あなたの顔が好きなんです

キャロル

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9 心強い味方

「エメル様、もうそれ以上ヴァイオレット様を甘やかすのはお控え下さい!」

もはやブラウン家では定番となったエメルのヴィオを膝に乗せての給餌にリンから苦言を呈された…なぜだ?

「え?いや、リン…そうは言っても…これはいつもの事で、何か問題か?」

なんの問題があるんだ?可愛いヴィオに給餌するのは楽しいし、そうでもしないとヴィオの食事量は少な過ぎて心配な程だ、俺が給餌すると頑張って食べてくれるんだぞ!いいじゃないか!これの何が問題なんだ?さっぱりわからん。

「問題も何も譲りに譲って給餌は良いでしょう、ヴァイオレット様の食事量が増えますので、問題は時間です。いつまでイチャコラちんたらやってるんですか?って事ですよ。今日から学園に行かれるんですよね。さっさと支度してください!」

そうだった、数日ヴィオの世話もしながら仕事は自宅でしていたから、つい甘えるヴィオが可愛いくて食事に時間をかけてしまっていた。

「すまない、そうだったね、名残惜しいけど…ヴィオ、部屋に戻って支度しようか…」

俺に膝の上でベッタリ抱きついているヴィオの頭を撫でてから抱き上げ連れて行こうとしたら、

「ヴァイオレット様…ご自分でお歩きください。今日は大丈夫でございましょう?」

「むぅ、……せっかくエメル様が抱っこしてくれましたので、…明日から自分で歩きますぅ」

リンに反抗してプイッとするヴィオが可愛くてついチュっとキスしてしまったら、

「この馬カップルが……、チッ!」

………、舌打ちした?…俺は聞かなかったことにしてヴィオを連れて部屋に戻ってそれぞれ支度した。

出発前にリンがヴィオに何かを耳打ちしていた、学園に向かってる間もずっとご機嫌だった。

「ヴィオ?そのご機嫌の理由は何かな?」

「ふふふふ、学園に着いたらわかりますよ~。今は~まだ秘密です。」

俺の唇に指を当てて無邪気な顔でヒミツ~なんていちいち可愛いなぁ、しみじみ真面目に生きてて良かった~こんな俺にこんな可愛い婚約者ができるなんて~結婚諦めかけてた過去の自分に教えてあげたいよ!



「エメル様、着きましたよ、早く降りましょう。」

「待って、ヴィオ、今降ろしてあげるから、ほら、こっちにおいで」

1人で飛び降りようとしたヴィオを引き留め、先に降りて手を伸ばしエスコートし……ようとしたが、ピョンと首に抱きついてきて抱き上げる形となってしまった。

「ヴィオ、人前でこれするとまたリンにお小言もらうことになるよ!」

軽く諌めるとシュンとして

「ごめんなさい、外では淑女として行動するって言ってましたのに……、」

「うん、次から気をつけようね!だから、そんなに落ち込まないで、ね!」

頭を撫でて、フニャリと綻ぶヴィオを堪能していたら、こちらに勢いよく走ってくる……?走って?

「レティ~、レティ~会いたかった~」

ものすごい勢いでヴィオに抱きついた御令嬢!…あれこの子は…確か…

「アリス!私も会いたかった~、今日から一緒にいれるの?」

「ふっふっふ!もちろん!やっと彼を落とす事ができたのよ!私もレティと一緒、卒業したらすぐ彼と結婚よ~、今は~婚前同棲中、堅物彼を調教……コホン…ラブラブと仲良くなる努力中よ!それでねぇ……仕込んで~……」

今、調教って言わなかったか?他にも躾とか仕込むとか襲うとか怪しい単語がマリン嬢の口から出てるが、ヴィオを見る限り意味がわかってないようだから、楽しそうに話を聞いてるヴィオに水を刺すのはやめておこう。

「あ!つい夢中になってしまったわ、ごめん、レティ、知ってるけど改めて紹介してくれる?お隣の…を!」

「ええ、こちらは、エメル=ブラウン伯爵令息様で、私の愛しの婚約者様よ!……テレ…」

「初めまして、ヴァイオレットの婚約者のエメル=ブラウンと申します。気軽に名前で呼んでください。よろしくお願いします。」

「初めまして、私はレティの親友のアリス=サンライズ、サンライズ伯爵家の次女です。こちらこそ気軽にアリスと呼んでくださいね。」

「ああ、君がサンライズ家の……女性初の騎士科を最短で次席を取って卒業できた男装の麗人と噂された女性騎士だね!」

「はい!本当は首席狙っていたんですが、残念ながら次席でしたが、鍛錬のおかげで、彼から一本取れて晴れて婚約者の地位を勝ち取ることができたのですよ。」

「えー!アリス、まさか彼に戦い挑んだの?」

彼って誰だ?気になる

「ええ、だって、どんなに好きだって言っても信じてもらえなくて、それじゃぁ私が一本取ったら問答無用で結婚してくださいとお願いして、騎士科で死に物狂いで鍛錬したわよ。おかげで、かなり強くなれたけどそれでも本当に一本とるの苦労したわ~、でもしっかり約束守ってくれて、ふふ、今では正真正銘私の婚約者よ。もう、私の全てを捧げたから、彼はもう、私から逃げられないわよ~ふふ、…そういえば公爵様から直々に学園内でのレティの警護頼まれたんだけど、変な奴らに絡まれて怪我させられたんだって?…今度絡んできたら、ボコボ……えーっと私が対応するから任せてね!」

「ええ、ありがとう、自分でも頑張ってみるけど、……あの方達ちょっと…変わってて…苦手だったの…アリスがいてくれると心強いわ、」

「そうだね、私もずっと側にいることは難しいし、女性が側にいてくれるのは助かるよ。しかもその辺の騎士より強いしね!」

教室では側にいられないから、腹黒い笑みを浮かべるアリス嬢を心強い味方が増えたと胸を撫で下ろした。

「ところで、アリスの婚約者様は学園に通う間は王都のタウンハウスに滞在するの?」

「うん、今は向こうが落ち着いてるから私とこっちで一緒よ、私は強いから大丈夫って言ったんだけど、ああ見えて意外と過保護だったのよ、ほら、向こうでこっち見てるでしょ!一緒に挨拶しようって言ったんだけど、私が校舎に入るの見届けたら帰るからって…、恥ずかしいみたい。あんなでかい図体してるのに意外とシャイなのよ。」

「ふふ、寡黙な方だものね!」

アリス嬢の言う方向を見ると……!!うわ、まじか!あの方は……グレン=ストロングラム公爵…確か36歳…鬼神と言われる程強い我が国の総騎士団長、ガタイもいいが強面で、堅物無口の女嫌いと言われているが…あの様子じゃ…アリス嬢が可愛くてしょうがないって顔だな。

しかし、ヴィオの周りは凄いメンツが揃っているなぁ、いい意味のメンツと厄介なメンツ、……当面はあのピンクより、王族達だな…。

2人を教室まで送りアリス嬢にヴィオを託して教室を後にすると王太子とおそらくクローバー王国の王女と第2王子が教室に入っていくのが見えた。

今日から、あの2人も学園に通うのか、確か婚約が書類上整ったと言っていたな、正式発表は次の王城での夜会ですると公爵が言っていたな、…王太子の表情が気になったが……アリス嬢が側にいてくれるから、大丈夫だと思うが、何事もなく過ごせれば良いが、と不安に駆られながら、私は教員室に向かった。
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