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第1章:異世界の森で生活開始
閑話:不思議なお姉ちゃん
本当に、不思議な人です。いや言ってしまえば、変な人、です。
僕の名前は、カイト。
お姉ちゃん、コトハさんに、付けてもらった大切な大切な、名前です。
お姉ちゃんには、「敬語で話さないように」、と言われましたが、昔からの口調をすぐに変えることはできませんでした。どうにかして、お姉ちゃんと話すときは、口調を崩すように気を付けています。
夜ご飯を食べ終わり、片付けを終えると、洞窟の奥に入って、休みます。
僕のためにお姉ちゃんが作ってくれたベッドに入り、目を閉じます。
・・・・・・思い出すのは、お姉ちゃんと出会ったときのこと。お姉ちゃんと出会ってから、それほど時間は経っていませんが、懐かしい、大切な記憶です。
♢ ♢ ♢
僕がお姉ちゃんと初めて出会ったのは、クライスの大森林の奥深くでした。
妹のポーラと一緒に、村から追放され、川に流され、陸に打ち上げられていました。
誰か人はいないのか、食べるものはないのかと、川岸の近くを歩いていると、大きく開けた場所に出ました。
その場所に足を踏み入れるのと同時に、反対側から、大きな魔獣が歩いてきました。
おそらくあの魔獣の名前は、フォレストタイガーです。その巨体から繰り出される攻撃や、巧みに操る魔法で、多くの人を殺してきた危険な魔獣です。一頭でもいれば、多くの町や村が破壊されるといいます。
そんな危険な魔獣が目の前に・・・・・・
震える足を踏ん張って、必死にポーラを後ろに下げ、フォレストタイガーに向かいますが、それ以上動くことができません。どういうわけか、フォレストタイガーが僕たちを見つめたまま動きません。もしかしたら、クライスの大森林から出たことの無い、つまり『人間』を見たことがない個体なのかもしれません。
・・・・・・フォレストタイガーと向かい合って、既に数十分が経過したような気も、数十秒しか経っていないような気もします。
どうにか、フォレストタイガーの気を逸らして、ポーラだけでも逃がさないと・・・
そんなことを考えていると、「火の壁!」と大きな声が聞こえてきました。
すると、僕たちとフォレストタイガーの間に、大きな火の壁が現れました。
『火魔法』の、それも魔法の上級者が使う、『ファイアウォール』に似ています。
ですが、昔、屋敷で兵士が訓練しているときに見たどんな魔法よりも大きく、少し離れているのに、熱さを感じました。
現れた火の壁に、呆然としていると、「こっち!! 走って!!」と、叫ぶ声が聞こえました。
我に返って、そちらを向くと、1人の女の人が立っていました。
よく考えることもできませんでしたが、助けようとしてくれていることだけは理解できました。腰を抜かしているポーラを無理矢理立たせて、女の人の方へ走ります。
途中、女の人が再び何かを叫ぶと、女の人とフォレストタイガーの間にも、火の壁が出現しました。
女の人のもとへたどり着くと、「こっち! ついてきて!」と言われました。
ポーラは彼女が抱いて、森の中を走ります。
しばらく走ると、大きな岩山が見えてきました。
彼女はそこに、いきなり階段を作り出しました。
・・・今のは魔法でしょうか? なにか一言呟いていたようですが、特に詠唱していた様子はありません。魔法を使うには、長い呪文を唱える必要があると習いました。それをしなくていいのは、『魔族』などの種族や、すごい魔法使い様だけだと。
彼女はすごい魔法使い様なのでしょうか。
ですが彼女はとても若く見えます。僕より少し年上、屋敷で働いていたメイドくらいに見えます。
黒い綺麗な髪が肩より少し下まで伸びていて、身長も僕より高い。体つきはとても女性らしく、手足はすらりと細い。それに顔はとても綺麗です。綺麗な肌に、小さな口、整った鼻に、大きな黒い瞳です。黒色の瞳の人は、あまりみたことがないけれど、とても綺麗です。一度だけお目にかかったことがある、王女様より全然綺麗だと思います。
