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第二章
セブンスター 2
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飛行機に乗る。久しぶりの飛行機は少しドキドキした。あの飛行機のなんとも言えない浮遊感がいまだに少し苦手だ。隣を見ると先輩は外の景色を見ていた。
「先輩、もう出発するみたいですよ。」
「私飛行機乗るの大好きなのね、なんでかって言うと上から見ると自分の生活している場所なんてほんとちっぽけで。すごくどうでもいいことに感じられるからなんだよね。」
「まあでも私達の悩みだって、きっと無意味じゃないですよ。迷っている僕たちがいて、それのせいで毎日もがいて必死になって生きているのだから十分地球規模の悩みと一緒ですよ。」
そう言うと彼女は不思議そうな顔をした。そして笑った。
「あはは、相変わらず面白いね君は。君のたまに出るそういう発言がやっぱり好きだな。そうだね、私たちはその小さな石でさえ乗り越えるのに苦労してるんだもんね。」
飛行機が離陸し、先輩は気づくと寝ていた。
「先輩の寝顔そういえば初めて見たな。」
なんだか無謀に顔で寝ている先輩の顔をずっと見ているのが、申し訳なくなって僕も目を閉じた。
「及川くん、ついたよ。及川くん!」
何回か揺さぶられて僕はようやく目が覚めた。どうやら知らないうちに眠っていたらしい。
「いくよ、いざ北海道!」
嬉しそうにはしゃぐ彼女を見れただけでも付いてきた価値はあったとその時に思った。
気温は20°で夏でありながら過ごしやすい気温だった。半袖だとなんなら少し夜は肌寒く感じるかも知れない。
「まずはどこに行くんですか?」彼女に一番気になっていた、目的地をいよいよ聞く時が来た。
「まずは君を今回誘った時から絶対に行こうと思っていた場所に行こうと思う。」
「それってどこです?」
「なんでもかんでも教えちゃうのは面白みがないな。及川くん、当ててみてよ。」
「うーん、旭川動物園とか!」
「違う。私動物あまり好きじゃないし。」
「五稜郭とかはどうですか、夜景も綺麗ですし。」
「それも違うなー。でも確かにありかも、そこはじゃあ夜に行こうよ。」
「じゃあどこなんですか、もうわからないですよ。」
「私たちを繋いでくれたもの。私たちが仲良くなれたきっかけのもの。」
「たばこ....ですよね。まさかセブンスターの木ですか?」
「そう、なんだ分かってんじゃん。じゃあここからはレンタカーでそこまで向かうよ!」
「え、でも僕免許ないですし。力になりませんよ?」
「分かってるよ、及川くんは隣でただ座ってればいいの。私が目的地まで運転するから君は何も心配することはないよ。」
初めて運転免許を取っておけばよかったと後悔した。いい年して免許なくて運転できないなんて、すごく情けない。
そんな僕の様子を感じ取ったかのように彼女は大きな声で言った。
「いーの、君は気にしなくて。私が行きたい場所だから私が運転する。何もおかしいことなんてないでしょ。そのかわり疲れたら君に何か甘いものでも奢ってもらうから、覚悟しといてね。」
「わかりました、その時はもうなんでも言ってくださいね。」肩の荷が一言でスッと落ちたのを感じた。僕はその時
彼女の懐の広さに感謝したし、改めてこの人みたいな先輩になりたいと思った。そして彼女の知らなかった魅力が少しずつこの旅行を通して見えてきていた。その後僕たちは、空港でレンタカーを借りて目的地のセブンスターの木がある美瑛に向かうのだった。
「先輩、もう出発するみたいですよ。」
「私飛行機乗るの大好きなのね、なんでかって言うと上から見ると自分の生活している場所なんてほんとちっぽけで。すごくどうでもいいことに感じられるからなんだよね。」
「まあでも私達の悩みだって、きっと無意味じゃないですよ。迷っている僕たちがいて、それのせいで毎日もがいて必死になって生きているのだから十分地球規模の悩みと一緒ですよ。」
そう言うと彼女は不思議そうな顔をした。そして笑った。
「あはは、相変わらず面白いね君は。君のたまに出るそういう発言がやっぱり好きだな。そうだね、私たちはその小さな石でさえ乗り越えるのに苦労してるんだもんね。」
飛行機が離陸し、先輩は気づくと寝ていた。
「先輩の寝顔そういえば初めて見たな。」
なんだか無謀に顔で寝ている先輩の顔をずっと見ているのが、申し訳なくなって僕も目を閉じた。
「及川くん、ついたよ。及川くん!」
何回か揺さぶられて僕はようやく目が覚めた。どうやら知らないうちに眠っていたらしい。
「いくよ、いざ北海道!」
嬉しそうにはしゃぐ彼女を見れただけでも付いてきた価値はあったとその時に思った。
気温は20°で夏でありながら過ごしやすい気温だった。半袖だとなんなら少し夜は肌寒く感じるかも知れない。
「まずはどこに行くんですか?」彼女に一番気になっていた、目的地をいよいよ聞く時が来た。
「まずは君を今回誘った時から絶対に行こうと思っていた場所に行こうと思う。」
「それってどこです?」
「なんでもかんでも教えちゃうのは面白みがないな。及川くん、当ててみてよ。」
「うーん、旭川動物園とか!」
「違う。私動物あまり好きじゃないし。」
「五稜郭とかはどうですか、夜景も綺麗ですし。」
「それも違うなー。でも確かにありかも、そこはじゃあ夜に行こうよ。」
「じゃあどこなんですか、もうわからないですよ。」
「私たちを繋いでくれたもの。私たちが仲良くなれたきっかけのもの。」
「たばこ....ですよね。まさかセブンスターの木ですか?」
「そう、なんだ分かってんじゃん。じゃあここからはレンタカーでそこまで向かうよ!」
「え、でも僕免許ないですし。力になりませんよ?」
「分かってるよ、及川くんは隣でただ座ってればいいの。私が目的地まで運転するから君は何も心配することはないよ。」
初めて運転免許を取っておけばよかったと後悔した。いい年して免許なくて運転できないなんて、すごく情けない。
そんな僕の様子を感じ取ったかのように彼女は大きな声で言った。
「いーの、君は気にしなくて。私が行きたい場所だから私が運転する。何もおかしいことなんてないでしょ。そのかわり疲れたら君に何か甘いものでも奢ってもらうから、覚悟しといてね。」
「わかりました、その時はもうなんでも言ってくださいね。」肩の荷が一言でスッと落ちたのを感じた。僕はその時
彼女の懐の広さに感謝したし、改めてこの人みたいな先輩になりたいと思った。そして彼女の知らなかった魅力が少しずつこの旅行を通して見えてきていた。その後僕たちは、空港でレンタカーを借りて目的地のセブンスターの木がある美瑛に向かうのだった。
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