は人類管理調整委員会の職員ですが運転手なので他の部署のことはわかりませんね、あまりに大きい組織なので自分の部署のことすら把握しきれませんから、ただ一つ言えることは私の上司がくそやろうだってことですね」

ヒルトが大爆笑したこんなに笑ったヒルトを見たのは久しぶりでベックは驚いていた。

「そろそろ着きます。忘れ物等無いようにお願いします」

自動音声はいつの時代もイラッとするそんな事は言われなくても忘れ物なんてしないベックは思った。
人類管理調整委員会の建物の前に着いた。
車を降りると、女性が待っていた。
金髪碧眼で雪のように白く一夜を過ごすには最高の女性だとベックは妄想を膨らましそうになったがヒルトの殺気によって阻止された。

「あなたがMr.ベックね!私は人類管理調整委員会の自殺対策局局長のエカテリーナよろしくね!」

やけに元気で不思議な人だった。だが美人だった。とてつもなくここまでの美人は見たこと無いちょっと生きていたいと思うベック

エカテリーナは説明を始めた

「まず確認事項と手続きがありますのでそこから始めましょう。」

手続きは一瞬だった。

「では出発は明日の午後になります。今日はカウンセリングと自由惑星フリーベガスの説明を行います。」

まあ死にたいって言ってるやつにカウンセリングするのは当たり前かとヒルトが呟くのが聞こえた。

カウンセリングは個別で行われた。

ヒルトのカウンセリングは一時間位で終わった。

次はベックの番だ

「Mr.ベックあなたの手紙を読んだのだけれどあなたは別に病んでる訳でもストレスを抱えているわけでもなく生きることに飽きているように思えたわ」

ベックは考えていた確かにその通り別に悩みがあるわけでもないしストレスがあるわけでもない
「その通りですね今の時代ストレスや悩みを抱えている人の方が絶滅危惧種ですよ」

