危険な森で目指せ快適異世界生活!

ハラーマル

文字の大きさ
53 / 370
第2章:異世界の人々との出会い

第48話:町に入ろう(8月14日、トレイロの回想部分に一文追加しました。内容に影響はありません)

壁を眺め呆けていると、カイトに引っ張られ、壁に空いた穴の場所、入り口へと連れて行かれた。
・・・・・・ん? 私が連れて行かれた入り口の他に、もう一つ入り口がある?
こちらの入り口は歩いている人が多いのに対して、向こうの入り口は大きな馬車がいくつも並んでいる。
貴族とか商人用?

「ねえ、カイト。あっちは貴族用?」
「うん、多分そう。貴族とか軍とかは専用の入り口があることが多いよ。でも、あんなに貴族っているのかな・・・」
「ふーん。それで、ここでお金払うんだよね?」
「そうだよ。記憶が確かなら、1人銀貨一枚」
「・・・了解。そういえばさ、金貨と銀貨の価値の大きさとか、その辺のお金周りの知識教えてくれない? 買い物するときとか困るし」
「うん、いいよ」


カイトに聞いた話によれば、この国の貨幣は、全部で6種類。
価値の大きい順に、白金貨、金貨、銀貨、大銅貨、小銅貨、鉄貨だ。
それぞれの交換比率は少しややこしい。
白金貨は、金貨が100枚。金貨は、銀貨が100枚。銀貨は、大銅貨が10枚。大銅貨は、小銅貨が100枚。小銅貨は、鉄貨が10枚だ。
うーん、複雑。しばらく使わないと忘れるやつだな。

大銅貨1枚で、拳ほどの大きさの木の実 —カイトの説明を聞く限りリンゴに思える— が1つ買えるらしい。1食分のパンも買えるんだとか。
・・・・・・大雑把にだけど、大銅貨1枚が、日本円で100円くらい?
まあ、細かく考えてもややこしいし、とりあえず大銅貨1枚を100円ってことで、考えておこう。

となると、入都税は1000円くらいか。まあ、そんなもん?
って、『セルの実』、1個200万!?
・・・・・・まじか。『セルの実』って、拠点に戻れば山ほどあるんだけど!?


カイトにお金について習っていると、私たちの順番になった。
さっき、森の入り口付近で見た、金属の甲冑から、頭部分だけを取り外したような出で立ちの男が、待ち構えていた。
その人が、私たちを見て、怪訝な面持ちをしながら、

「・・・えっと、バイズ辺境伯領の領都へようこそ。身分証はあるか?」

彼は、この中で一番、話ができそうと思ったのであろう、レーベルに問いかけた。
ただ、レーベルは基本的に私の後ろに控えようとするので、

「身分証はないです、4人とも。お金を支払うので、領都に入れてもらいたいです。後、従魔のスライムを登録したいです」

と答えると、ますます分からないといった様子で、

「お、おう。まず、税金を支払ってくれれば、町に入ることはできるぞ。1人銀貨2枚だ。それから、お嬢ちゃんのスライムだが、従魔登録できるのは、この町の市民カードを持っている者か、冒険者登録されている者だけだ。だから、そのどっちかをしないといけないんだが・・・」
「・・・銀貨は持っていないので、金貨で払ってもお釣りはもらえますか? 後、市民カードって私でも貰えますか?」
「釣りは問題ない。今、持ってこさせる。それから市民カードは、この町や、他の村など、この領内のどこかに住んでいる者にしか与えられない。お嬢ちゃんたちは、見たところ、そうではなさそうだから、厳しいな。冒険者登録をすることをオススメするぜ」

うーん。まあ、そりゃ住んでなかったら市民カードは貰えないか。
冒険者登録しますかー

「分かりました。その、私だけすれば大丈夫ですか?」
「ああ。他の3人は、領都の滞在許可証を発行するから、それを携帯しててくれ。有効期限は4日間。それ以上滞在したい場合は、もう一度ここに来て、税を納めて貰う必要がある。それから、延長はそう何回も認められないから気を付けてな。それからお嬢ちゃんの冒険者登録は、今日・・・はすこし時間が遅いから、明日中に頼むな。自分の従魔の面倒はちゃんと見てくれよな」
「了解です。丁寧に教えていただいてありがとうございます」

礼を言って、お釣りを受け取って町の中に入った。




入り口を入って正面は、幅の広い道が通っていて、その両サイドには屋台が並んでいた。
町は、その周りを覆っている壁のイメージそのままに、全体的にゴツゴツした、質実剛健っていう感じの建物が並んでいた。
魔獣の侵入にでも備えてる?
もちろん建物といっても、せいぜい3階建くらいで、当然高層ビルなんてない。

この町は、中央が少し盛り上がった、台地とその周辺を囲っているようで、目線の先に、一際大きな建造物とそれを囲っている、この街の壁と同じような、囲いが見えた。
あれが、領主の住んでる場所かな?


