無能な俺が、年下騎士さまの溺愛ゲージを溜める話。

ツキハ|BL小説

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4章 ニート、陽当たりを愛ス。

※ニートは七度目で大発見をする。

 何度聞いても耳になじまない音だと思う。ローションで濡れただけではなく、己が出したものも交じっている気がするから、余計に羞恥へダイレクトアタックだ。何度目かの、中へ沈み込んでいくものの質量に息をのみつつ、そんなことを考える。

 俺はてっきり、何かしてほしいことがあるのだろうと思ってさっきの提案をしたのだけど、レガルさまは一向に何も言わない。代わりにいつも以上に執拗に乳首が犠牲になり、ついでにいつもは触れられなかったところも全身まんべんなく口付けられたから、脳が火を噴きそうな気分。流石に脚の付け根付近まで吸い付かれたら俺も焦って止めたのだけど、詫びの一言を持ち出されたら無力なニートだ。

 たかが唇が触れるだけ、と思うなかれ。手で触れられるのとはわけが違うし、そもそも今日はなんだか、手が触れるだけでやけに気になってしょうがない。レガルさまは俺にとってあのソファみたいなもん、と思ったら、思考がクリアになって入ってくる情報量が増えた気がするのだ。今まではぼんやり気持ちがいいなと思っていたことも、これレガルさまが指でやってんのかぁ、とか、今中に入ってるのって……とか考えるともう駄目だ。いちいちレガルさまの存在がカットインしてくる。

 俺の様子がおかしいのはレガルさまもわかったらしい。でも止まってくれるかと思いきや何故か嬉々としてあちこち噛まれたので、仮に変態ではないとしてもドSなのは間違いないと思う。ひどいと訴えたら、じっとこちらを見て無言の圧を掛けられるのでニートは敗北した。どっちにしろ気持ちがいいのは間違いないので、好きにしてほしい。

「は、っ、れが、る、さま、いっかい、きゅうけぃ」
「まだ頑張れ」

 うーん。わがままイケメン野郎。俺は基本体力がないから休憩申請をするのだけど、めったに受領してもらえない。前回までは比較的マシだったのに今日はひどい。必死に気持ちよさを逃がそうとして目の前の彼にすり寄れば、代わりに奥の方まで執拗に突かれるので逆効果だし、抱き着くイコール両手が塞がるので声も抑えきれず仕舞い。

 しかも、気のせいでなければ、レガルさまは俺が余裕がない時ほど執拗に気持ちがいい所ばかり狙う気がする。さいていだ。やっぱりえっち騎士。これでヘンタイじゃあないですは通らない。多分俺限定のへんたいなんだろうと思う。それならしょうがないかと納得はするけど、流石に怖くなってきたので止めようとする。

「ま、って、ゃだ、」
「ここか?」
「っひ、ぅ」

 やだと言ったらワンモアだと誤解しているのではないだろうか? と俺は訝しんだが、確かに嫌はもっとしてに変換される界隈もあると聞くので納得した。それに、既に下半身がぐちょぐちょになるくらいの大惨事なのでもはや今更かもしれない。もう出るものも悲鳴交じりの声くらいしかないのに、レガルさまを見ると目がぎらついているのでちょっと怖いまである。思わず変な声を出して震えたら、中で大きくなったので、怯える相手に興奮するたちなのかも。騎士としてはその方がやっていけるのだろうか。

 筋肉質だから俺より一回り大きく見える彼に組み敷かれると、猛獣に抑え込まれる時くらい逃げ場がないんじゃあないかと思う。実際捕食されていると言ってもいいくらい、体中が彼の手のひらの上だから、俺に出来るのは必死に思考を繋ぎとめることだけだ。それも時間と共に難しくなるので、最終的に気づいたら朝か昼なんだけど。

 子供っぽいだとか、意外と人間としてダメだとか散々言ったけど、こうして組み敷かれれば生き物としての力の差が明白で、圧倒的よわよわのよわたるヒキニートな俺はなすすべがない。でも、それは決して悲観すべきことではないのが不思議だ。

 俺に触れる手は、本来グラスも粉砕するくらい力強いのに、どこまでも丁寧に感じられる。痛みを与えられたことは、まあ、噛みつかれる時以外はほとんどないし、噛むときも動物のじゃれあい感があるからむしろ可愛いと思う。それを理解しているのかはわからないけど、俺が怖がる素振りをみせると結構な頻度で甘噛みして甘えてくるから、それで絆される俺も大概ちょろい。

 レガルさまは俺を抱え上げて膝の上に乗せた状態でするのが好きなのか、結構長時間そうされるのだが、この体勢は深く入り過ぎるから要注意である。そうだというのに、レガルさまとしては俺と会話をする時間だと思っている節があって、大抵そこであらぬ言質をとられて休憩が無しになるので、そういうところは詐欺師とかアクドイ商売をする人と呼びたい気分。


「ルシア、今回はまだ、出迎えが終わっていない」
「は、ぇ?」

 なんのこっちゃい、と思って見つめ返せば、軽く口付けられるので、そこでようやく察した。中の圧迫感に震えつつ、ふに、と唇を触れさせれば、そのままぬめる舌が潜り込んでくる。出迎えもディープな奴なのかぁ、と謎の感動を覚えていれば、そんな思考をする余裕もないくらいに中を揺さぶられる。

 ――これはセックスの練習でもないし、彼がヘンタイすぎて俺を使っているだけでもない。俺は気持ちがいいからしているだけではないし、それはレガルさまもおんなじ。互いに手をとって、触れる時間があることは、俺にとって昼寝とおんなじくらいに幸福だと実感する。こうしていると、レガルさまも同じだと、不思議と信じられるから面白い。

 世の中の偉い人とか、俺より賢い皆は、きっと知っているのだろうけど。俺にとってはこれは。誰かと繋がる幸福は、人類史上最大級の、世紀の大発見に思えていた。
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