危険な森で目指せ快適異世界生活!

ハラーマル

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第1章:異世界の森で生活開始

第22話:新スキルを試してみよう

洞窟に帰ると、グレイムラッドバイパーから得た肉や皮などを、素材を保管している場所に仕舞う。洞窟の奥、生活スペースの端を区切って、保管庫として使っていたが、スペースに余裕がなくなってきた。
魔石や牙など、肉以外の素材は、いろいろ使い道があるらしいし、試してみたいこともあるので保管しているが、増えていく一方だ。そろそろ洞窟を含めた、生活環境の見直しが必要かもしれない。
酸袋と毒袋は、万が一を考えて、崖の下に、大きな箱を『土魔法』で作り、そこで保管しておく。寝ている間に、毒が漏れ出たら大惨事になってしまう。

カイトとポーラは、片付けを終えるとすぐに寝てしまった。やはり、疲れたのだろう。
リンも、自分の寝床の上で。動かなくなっている。
・・・たぶん、寝ている。

私も寝ようと思ったが、先に片付けておくべき問題がある。
戦いの最中、変化した腕や脚、生えてきた鱗に角。これをどうにかしないと、寝ることもできない。
ひとまず、原因と思われる、『竜人化』について調べることにする。

 ♢ ♢ ♢

『竜人化』
 身体の魔素適応度に応じて、竜の特徴たる鱗、角、牙、爪、翼、尻尾を顕現させることができる。
 鱗等は、身体の魔素適応度に応じて、その硬さや鋭さが増す。

 ♢ ♢ ♢


・・・・・・なる、ほど?
魔素適応度は、分からないが、身体に竜の特徴を纏えるようになるスキルのようだ。
まあ、これは予想通り。
というか、翼に尻尾? そんなものないけど・・・?

出そうと思えば出せるのかと思ったが、そうはいかないらしく、何度か「翼よー、出でよ!」「尻尾よー、顕現せよ!」と、念じたり、叫んだりしたが、出てこなかった。
・・・なんか、客観的にみて、危ないヤツだ。カイト達に見られなくてよかった・・・

一方で、身体を覆っていた鱗や、指が伸び、鋭い爪が生えていた手足は、「元に戻れ!」と念じると、すぐに元に戻った。一安心である。
『竜人化』については、まだよく分からないが、少なくとも、見た目が変わり、身体能力が向上することは分かっている。それに、物理戦闘能力も高そうだった。
明日以降、ゆっくり検証していくことにしよう。
今回のこともあって、きちんと戦う準備をする必要性は、再確認できた。とはいえ、焦っても仕方がない。




翌日、カイト達には昨日の疲れもあるだろうからと、洞窟でゆっくりしておくように伝えて、1人で森に来た。それに力加減の分からない実験段階で、近くにいると危ないかもしれない。
やるのはもちろん、『竜人化』のテスト兼訓練である。

まず、部分ごとに、竜の身体を顕現させることができるのかを試す。
鱗で身体を覆うことを念じると、昨日、鱗が生えていた箇所に、鱗が生えそろった。
そういえば、『竜人化』のスキルを使うときも、とくになにか呪文のようなものを唱える必要も、「『竜人化』!」、と叫ぶ必要もないようだ。
・・・・・・「『竜人化』!」と叫ぶのは、少しイタいから、幸いだった。

それから、手だけ『竜人化』させたり、足だけ『竜人化』させたり、角だけ生やしたりと、いろいろ試した。
また、『竜人化』した状態での、行動チェックもやってみた。

昨日も使ったが、脚を『竜人化』させると、脚力がとんでもないことになった。
軽くジャンプしただけで、数メートルは、垂直にも、前後にも跳ぶことができた。
それに、軽く蹴っただけで、太い大木が砕け散った。
次に腕を『竜人化』させてみる。
それで殴れば同じく、太い大木が砕け散るし、ヘビを切り裂いた爪での攻撃も強力だった。

そして一番驚いたのは、魔法の威力が上がったことだった。
・・・体感で5割増しくらいだろうか。
腕を『竜人化』させ、いつもと同じように『ストーンバレット』を放ってみると、弾丸の大きさといい、スピードといい、かなり強力になっていた。
・・・・・・これでは、ファングラヴィットなんか、爆散して、なにも残らない。
いろいろ出現させる部分を変えてやってみたところ、魔法の威力が増すのは、身体、特に魔法を放つ際に突き出している腕を鱗で覆っている時。それから、角を生やしている時だった。
つまり、腕を鱗で覆って、角を生やした状態で放つ魔法が、最も威力を増すことになる。これは、非常時の手段だな・・・


それから、何度も試したが、やはり、翼や尻尾は出てこなかった。
尻尾はともかく、翼を出せれば、空を飛べるかもしれないのに・・・
いや、尻尾は確か、空を飛ぶときのバランスコントロールに必要なんだっけ?

翼や尻尾は、『鑑定』したスキルの説明曰く、私の身体の魔素適応度が増していけば、出せるようになるのだろう。
魔素適応度を、どのように高めるのかは不明だが・・・

そんな感じで、検証を終えた。
最初は、ファングラヴィットやフォレストタイガーを探して、魔法ではなく、肉弾戦で戦えるか試すつもりだったが、まず間違いなく、一撃で倒せるのでやめておいた。
もっとも、これまで魔法を遠くから放ってきただけで、向かい合って、相手の攻撃を受けて、躱して、こちらの攻撃を当てる、なんてやったことはない。
そう考えると、訓練する必要はあるか・・・
でも、どのみちファングラヴィットやフォレストタイガーでは、相手にならないだろう。

それから、鱗の検証。鱗の役割といえば、防御面がメインだろう。
とはいえ、なにか攻撃を食らうわけにもいかないし、私の場合、『自動防御』がある程度の攻撃は勝手に防いでしまう。
これまでの経験から、防ぐ対象は、物理攻撃も魔法攻撃も含まれることは分かっている。
今回のように、『自動防御』を貫通してくる相手でないと鱗の防御性能は試せないが、そんな敵は見当たらないし、試したくもない。
・・・・・・いや、どこまで耐えられるのか、検証は必要か? とはいえ、すぐには無理だ。


検証を終えた私は、洞窟へ帰ることにする。
今日はゆっくりカイト達と、おしゃべりしながら、今後のことでも考えよう・・・


 ♢ ♢ ♢




深い深い霧の中に、彼はいた。


コトハ達のいる世界とは別の次元、空間の狭間に、彼はいた。




「・・・・・・・・・・・・この気配は、まさか!?
ここ最近、何度か小さな気配は感じていましたが、これほど強い気配を感じたのは、初めてですね・・・。
まさか、龍族に生き残りが? いや、この気配は、龍族のそれに近いものを感じますが、少し、違う、なに、か・・・?
・・・・・・おもしろいですね。久しぶりに、表の世界に行くとしましょうか。
私の仕えるべき、“主”を探すために・・・・・・・・・」


彼はゆっくりと動き出す。
気まぐれで召喚に応じたことは何回かあった。


だが、今回は違う。
龍族が滅んでから初めて、自分の意思で、表の世界へと向かうのだった。

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