「とりあえず。どこから行く? 冒険者登録は明日行くとして・・・」

少し興奮しながらそう問いかけると、

「まずは、今晩の宿をお決めになるべきかと。お金もありますし、野宿する必要はないですから」

そっか。もうじき日も暮れてくるわけだし、泊まる場所探さないと。
けど、初めて来た町なわけで、宿のあてなんかあるわけない。


とりあえず、目に付いた屋台のおじさんに声を掛けてみることにした。

「こんにちはー。何を売ってますか?」
「おー、嬢ちゃん。ここはウサギの肉焼きだぜ。ウマいぞ。食ってくか?」
「・・・ええ。4本お願い」
「毎度あり! 4本で銀貨1枚だぜ」

銀貨1枚を渡し、ウサギの肉焼きを受け取る。
トランプほどの大きさのウサギ肉が、3枚刺さった串を4本受け取り、それぞれ食べてみる。
・・・うん。美味しいんだけど、ちょっと味が薄いというか、味付けがされてない?

「・・・聞きたいことがあるんだけどいい?」
「ん? なんだ?」
「初めてこの町に来たんだけど、オススメの宿ってある? 値段は気にしないんだけど・・・」
「んー、そうだな。・・・・・・この先、少し行ったところに、剣と盾が描かれた看板が掲げてある、そのまま『剣と盾』っていう名前の宿がある。部屋も結構広いらしいし、食事もいいらしい。それなりに値段がするから、町に来た商人や、高ランクの冒険者がよく泊まってるって話だぜ」
「なるほど。ありがとう!」

とりあえず、その、『剣と盾』っていう宿を目指すことにした。


♢ ♢ ♢

~トレイロ視点~

よく分からない4人だった。
執事風の若い男性に、綺麗な若い女性。まだ少年と呼ぶべきであろう男の子に、可愛らしい女の子。
その面子で、領都に物見遊山に来たという。
まるっきり嘘か、重要な事実を隠しているか・・・

・・・まあ、どうでもいいか。
彼らが、私たちを助けてくれたことに変わりない。
それにしても、あの執事の男性の腕は凄かった。
私の護衛として、ついてきてくれている2人の冒険者、レイルとキエラ。
最近冒険者に復帰したらしいが、どちらも腕は一流だ。
今回の護衛も、辺境伯領軍が安全を確保してるとはいえ、あのクライスの大森林近くに出向くだけあって、金額に糸目を付けずに、優秀な2人を雇った。
その2人でも太刀打ちできない魔獣。
それを、簡単に倒したあの執事、レーベルは一体何者なんだろう。

そんな冒険者2人は、彼らと別れて以来、ずっと何かを考え込んでいる。
2人とは今回が初対面で、事情なんかは知らないので、聞くことはしない。だが最初、男の子と女の子を見て、驚いたような表情をしていたように感じた。
知り合いに似ているとか?
会話を聞いている限りでは、執事以外の3人が姉弟という話だったか。まあ、そう見えたのは間違いない。

そして、何よりの衝撃は、『セルの実』だ。
商人をやっているのだから、数回扱ったことはあるが、一度に5つも売り込まれるとは驚いた。
それに、どうやらまだまだ持っている感じであった。
だが、ここで深追いするのは危険だと、勘が告げていた。
商人として、長年経験してきて培ってきた経験と、己の直感は、まずもって信じるべきものだ。
貴族への贈り物に最適であるし、今後良き関係を築いていきたいため、相場の倍に近い値段で買い取ったが、正解だと思う。

4人は領都に滞在するらしいし、私の店を訪ねてくれることになっている。
できたらもう少し、関係を深めておきたい、そう思ったのだった。

感想 126

あなたにおすすめの小説

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~

ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国辺境でただ静かに生き延びたいだけの少年・ヴァン。 彼に正義感はない。あるのは、母が遺したノートに記された、物理法則を応用した「高圧魔力」の理論と、徹底した費用対効果至上主義だけだ。 敵国三千の精鋭が灰燼城に迫る絶望的状況。ヴァンは剣を振るわず、心理戦と補給線攪乱だけで、たった三日で敵軍を撤退させる。 この効率的すぎる勝利は帝国の中枢に届き、彼は最高峰の帝国軍事学院への招待状を手に入れる。 「英雄になりたいわけじゃない。ただ、母の死の真相と父の秘密を知るため、生き残らなきゃならないだけだ」 無口最強の仮面メイド・シンカク、命を取引に差し出した狼耳少女・アイリ。彼は常にコスパの高い道を選び、母の遺したノートの謎、そして生まれて一度も会ったことのない父・帝国大元帥のいる帝都の闇へと踏み込んでいく。 正義も英雄も、損をするなら意味がない。合理主義が英雄譚を侵食していく、反英雄ミリタリー学園ファンタジー。

本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜

あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい! ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット” ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで? 異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。 チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。 「────さてと、今日は何を読もうかな」 これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。 ◆小説家になろう様でも、公開中◆ ◆恋愛要素は、ありません◆

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです

yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~ 旧タイトルに、もどしました。 日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。 まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。 劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。 日々の衣食住にも困る。 幸せ?生まれてこのかた一度もない。 ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・ 目覚めると、真っ白な世界。 目の前には神々しい人。 地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・ 短編→長編に変更しました。 R4.6.20 完結しました。 長らくお読みいただき、ありがとうございました。

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

3点スキルと食事転生。食いしん坊の幸福無双。〜メシ作るために、貰ったスキル、完全に戦闘狂向き〜

幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
伯爵家の当主と側室の子であるリアムは転生者である。 転生した時に、目立たないから大丈夫と貰ったスキルが、転生して直後、ひょんなことから1番知られてはいけない人にバレてしまう。 - 週間最高ランキング:総合297位 - ゲス要素があります。 - この話はフィクションです。