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2章 ニート、交友関係が広がる(1名)。
※ニートは四度目の延長戦で謝罪したけど五度目の予約も入れた。
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ベッドの上のニートに至るまでには、まだまだ難所があった。
旦那さまを子供扱いした結果瀕死になって翌朝を迎えたら、ベッドで枕にもたれかかる状態で食事もさせてもらえたから、すっかり油断していた。横になって寝ようとしたら、旦那さまが無言で俺を持ち上げる。ゆっくりと下ろされた先で再び尻に圧迫感。
変な悲鳴をあげていたら、そのままゆっくりじわじわと押し込まれて、全部入って震える俺を抱えたまま、旦那さまが仰向けになる。力を抜いていると旦那さまの胸元に寝そべる形になるから、両手をついて上半身を起こしたのだけど、それも長続きしなかった。
「ぁ、っは、ゃ、ぅ」
「この体勢だと、お前が自分から密着してくるのが面白いな」
「す、みませ、わざとじゃ、っ」
必死に手をついで体を起こそうとしたら、腕でホールドされて身動きがとれなくなって、本人にガン見されながら本人の上で喘ぐという羞恥プレイを披露する羽目になった。
これは絶対、旦那さま激おこである。拗ねた子供発言は地雷だったのかもしれない。よく考えたら、不誠実な男だと言われたらそりゃ旦那さまも怒る。俺はクソ雑魚無能ヒキニートだからいいけど、例えば立場が逆で、旦那さまがチェリーワインくんをセックスの練習に使ってます、なんて状態ならどう思うか。旦那さまどんだけクズなんだと俺も思う。旦那さまにとっては、お前はそうやって他人を利用する奴だ、という、物凄い侮辱だったわけだ。
何度かイって、震える俺を見て、ようやく彼が止まってくれる。座る姿勢に切り替えた旦那さまに名を呼ばれるので顔をあげれば、想定外に優しく食むようなキスが降ってきた。目元に何度も口付けるから、何だろうと思ったけど、その答えは旦那さまに自身が教えてくれる。
「すまない、苦しかったか」
「……いえ。……あの。旦那さま」
俺が苦しそうに見えたから止まったのか。一瞬言葉につまってしまったが、彼の謝罪で俺の罪悪感もぐさぐさ刺される。
「申し訳ありませんでした。その、旦那さまのことを、まるで。
不倫相手との本番でうまくやるために結婚相手の体を練習台にするクソニートよりもゴミクズかもしれない最低野郎みたいに言ってしまって」
「誰がそこまで言えと言った」
ショックを受けたような顔をした旦那さまを見て、あわてて、決してそんな風には思っていないと付け加える。
「そもそも、なぜ、練習だとかいう発想が出たんだ」
「ええと。仲の良いお友達がいらっしゃったので、てっきり。まだ素直になり切れていないだけかなぁ、なんて」
「……念のため、聞くが。まさかとは思うが」
「はい」
「アズヴァンのことを言っているのか」
「はい!」
旦那さまは、ふっ、と、今までに見たこともないような、目が笑っていない笑みを浮かべ。
結果、その日もとんでもない目にあい、俺はベッドの上のニートになった。という次第。
―――――
―――
――
起き上がれるようになった翌朝。俺は借りてきた猫のように大人しく固まっていた。
正面には胸筋を晒しシャツを着た筋肉。隣には俺の腰を抱いてめちゃくちゃ密着してくる筋肉。
そう。地獄の筋肉圧迫三者面談延長戦である。
「その様子を見ると、あの後上手くいったみてえだな」
「お前がルシアの部屋に入り浸っていたことは許していないが、感謝すべき点もある。だが、まず、訂正しておくべきことがある」
「は? なんだよ」
なんだか得意げに椅子にもたれていたチェリーワインくんが、前のめりに此方を見る。
「4回目だ」
「何が」
「私が、ルシアを抱くのが、4回目だ」
「……はぁ!?」
ぐるん、と、彼の首がこちらに向く。気まずい。大嘘ついた身としては滅茶苦茶気まずい。縦にがたがた震えそう。
「おま、何でそんな嘘ついた」
「ちなみに、3回目の時点で既に朝までやった」
「いらねえ! その情報いらねえ!」
「よってお前の入り込む余地はない」
「入らねえよ! アレはルシアがまだセックスしてないと思ったから発破かけようと思っただけで」
そうだったんだぁ。ということは、つまり。
「あの、では。将来的に旦那さまの恋人になるご予定は……?」
「ねえよ!!」
なん、だと。立ち上がってぜえぜえと肩で息をする彼が、はっと何かに気付いたとばかりに、真剣にこちらを見る。
「どっちだ」
「何がですか?」
「俺と、レガル。どっちが掘られる側だと思ってたんだよ」
「え?」
「レガルだよな?」
「たわけ。そんなはずがないだろう」
そうか。そう言えば、当然旦那さまが上だと思っていたが、それは俺との関係上そうなだけであって、チェリーワインくんとの間では違う可能性がある。じっと隣の旦那さまを見つめていたら、徐々に眉を寄せ始め、目が笑っていない笑みに変わる。
「ルシア。わかっているよな?」
何を? 熟考の上、俺は宣言する。
「旦那さまは意外と子供っぽいところがあると思うので、掘られる側でも行けると思います!」
自信満々に告げたその言葉で勝ち誇るガッツポーズを決めるチェリーワインくんは、旦那さまに追い掛け回されながら爆笑していた。筋肉マッチョマン二人のつかまえてごらんなさ~いってこんな感じなんだなぁ、と眺めていたら、チェリーワインくんの背中に飛び蹴りをかました旦那さまが戻って来て。
「ルシア」
「はい」
「覚悟しておけよ」
「え」
