危険な森で目指せ快適異世界生活!

ハラーマル

文字の大きさ
1 / 361
第1章:異世界の森で生活開始

Prologue

しおりを挟む
・・・・・・暗い。

ここは、どこなの。

気がつくと、目の前は真っ暗、というか私寝転がってるの?

体を起こして周りを見ても、暗くてほとんど何も見えない。
右側に光が差し込んでいるところがあるから、そこだけ明るく見えた。
いったいここはどこなんだろ。
私は・・・


「荘介!!!!!」

名前を呼んで、周りを見渡すが、荘介は見当たらない。
そうだ、私は水原琴波、高校三年生。今日は18歳の誕生日で、1か月前から付き合っている彼氏の荘介と、誕生日デートをしていたはずで・・・

見せたい景色があると言われて、少し離れた展望台に向かっていたはず。
そこで確か・・・


「そうだ、私売られたんだ。」

思い出した、荘介に連れて行かれたのは展望台じゃなくて、展望台から少し外れた駐車場みたいなところだった。
そこになんかチャラそうな男の人が3人いて、真ん中のでっかい人が荘介に、話しかけてた。「よくやった」って。
それからその男が荘介に、お金渡してた。
・・・それで私は?


荘介が男に「こいつです。好きにしてください。」っていって、私の背中を押したんだ。
その男に腕を掴まれて、なんか気持ち悪いことたくさん言われて、怖くなって、荘介に「助けて!」っていって・・・
そしたら


 ♢ ♢ ♢

「は? 助けるって? そもそも嶋田さんがお前のこと見かけて『タイプだから連れてこい。金やるから。』って言われたから、お前に近づいたんだが? お前なんかタイプでも何でもないんだけど。そもそも、俺、彼女いるから。一回くらいなら遊んでやろうかと思ったけど、全然ヤらしてくんないし、マジでつらかったわ。そのくせお前は毎日毎日飽きもせずに、メッセージやら電話やらしてくるし。あれちゃんと返してたこと感謝しろよ? 彼女と必死に文面考えたんだからな。」

 ♢ ♢ ♢


そうだ。そうだ。
あいつ、この男に私を売るために、私に近づいたんだって!
それで、その後何されるか分かって、逃げたんだ。展望台に行けば、誰かいるかもって。助けてくれるかもって。必死に逃げたんだ。
誕生日デートに張り切って、普段はかないヒール履いてたから、靴脱いで裸足で。


でも展望台には誰もいなかった。
あっちは私より体の大きい男が4人。
あいつらが迫ってきて、このままだと捕まって、ひどいことされるって。




それで、飛び降りたんだ。





「はぁぁぁー。誕生日に、彼氏に売られて、逃げ切れずに自殺って。間違いなく最低の誕生日よね」


ん?


そうだよね。私、展望台から飛び降りたんだよね! 少し下見たけど、すっごい高かったよね! なんで生きてるの? 
自分の体をあちこち触ってみたり、立ち上がって屈伸してみたりしたが、どこも痛くないし、出血している様子もない。


まさか、全部夢だったってこと?いや、服は間違いなく昨日の夜から必死に選んだ服だし、下着もこの日のために勇気出してかった一番かわいいやつだし、脱ぎ捨てたから靴履いてないし。


いったいここはどこなんだろ。なんで私は生きてるんだろう。


 ♢ ♢ ♢


ここで悩んでいても仕方がないので、自分の周りの状況を確認することにした。

触ってみた感じ、今座ってるのは、土の上かな?
少し時間がたって、目が慣れてきたけど、周りを見渡しても、特に何もない。
唯一、光が差し込んでいるところがあるのみ。あそこが出口なんだろうか。

他に手はないので、光が見える方向に歩いてみることにした。
暗くて足下もよく見えないため、一歩ずつ、慎重に足場を確認しながら進んでいく。
5分くらい歩いて、光の差し込んでいた場所、出口にたどり着いた。
そこからゆっくり顔を出してみると、半円状の地面が続いていた。
少し前にでると、そこには雄大な自然が広がっていた。
立っている地面の下には広大な森が広がっている。
どうやらここは崖の上のようである。上を見上げると、綺麗な青空が広がっていた。
その自然の美しさと壮大さに、思わず息をのんだ。


上下左右を見渡した結果、どうやら今出てきた洞窟は、森にあるちょっとした山の側面の崖に入り口があるようだ。歩いてきた感じ、上っている感じも下っている感じもしなかったので、崖に空いた穴から、まっすぐ洞窟が広がっているみたい。
一瞬、展望台のあった山の麓なのかと思ったが、洞窟のあった山は、洞窟の穴の少し上が頂上らしく、どう考えても展望台のあった山ではない。


では、ここはどこなのか。その答えは分からない。

・・・ただ、確実なことがある。ここは日本じゃない。というか、地球でもない。

眼下の森、洞窟のある崖から少し離れた場所を、大きな動物が歩いているのが見える。
ただ、こんな動物私は知らない。森に生える木々は、見た感じその高さが十数メートルだった。
そして、その森を歩く大きな動物は、その森の木々よりもでかい。
四足歩行で、ゆっくり、「のっそのっそ」といった感じで、森の中を歩いている。
その鼻あたりからはすごく長く鋭い角のようなものが生えてるし、体からはゴツゴツした棘が無数に生えている。

・・・どう考えても、地球の生物ではない。
それに空を見ると、大きな鳥が飛んでいた。
ただ、この鳥、首が2つある。見間違いかと思ったが、見える範囲にいる鳥4羽全ての首が、2つあった。


・・・うん。とりあえず、パニクってもしょうがない。
見えている現実と、飛び降りたはずなのに無傷でピンピンしている事実、これから推測するに、これはあれだ。よくラノベや漫画でみるあれだ。異世界ってやつだ。


・・・どうやら私は、彼氏に売られ、逃げ出して、展望台から飛び降りたら、異世界に来てしまったようです。
しおりを挟む
感想 125

あなたにおすすめの小説

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

【短編】花婿殿に姻族でサプライズしようと隠れていたら「愛することはない」って聞いたんだが。可愛い妹はあげません!

月野槐樹
ファンタジー
妹の結婚式前にサプライズをしようと姻族みんなで隠れていたら、 花婿殿が、「君を愛することはない!」と宣言してしまった。 姻族全員大騒ぎとなった

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

孤児による孤児のための孤児院経営!!! 異世界に転生したけど能力がわかりませんでした

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はフィル 異世界に転生できたんだけど何も能力がないと思っていて7歳まで路上で暮らしてた なぜか両親の記憶がなくて何とか生きてきたけど、とうとう能力についてわかることになった 孤児として暮らしていたため孤児の苦しみがわかったので孤児院を作ることから始めます さあ、チートの時間だ

転生貴族のスローライフ

マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である *基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

わたし、不正なんて一切しておりませんけど!!

頭フェアリータイプ
ファンタジー
書類偽装の罪でヒーローに断罪されるはずの侍女に転生したことに就職初日に気がついた!断罪なんてされてたまるか!!!

莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ

翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL 十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。 高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。 そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。 要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。 曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。 その額なんと、50億円。 あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。 だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。 だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。

処理中です...