『エルフ』の特徴である長い耳は、彼女にはないので、『魔族』でしょうか。
・・・まあ、彼女が誰であれ、僕たちを助けてくれたことには変わりありません。
彼女の作った階段を上り、彼女の生活している洞窟の中に入りました。
ポーラは既に寝てしまっています。妹は昔から、人の善悪を見抜くのが得意でした。村でも、暴力を振るう人、悪口を言う人にはなるべく近づかないようにしていました。
そんな妹が気を許すのですから、彼女はいい人だと思います。
・・・・・・こうして、僕たちは、彼女、コトハお姉ちゃんに助けられ、名前をもらい、一緒に暮らすことになりました。
その後は、驚きの連続でした。
伝説の木の実である、『アマジュの実』を、朝ごはんや日々のデザートにしています。
フォレストタイガーやファングラヴィットを、一撃で倒してしまいます。
無詠唱で、いろんな魔法を使います。
希少なスキルの『鑑定』を使うことができます。しかも、人のステータスまで調べられるそうです。
僕たちにも魔法が使えると言われたときは、びっくりしました。ただ、魔法はポーラの方が得意なようです。
そこまで強くないとはいえ、厄介な魔物、スライムを従魔にしています。従魔契約は、とても難しい魔法だと聞いたことがあります。
こんな感じで、お姉ちゃんと暮らし始めてまだ数日なのに、驚きが連続です。
それにお姉ちゃんは、常識的なことを知らないことが多いです。
『アマジュの実』の話や、倒した魔獣の話、魔法の話も知りませんでした。
お姉ちゃんは、『魔竜族』という種族だそうです。聞いたことが無い種族でした。
♢ ♢ ♢
お姉ちゃんと出会ってからのことを思い出すと、どれも嘘みたいです。
それでも、僕たちを助けてくれて、一緒にいてくれる、大切な人です。
今は、魔獣の解体でしか役に立てていないので、もっと役に立ちたいです。
できれば、僕も戦えるようになりたいです。
お姉ちゃんのような綺麗な人が、危険な魔獣と戦っているのは、なんだか怖い気持ちになります。
ですが、僕はまだまだ弱いです。魔法も全然使えません。お姉ちゃんを守れるように、もっと強くなりたいです。
僕の名前は、カイト。
お姉ちゃん、コトハさんに、付けてもらった大切な大切な、名前です。
お姉ちゃんには、「敬語で話さないように」、と言われましたが、昔からの口調をすぐに変えることはできませんでした。どうにかして、お姉ちゃんと話すときは、口調を崩すように気を付けています。
夜ご飯を食べ終わり、片付けを終えると、洞窟の奥に入って、休みます。
僕のためにお姉ちゃんが作ってくれたベッドに入り、目を閉じます。
・・・・・・思い出すのは、お姉ちゃんと出会ったときのこと。お姉ちゃんと出会ってから、それほど時間は経っていませんが、懐かしい、大切な記憶です。
♢ ♢ ♢
僕がお姉ちゃんと初めて出会ったのは、クライスの大森林の奥深くでした。
妹のポーラと一緒に、村から追放され、川に流され、陸に打ち上げられていました。
誰か人はいないのか、食べるものはないのかと、川岸の近くを歩いていると、大きく開けた場所に出ました。
その場所に足を踏み入れるのと同時に、反対側から、大きな魔獣が歩いてきました。
おそらくあの魔獣の名前は、フォレストタイガーです。その巨体から繰り出される攻撃や、巧みに操る魔法で、多くの人を殺してきた危険な魔獣です。一頭でもいれば、多くの町や村が破壊されるといいます。
そんな危険な魔獣が目の前に・・・・・・
震える足を踏ん張って、必死にポーラを後ろに下げ、フォレストタイガーに向かいますが、それ以上動くことができません。どういうわけか、フォレストタイガーが僕たちを見つめたまま動きません。もしかしたら、クライスの大森林から出たことの無い、つまり『人間』を見たことがない個体なのかもしれません。
・・・・・・フォレストタイガーと向かい合って、既に数十分が経過したような気も、数十秒しか経っていないような気もします。
どうにか、フォレストタイガーの気を逸らして、ポーラだけでも逃がさないと・・・
そんなことを考えていると、「火の壁!」と大きな声が聞こえてきました。