何故か俺が死刑宣告を受けることになり。
遠くの方から、チェリーワインくんのうめき声が響いていた。
旦那さまを子供扱いした結果瀕死になって翌朝を迎えたら、ベッドで枕にもたれかかる状態で食事もさせてもらえたから、すっかり油断していた。横になって寝ようとしたら、旦那さまが無言で俺を持ち上げる。ゆっくりと下ろされた先で再び尻に圧迫感。
変な悲鳴をあげていたら、そのままゆっくりじわじわと押し込まれて、全部入って震える俺を抱えたまま、旦那さまが仰向けになる。力を抜いていると旦那さまの胸元に寝そべる形になるから、両手をついて上半身を起こしたのだけど、それも長続きしなかった。
「ぁ、っは、ゃ、ぅ」
「この体勢だと、お前が自分から密着してくるのが面白いな」
「す、みませ、わざとじゃ、っ」
必死に手をついで体を起こそうとしたら、腕でホールドされて身動きがとれなくなって、本人にガン見されながら本人の上で喘ぐという羞恥プレイを披露する羽目になった。
これは絶対、旦那さま激おこである。拗ねた子供発言は地雷だったのかもしれない。よく考えたら、不誠実な男だと言われたらそりゃ旦那さまも怒る。俺はクソ雑魚無能ヒキニートだからいいけど、例えば立場が逆で、旦那さまがチェリーワインくんをセックスの練習に使ってます、なんて状態ならどう思うか。旦那さまどんだけクズなんだと俺も思う。旦那さまにとっては、お前はそうやって他人を利用する奴だ、という、物凄い侮辱だったわけだ。
何度かイって、震える俺を見て、ようやく彼が止まってくれる。座る姿勢に切り替えた旦那さまに名を呼ばれるので顔をあげれば、想定外に優しく食むようなキスが降ってきた。目元に何度も口付けるから、何だろうと思ったけど、その答えは旦那さまに自身が教えてくれる。
「すまない、苦しかったか」
「……いえ。……あの。旦那さま」
俺が苦しそうに見えたから止まったのか。一瞬言葉につまってしまったが、彼の謝罪で俺の罪悪感もぐさぐさ刺される。
「申し訳ありませんでした。その、旦那さまのことを、まるで。
不倫相手との本番でうまくやるために結婚相手の体を練習台にするクソニートよりもゴミクズかもしれない最低野郎みたいに言ってしまって」
「誰がそこまで言えと言った」
ショックを受けたような顔をした旦那さまを見て、あわてて、決してそんな風には思っていないと付け加える。
「そもそも、なぜ、練習だとかいう発想が出たんだ」
「ええと。仲の良いお友達がいらっしゃったので、てっきり。まだ素直になり切れていないだけかなぁ、なんて」
「……念のため、聞くが。まさかとは思うが」
「はい」
「アズヴァンのことを言っているのか」
「はい!」
旦那さまは、ふっ、と、今までに見たこともないような、目が笑っていない笑みを浮かべ。
結果、その日もとんでもない目にあい、俺はベッドの上のニートになった。という次第。
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起き上がれるようになった翌朝。俺は借りてきた猫のように大人しく固まっていた。
正面には胸筋を晒しシャツを着た筋肉。隣には俺の腰を抱いてめちゃくちゃ密着してくる筋肉。
そう。地獄の筋肉圧迫三者面談延長戦である。
「その様子を見ると、あの後上手くいったみてえだな」
「お前がルシアの部屋に入り浸っていたことは許していないが、感謝すべき点もある。だが、まず、訂正しておくべきことがある」
「は? なんだよ」
なんだか得意げに椅子にもたれていたチェリーワインくんが、前のめりに此方を見る。
「4回目だ」
「何が」
「私が、ルシアを抱くのが、4回目だ」
「……はぁ!?」
ぐるん、と、彼の首がこちらに向く。気まずい。大嘘ついた身としては滅茶苦茶気まずい。縦にがたがた震えそう。
「おま、何でそんな嘘ついた」
「ちなみに、3回目の時点で既に朝までやった」
「いらねえ! その情報いらねえ!」
「よってお前の入り込む余地はない」
「入らねえよ! アレはルシアがまだセックスしてないと思ったから発破かけようと思っただけで」
そうだったんだぁ。ということは、つまり。
「あの、では。将来的に旦那さまの恋人になるご予定は……?」
「ねえよ!!」
なん、だと。立ち上がってぜえぜえと肩で息をする彼が、はっと何かに気付いたとばかりに、真剣にこちらを見る。
「どっちだ」
「何がですか?」
「俺と、レガル。どっちが掘られる側だと思ってたんだよ」
「え?」
「レガルだよな?」
「たわけ。そんなはずがないだろう」
そうか。そう言えば、当然旦那さまが上だと思っていたが、それは俺との関係上そうなだけであって、チェリーワインくんとの間では違う可能性がある。じっと隣の旦那さまを見つめていたら、徐々に眉を寄せ始め、目が笑っていない笑みに変わる。
「ルシア。わかっているよな?」
何を? 熟考の上、俺は宣言する。
「旦那さまは意外と子供っぽいところがあると思うので、掘られる側でも行けると思います!」
自信満々に告げたその言葉で勝ち誇るガッツポーズを決めるチェリーワインくんは、旦那さまに追い掛け回されながら爆笑していた。筋肉マッチョマン二人のつかまえてごらんなさ~いってこんな感じなんだなぁ、と眺めていたら、チェリーワインくんの背中に飛び蹴りをかました旦那さまが戻って来て。
「ルシア」
「はい」
「覚悟しておけよ」
「え」
何故か俺が死刑宣告を受けることになり。
遠くの方から、チェリーワインくんのうめき声が響いていた。
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