「その通りですねMr.ベック実はあなたの用な人は結構多いんですよ生きるのに飽きたから死にたいと言う人が」

「そうなのか、俺たちだけじゃ無いのかそれと自由惑星フリーベガスってどんなところなんだ?」

「楽しいところですよ道徳とか堅苦しい物はないし開放的で人間らしさがある世界きっと気に入ると思いますよ。」

「それはいいね!いきたくなったよ」

「では最後に何か言っておくことはありますか?」

「エカテリーナ言っておくことと言うかお願いがあるんだ」

「何ですかMr.ベック私達人類管理調整委員会に出来ることであれば何でもしますよ」

「俺とデートでもどうかな?」

「いいですよ」

「本当か?」

「ええもちろんです。我々や私に出来ることはすべて実現させる。人類管理調整委員会に出来ないことはありませんから」

エカテリーナは笑っていた。ベックは何だ冗談かと思って笑い返すと同時にますます死にたくなった。

そしてカウンセリングが終わり今日はホテルを用意しておいたのでそこに泊まるよう言われた。そして再び車に乗った。

ヨーゼフが待っていたとばかりに話始めた。

「どうでした?なかなか出来ない体験だったでしょ」

ヒルトが答えた

「まあ普通のカウンセリングでしたねそれよりフリーベガスに行くのが楽しみだわ」

「Mr.ベックはどうでした?」

「まあ普通のカウンセリングだったかな」

「珍しいねほとんどの人は最高だったと言うけどね」

それから少し沈黙があった。ヒルトは眠ってしまった。

ヨーゼフはまた喋りだした。

「エカテリーナ局長は美人だったでしょう?」

「まあ確かにね」

あまりに話に花が咲くとヒルトが起きた時にヤバい気がした。

ホテルに着いた。豪華でも無いが悪くない

ヒルトは寝ぼけていてフリーベガスに着いたと思っているらしいがまだ地球だ。

「明日は朝五時に迎えに来ますから」と言うとヨーゼフは去って行った

二人は部屋で明日の事を考えようとしたがヒルトはまたもや眠りに落ちた。

ベックはタバコを吸いに外に出た地球の見納めも兼ねて、そして部屋に戻り眠りについた。

モーニングコールが鳴った。こんな朝早くからベックはイライラしていた。寝起きは機嫌が悪いタイプなのだ

ヒルトはコールがなる前に起きて準備をしていたらしく準備は完璧だった。ベックは歯を磨いて顔を洗った。髭は面倒なので剃らなかった。

朝食はオレンジジュースに塩漬けのポークと目玉焼きそれから豆だったがこの豆の味付けが酸っぱくイギリス人が作ったのだろうと思った。

ヨーゼフが迎えにきた。そして問題が発生した。助手席にエカテリーナが乗っていたのだ、髭を剃っておけば良かったとベックは後悔した。

「おはようございますMr.ベックこれからフリーベガス行きの船に向かいます。二時間ぐらいかかりますが楽しくいきましょう!」

相変わらずエカテリーナは元気だ
そしてエカテリーナが話始める
「Mr.ベックあなたの経歴を読みましたが退役軍人なんですね。以外でしたね。」
「軍人と言っても航空宇宙防衛軍団の輸送船団を護衛していただけで戦闘も数回経験しただけですけどね」
ヒルトが笑って話した。
「最初に出会った時私には親衛第一惑星降下猟兵師団だって嘘ついてたもんね?」
ベックはこいつ殺してやろうかと思ったが嘘をついた自分が悪いと思いとどまった。
ヨーゼフが大爆笑していたのでこいつだけは後で必ず殺すと神に誓った。
「ここにいるヨーゼフも退役軍人なんですよ」
エカテリーナは言った。ヨーゼフは振られるのを待っていたかように話し出した。
「私は親衛第十四軍の親衛第六装甲師団で装甲突撃兵でした。」
ベックは驚くと同時に先ほどの誓いを守れそうにないと思った。
第六装甲師団と言えば二十年前の惑星間戦争で(不死身の師団)と呼ばれた精鋭中の精鋭で植民惑星ゼーレグラードを巡る戦いで唯一全滅しなかった師団だ。
この戦いでは双方あわせて六千万人が戦死し星の形が丸から三日月型に変わるくらいの激しい戦闘だった。
各師団の損耗率は三百パーセントを越えていたなかこの師団だけは九十七パーセントだった。
他の師団は少なくとも最低三回は全滅したことになる、最初この惑星に名前はなく植民惑星第八十八号と呼ばれていたがこの戦争が終わった後にゼーレグラードと言う名前がついた。
この第六装甲師団の師団長にしゼーレグラードの英雄と呼ばれたのが
ヨハネス ファン ヴィッツラント少将
彼はこの戦争が始まる前は無名の将軍だったがこの惑星を巡る二年間の戦争で第六装甲師団と自分の名前を宇宙に知らしめた。
第六装甲師団はこの戦いで親衛の称号を賜り兵士達は皆英雄の称号と一生遊んで暮らせるだけの財産が与えられた。
ヴィッツラント少将は特進で上級大将に人類管理調整委員会の最高幹部の一人になった。
ベックはヨーゼフに聞いた
「ゼーレグラードにいたんですか?」
ヨーゼフは誇らしげに答える
「ああ!最初から最後までいたよ。」
ベックはさらに聞いた
「すごいですね、よくあの死体生産惑星で生きて帰れましたね?」
ヨーゼフはますます熱く語りだした。
「我々の団結とヴィッツラント師団長の指揮が合わされば無敵だからね、Mr.ベックも輸送船団の護衛をやってたと言うことはゼーレグラードに来たことはあるのだろう?」
ベックは複雑な顔で答えた。
「ええあります。五回ほど補給物資を積んだ船団を護衛しながら行きました。その時に戦闘も経験しました。」
ベック自身別に臆病者だったわけではなくたまたま配属先が船団護衛任務だった。志望は惑星降下猟兵だった。
「そうなのかだったらもしかしてゼーレグラードで会ってるかもしれないですね」
ヨーゼフは笑った。

気づくとエカテリーナとヒルトは退屈だったのか寝ていた。
そしていよいよ宇宙空港に到着した。
玄関でヨーゼフに別れを告げ三人はロビーに向かった。
エカテリーナが言った
「ではこれからフリーベガスに向かいます。四十年の長旅になるので冷凍睡眠装置に入って貰います。」
冷凍睡眠装置は人類が人造体を手にいれたおかげで実現できた方法だ、冷凍睡眠は冷凍するときは問題無かったが、解凍するときに人体に深刻なダメージを与えてしまうがこの人造体ならもしダメージを受けてしまっても交換すればいいだけだ。
「ところでエカテリーナもいくんですか?」
ヒルトが聞いた?