すると、僕たちとフォレストタイガーの間に、大きな火の壁が現れました。
『火魔法』の、それも魔法の上級者が使う、『ファイアウォール』に似ています。
ですが、昔、屋敷で兵士が訓練しているときに見たどんな魔法よりも大きく、少し離れているのに、熱さを感じました。
現れた火の壁に、呆然としていると、「こっち!! 走って!!」と、叫ぶ声が聞こえました。
我に返って、そちらを向くと、1人の女の人が立っていました。
よく考えることもできませんでしたが、助けようとしてくれていることだけは理解できました。腰を抜かしているポーラを無理矢理立たせて、女の人の方へ走ります。
途中、女の人が再び何かを叫ぶと、女の人とフォレストタイガーの間にも、火の壁が出現しました。
女の人のもとへたどり着くと、「こっち! ついてきて!」と言われました。
ポーラは彼女が抱いて、森の中を走ります。
しばらく走ると、大きな岩山が見えてきました。
彼女はそこに、いきなり階段を作り出しました。
・・・今のは魔法でしょうか? なにか一言呟いていたようですが、特に詠唱していた様子はありません。魔法を使うには、長い呪文を唱える必要があると習いました。それをしなくていいのは、『魔族』などの種族や、すごい魔法使い様だけだと。
彼女はすごい魔法使い様なのでしょうか。
ですが彼女はとても若く見えます。僕より少し年上、屋敷で働いていたメイドくらいに見えます。
黒い綺麗な髪が肩より少し下まで伸びていて、身長も僕より高い。体つきはとても女性らしく、手足はすらりと細い。それに顔はとても綺麗です。綺麗な肌に、小さな口、整った鼻に、大きな黒い瞳です。黒色の瞳の人は、あまりみたことがないけれど、とても綺麗です。一度だけお目にかかったことがある、王女様より全然綺麗だと思います。
『エルフ』の特徴である長い耳は、彼女にはないので、『魔族』でしょうか。
・・・まあ、彼女が誰であれ、僕たちを助けてくれたことには変わりありません。
彼女の作った階段を上り、彼女の生活している洞窟の中に入りました。
ポーラは既に寝てしまっています。妹は昔から、人の善悪を見抜くのが得意でした。村でも、暴力を振るう人、悪口を言う人にはなるべく近づかないようにしていました。
そんな妹が気を許すのですから、彼女はいい人だと思います。
・・・・・・こうして、僕たちは、彼女、コトハお姉ちゃんに助けられ、名前をもらい、一緒に暮らすことになりました。
その後は、驚きの連続でした。
伝説の木の実である、『アマジュの実』を、朝ごはんや日々のデザートにしています。
フォレストタイガーやファングラヴィットを、一撃で倒してしまいます。
無詠唱で、いろんな魔法を使います。
希少なスキルの『鑑定』を使うことができます。しかも、人のステータスまで調べられるそうです。
僕たちにも魔法が使えると言われたときは、びっくりしました。ただ、魔法はポーラの方が得意なようです。
そこまで強くないとはいえ、厄介な魔物、スライムを従魔にしています。従魔契約は、とても難しい魔法だと聞いたことがあります。
こんな感じで、お姉ちゃんと暮らし始めてまだ数日なのに、驚きが連続です。
それにお姉ちゃんは、常識的なことを知らないことが多いです。
『アマジュの実』の話や、倒した魔獣の話、魔法の話も知りませんでした。
お姉ちゃんは、『魔竜族』という種族だそうです。聞いたことが無い種族でした。
♢ ♢ ♢
お姉ちゃんと出会ってからのことを思い出すと、どれも嘘みたいです。
それでも、僕たちを助けてくれて、一緒にいてくれる、大切な人です。
今は、魔獣の解体でしか役に立てていないので、もっと役に立ちたいです。
できれば、僕も戦えるようになりたいです。
お姉ちゃんのような綺麗な人が、危険な魔獣と戦っているのは、なんだか怖い気持ちになります。
ですが、僕はまだまだ弱いです。魔法も全然使えません。お姉ちゃんを守れるように、もっと強くなりたいです。
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