危険な森で目指せ快適異世界生活!

ハラーマル

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第1章:異世界の森で生活開始

第25話:拠点を作ろう3

翌日、洞窟の外、まずは岩山とその周りから、手を入れていくことにした。

まずは、洞窟の入り口前の広場から、崖を下るための階段を作る。
今回は、いつものような、簡単な足場ではなく、きちんとした階段を作る。
まず、広場から、崖の下に向かって、『土魔法』でスロープのようなものを作る。
スロープができたら、それを階段へと変形させていく。ポーラが走って足を滑らせたら大変なので、各段の幅は広めに作っておいた。
先にスロープを作ってから、階段へと変形させていったのは、その方が綺麗な形が作りやすいからだ。大きなものを作る際、最初から細部までイメージして作っていくことは難しい。そのため、最初に大きな形、枠のようなものを作ってから、変形させていく方が、簡単で綺麗にできるのである。


段ができたら、手すりを作る。
岩山の周りの、木が生えていないところを、階段のゴールにしたところ、少し階段が急になってしまったのだ。
ここは、外から“家”へと続いていく道で、毎日何往復もするのだから、なるべく快適性を追求するようにしている。


2時間ほどで、手すりの設置と、階段の補強、角度の微調整まで完成した。
カイトは一緒に『土魔法』で作業をしてくれていた。ポーラは昨日の作業の後、とりあえず適当に放り込んでおいた、食料庫と宝物庫の整理をしてくれている。
リンは・・・・・・、階段ができていく様子を、嬉しそうに身体を震わせながら見ていた・・・



階段が完成したので、次に、洞窟入り口前の広場、“玄関”ということにしておこう。
ここの整備をする。


・・・といっても、ここについては特にアイデアがない。
とりあえず、落ちたら危険なので、階段以外の場所に、柵を作っておく。これは壊す予定はないので、他と同じように、固めておく。
階段の入り口は、出かける時に『土魔法』で塞ぐことにする。


“玄関”の地面を整地して、椅子や、机を作る。それに、簡単な竈と、肉を焼くときに使う、薄い石板と土台も設置する。
石板で肉を焼くのは、結構火加減が難しいので、できれば鉄板が欲しい。
それに、『土魔法』で金属も操れるのでは?という仮説の検証もしたい。
・・・・・・拠点の整備が終わったら、これまで行ったことのない場所に行ってみようかな。



“玄関”の整備が終わったので、次は、階段を下りた先、岩山の周りの整備だ。
・・・その前に、昨日念のためここに仕舞っておいた、グレイムラッドバイパーの酸袋と毒袋を回収しておこう。
とはいえ、やはり洞窟の中に仕舞うのは、怖い。
どうしたものか・・・・・・

そう考えていると、リンが私の前にジャンプしてきた。

「・・・リン? どうかしたの?」

リンは、酸袋と毒袋の入った箱の周りを、ピョンピョンと跳ね回っている。

「・・・・・・まさか、あなた。これが欲しいの?」

「うん!」と肯定された。
・・・・・・・・・うーん。リンもこれが何かは分かっているはずだよね? その上でこれを要求してくるってことは、リンにとって食事にでもなるの?
・・・いやいや。そんなわけある?
酸と毒よ? それとも、スライムは酸や毒も食べるの?

「・・・えーっと、リン? これって、この間のグレイムラッドバイパーの酸が詰まったものと、毒が詰まったものよ? これ、食べるの?」

リンから、「食べないよ!」と伝わってきた。

「・・・・・・食べないの? じゃあなんで、これ欲しいの?」

今度は、「強くなるの!」と、伝えてくる。
・・・うーん、分からない。
まあ、リンが自分から、欲しい物を伝えてくるなんて初めてだし、他に使い道も思いつかないし、まあ、いっか・・・?

「・・・いいけど、リン? 危ないことはしちゃダメだよ?」

そういって、箱を開け、箱をリンの前に置いた。


するとリンは、箱の中にジャンプして飛び込んだ。

「ちょっと! リン!?」

驚いて箱の中を見たが、既にリンは酸袋と毒袋を吸収していた。
・・・・・・・・・えーっと、大丈夫なの?
そう思い、リンの様子を見ていたが、リンはいつも通りプルプルと震えている。
酸で溶けていたり、毒に侵されていたりする様子もない。
一安心しつつ、リンに問いかける。

「・・・リン? 大丈夫だとは思うんだけど、・・・何、してるの?」

リンは「見ていて!」と伝えながら、ジャンプして、森の方へと進んでいく。
リンを追いかけると、岩山から少し離れた、森の中、1本の木の前に立っていた。

「リン? 一体なにをして・・・」

問いかけるよりも早く、リンが目の前の木に向かって、何かを発射した。
リンから発射されたものが、木に命中すると、当たった場所が紫色に変色し始めた。
そして、数分の内に、変色していたところから、ポッキリと折れてしまった。

「・・・え? なに、あれ。溶けてる? いや、腐ってるのかな?」

リンは続けて、近くにあった、地面に埋まっている大きな岩に向かって、再び何かを発射した。
すると今度は、シューッという音とともに、泡を立てながら、岩が溶け始めた。

「えっと、どういうこと? さっきのは多分、腐ってて、今度のは溶けてるよね?」

腐らせる液体と、溶かす液体か。
・・・あー、なるほどね。
なんとなく合点がいったので、リンを『鑑定』して、確かめてみる。

 ♢ ♢ ♢

名前:リン
種族:オリジンスライム
スキル:吸収4
固有スキル:形態変化、自動回復小
ユニークスキル:マジックボックス中、酸液生成・射出、毒液生成・射出
耐性:魔法攻撃耐性3
称号:コトハ・ミズハラの従魔

 ♢ ♢ ♢


まぁ、そうよね。
予想通り、『酸液生成・射出』『毒液生成・射出』という、2つのスキルが追加されていた。
おそらく、酸や毒を体内で作り出して、攻撃に使えるのだろう。

「・・・攻撃手段を獲得できるチャンスだから、あんなに必死に欲しがったのかしら・・・?」

そう、呟くと

「違うよ! コトハの役に立ちたかったからだよ!」と、リンから伝わってきた。
・・・うん、かわいいやつめ。

ただ、確かに、リンのこの成長は、とても役に立つと思う。
なんといっても、酸と毒だ。
現在、拠点を作って、外から魔獣が入り込まないようにしようとしている最中だ。
酸は邪魔な岩を溶かすのに使えるし、さっきの感じだと毒で、木を倒すことができる。
・・・まあ、確かに、魔法でも可能ではある。しかし、力加減を間違えて、予定より多く破壊する未来が見えるのだ、はっきりと。


それに、2つとも、罠に使える。
まあ、酸や毒を使った罠に掛かった魔獣は、食料にも素材にもならないだろうけど、絶対防衛ラインを守るためには有用だ。


そうだ、忘れずにリンに感謝し、褒めてあげなければ。

「リン! すごいよ! リンのおかげで、できることがたくさんだよ! ありがとう!!」

リンとは心が繋がっているのか、声に出さずとも意思疎通が可能だが、やはり、声に出してお礼を言ったり、褒めたりするのは大事だ。

リンは、嬉しそうに身体を震わしていた。

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