エカテリーナは笑顔で答えた
「あなた方をフリーベガスまで送り届けるのが私の役目ですから」

そういうとエカテリーナは冷凍睡眠の準備をし始めた。だが装置は二つだけだった。
ベックは不思議に思い聞いた。
「エカテリーナ、君の分はどこにある?」
エカテリーナは答えた
「ありません、お二人がたどり着くまで船を管理保守します。例え自動操縦でもアクシデントが起きる可能性があるので誰かは起きていなければなりません。」
ベックは驚いた四十年もの間俺たちを送るためだけに費やすのかと
「でもあなたは局長ですよねいいんですか?」
ヒルトが聞いた
「ええ代わりの者に引き継ぎましたので大丈夫ですよ、自殺対策局って言う部署は人類管理調整委員会の中でも下位組織なので代わりの人はたくさんいますからね」
ベックは人類管理調整委員会についてますます不思議に思った。
「エカテリーナ、君は送り終わった後どうするの?また四十年かけて戻るのかい?」
「もちろんです。戻ってまた局長に戻ります。戻った後は今の脳がだいぶ古くなっているでしょうから新しいのに入れ換えて貰います。記憶や意識のバックアップはもうしてあるので大丈夫ですよ」
ベックはそれ以上は聞かなかった

それから二人は睡眠状態に入った。

どれくらいたったのかわからないベックは目を覚ました。
着いたのかと思ったがどうやろ違うようだなぜならまだ地球が窓から見えるからだ、それどころか船内で争った後があった。
「ベック今すぐきて!」
ヒルトの声だ、声の元に向かうとヒルトとエカテリーナが争っていた。
「ベックこの人私達を殺そうとしてる!」
ヒルトが叫んだベックは何がなんだなわからなかったがエカテリーナが銃を持っていたのでとりあえず押さえることにした。
ベックの加勢によってエカテリーナは捕らえられた。
椅子に縛り付けた。
ヒルトの話によればエカテリーナは二人を銃をで殺そうとしているらしい
ベックはエカテリーナに聞いたなぜこんなことをしたのか
ベックは経験からこういうのは簡単には吐くことは無いだろうと思い拷問の準備を始めた。
ベックは尋問や拷問に関してはエキスパートだった船団護衛で補給が終わり帰る時に味方の負傷兵と捕虜を運んでいたからだ。
捕虜に対しての尋問や拷問も船団護衛の兵士の任務だったのだ。
ベックが軍をやめたのはベックはやり過ぎるところがあったため私的な感情を持っていると判断され軍にいられ無くなったからだ
だがエカテリーナはあっさり吐いた。軍人でもない彼女は拷問なんて耐えられなかった。

犯行理由は地球を出てすぐ殺せば残りの四十年は自由に遊んで暮らせる、四十年後にまた戻って来ればいいだけのことだからだ報告書には無事送り届けたと書けば誰も気にしない、
そして彼女はこれを楽しんでいたようであった。
確かにベックがかつて捕虜に対して使ったものがたくさん並んでいた。
その映像を記録した物も船には積んである
ベックは聞いた
「こんなことして許されと思っているのか?」
エカテリーナは答える
「あなたと同じ事をしていただけよ、あなたも軍にいた頃同じ事をしていたでしょ?」
ベックは昔の記憶を思い出していたそして昔のようにまたやりたいと思った。

ベックは言った
「女を拷問するのはこの世で一番楽しい遊びだよエカテリーナ」
エカテリーナは固まった後に泣きわめいていた許しを求めていたが、ベックには聞こえなかった。
ベックはヒルトに冷凍睡眠に戻るように言った。
ヒルトはすべてを察しておとなしく従った。

ベックは船内を自分好みにカスタマイズしていた。時間はたっぷりあるからね!

エカテリーナは手を頭の後ろで縛られ吊るされていた。首にもロープあり暴れるとしまるようになっている。もちろん裸だ
エカテリーナはこれから自分に起こる事を想像して泣きわめいていた。
ベックがやってきてこういった。「この記録と全く同じ事をやる死にかけても人造体なら人造体再生カプセルに入れば元通りになるからな俺たちはフリーベガスにいく間四十年暇なんだよあるからね毎日楽しめるね」

彼はもう死ぬ気は無くなっていた。むしろ生きる活力を取り戻していた。

ヨーゼフは船の中の映像をすべて見ていた。そして報告書を書いた。


死刑囚エカテリーナは自殺対策局 局長としての役目を果たし自殺志願者に生きる活力を与えている、そしてベックは精神的に異常があるため自由惑星フリーベガスに降りると同時に生存権剥奪刑及び存在抹消刑にするべきである
ヒルトに関しては惑星到着後は自由にさせる。

人類管理調整委員会 精神及び思想監視省

精神透視部門 ヨーゼフ フォン ガイエルン
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