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第1章 梅枝七海(14歳)=立松千宙(14歳)
§1 二人の出会い
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6月も梅雨入りし、うっとうしい雨が朝の登校を憂鬱にさせる。二人はほぼ毎朝、この橋のたもとで待ち合わせをし、青葉市立第一中学校へ通学している。
「立松、ごめんね、待たせて!髪の毛が上手くまとまらなくて…」
「遅いよ、梅枝、遅刻するぞ!」
立松千宙は橋に向かって左側の住宅街に、梅枝七海は右側の坂を上った所に住んでいる。この橋から学校までは歩いて15分、今日は急がねばならない。
二人が仲良くなったきっかけは、中学2年で同じクラスになり、二人とも保健委員に選ばれたからだった。それまでは、お互いに名前も知らない同士だった。立松はサッカー部、梅枝は陸上部で、グランドで顔を合わせていたはずだが、関心がなかったというのが昨年までの事だった。
保健委員の学期始めの仕事は、身体測定の補助やその整理だった。最初の委員会で、梅枝は彼を頼りにしていた。
「立松君は、1年の時も保健委員だったんでしょ。わたし初めてで、よく分からないから教えてね。何をすればいいの?」
「身体測定は一人ひとりの記録を書いて、終わった後でカードを整理するだけだよ。他には、保健だよりの作製が1回まわってくるけど、大したことないよ。」
立松君は中々しっかりしていて、頼りになりそうだ。サッカー部だと言っていたが、色黒で背は高いし、きりっとした眉毛と二重まぶたの目元が男らしい。タイプという訳ではないが、嫌いではない。向こうは私に関心がないのか、教室でもあまり話をすることがない。でも、部活動の時、サッカー部の練習を意識して見るようになっていて、月1回の委員会が待ち遠しかった。
立松が言っていた保健だよりの当番が、5月にまわって来た。養護の片平先生と相談して進めるが、テーマは『中学生の男女交際』だった。なぜ保健だよりにこのテーマなのか疑問だったが、先生のアドバイスもあり、アンケートをとる事になった。二人は放課後の教室で、頭を悩ませていた。
「どうする?アンケートって、何を聞けば良いのかな?」と私がつぶやくと、
「梅枝は、男子と交際したい?交際したとして、何をしたい?」と訊かれた。
「好きな人ができたら、付き合いたいな。一緒に帰ったり、ご飯を食べたりして、いろんな話がしたいかな。」
「それだけ?二人でデートしたり、手をつないだりは?」
「立松はすごいね!顔色を変えずに、そんなことを訊いてくるなんて!」
私は彼を意識しすぎて、顔を赤くしていた。
「俺が個人的に訊いているんじゃなくて、一般的にどうかということだよ!そういう事を、アンケートで聞いたらどうだろう?」
立松君は客観的な立場で考えていたのに、私は主観的過ぎて恥ずかしかった。私は彼の事を、好きになり始めているみたいだ。初めての感覚でよく分からないが、一緒にいるだけで嬉しいし、話をするのも楽しい。もっと彼の事を知りたいとも思う。「交際したとして、何をしたい?」と訊かれた時には、驚いた。「デートしたり、手をつないだりは?」と訊かれて、ドキドキした。彼は何とも思っていないみたいで、平然と仕事を進めている姿に感心した。
「立松、ごめんね、待たせて!髪の毛が上手くまとまらなくて…」
「遅いよ、梅枝、遅刻するぞ!」
立松千宙は橋に向かって左側の住宅街に、梅枝七海は右側の坂を上った所に住んでいる。この橋から学校までは歩いて15分、今日は急がねばならない。
二人が仲良くなったきっかけは、中学2年で同じクラスになり、二人とも保健委員に選ばれたからだった。それまでは、お互いに名前も知らない同士だった。立松はサッカー部、梅枝は陸上部で、グランドで顔を合わせていたはずだが、関心がなかったというのが昨年までの事だった。
保健委員の学期始めの仕事は、身体測定の補助やその整理だった。最初の委員会で、梅枝は彼を頼りにしていた。
「立松君は、1年の時も保健委員だったんでしょ。わたし初めてで、よく分からないから教えてね。何をすればいいの?」
「身体測定は一人ひとりの記録を書いて、終わった後でカードを整理するだけだよ。他には、保健だよりの作製が1回まわってくるけど、大したことないよ。」
立松君は中々しっかりしていて、頼りになりそうだ。サッカー部だと言っていたが、色黒で背は高いし、きりっとした眉毛と二重まぶたの目元が男らしい。タイプという訳ではないが、嫌いではない。向こうは私に関心がないのか、教室でもあまり話をすることがない。でも、部活動の時、サッカー部の練習を意識して見るようになっていて、月1回の委員会が待ち遠しかった。
立松が言っていた保健だよりの当番が、5月にまわって来た。養護の片平先生と相談して進めるが、テーマは『中学生の男女交際』だった。なぜ保健だよりにこのテーマなのか疑問だったが、先生のアドバイスもあり、アンケートをとる事になった。二人は放課後の教室で、頭を悩ませていた。
「どうする?アンケートって、何を聞けば良いのかな?」と私がつぶやくと、
「梅枝は、男子と交際したい?交際したとして、何をしたい?」と訊かれた。
「好きな人ができたら、付き合いたいな。一緒に帰ったり、ご飯を食べたりして、いろんな話がしたいかな。」
「それだけ?二人でデートしたり、手をつないだりは?」
「立松はすごいね!顔色を変えずに、そんなことを訊いてくるなんて!」
私は彼を意識しすぎて、顔を赤くしていた。
「俺が個人的に訊いているんじゃなくて、一般的にどうかということだよ!そういう事を、アンケートで聞いたらどうだろう?」
立松君は客観的な立場で考えていたのに、私は主観的過ぎて恥ずかしかった。私は彼の事を、好きになり始めているみたいだ。初めての感覚でよく分からないが、一緒にいるだけで嬉しいし、話をするのも楽しい。もっと彼の事を知りたいとも思う。「交際したとして、何をしたい?」と訊かれた時には、驚いた。「デートしたり、手をつないだりは?」と訊かれて、ドキドキした。彼は何とも思っていないみたいで、平然と仕事を進めている姿に感心した。
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