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第2章:異世界の人々との出会い
第64話:侵攻の結末3
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「な、何者だ!」
あー、気づかれちゃったか・・・
まあ、あんまり隠れる気もなかったんだけどさ。
「初めまして。私はコトハ。こっちはカイト。あなた達は、ラシアール王国の軍人であってる?」
「なっ!? いきなり、ぶ、無礼であるぞ!」
話しかけてきた豪華な鎧を着た男性にそう答えたら、護衛と思しき横にいた騎士に、そう怒鳴られた。
うるさいなー
「あなた達が何者か知らないし、無条件に敬意を払うつもりはないから。そもそも、私たちの住んでる森に侵攻してきたあなた達に向かって、どうやって敬意を払えと?」
そう、この人達は侵入者だ。
カイトの優しさと、私の気まぐれで殺されずに済んでいるだけの、侵入者。
そこをきちんとしておかないと、拠点へ連れて行くわけにはいかない。
これは、カイトにも伝えてある。
「な、何を!?」
「やめよ、オリアス! お嬢さん、申し訳ない。魔獣の襲撃続きで、気が立っていてな。私はアーマス・フォン・バイズ。ラシアール王国バイズ辺境伯領の領主をしておる。こやつは、騎士団長のオリアス。こっちは、右から、レーノ、サーナル、マノスだ」
「どうも・・・」
辺境伯領の領主か。
なんで、そんな人がここに?
いや、王子までいたんだから不思議ではないのか?
「それで、お嬢さん・・・」
「コトハ。私の名前はコトハよ? 最初に名乗ったと思うけど?」
「失礼。コトハ、・・・殿。先ほどこの森に住んでいると聞こえたのだが・・・?」
「ええ、住んでるわよ? ここから少し行ったところに、拠点があるわ」
「嘘をつくな! 貴様、我々を騙す気であろう!?」
・・・は?
確か、マノスと紹介された騎士の1人がそう突っかかってきた。
無言で石弾を作り出し、マノスのすぐ背後の木を吹き飛ばした。
次は顔に当てるよ?
「あんた達なんていつでも殺せるのよ? そんな相手をなんで騙す必要が? そこの貴族を、カイトが知り合いかもって言うから、助けてあげようとしただけなんだけど? いらないなら勝手にすれば? 見た感じ、そう長くは保ちそうにはないけどね」
そう軽く睨み、笑いながら言うと、バイズ辺境伯は何やら申し訳なさそうに、マノスを含め周りの騎士は、呆然としていた。
この程度で驚く実力でよくこの森入ったよね・・・
確かに私もだいぶ失礼な物言いをしているし、敵寄りの他人として扱っている。
まあ、私たちはこの人達のいるラシアール王国と戦争しているようなものだし、仕方がない。
仮にカイトの知り合いじゃ無かったり、知り合いでもこちらに害を及ぼしそうなら直ちに始末するか、魔獣に食われるのを待つわけだし。
「重ね重ね申し訳ない。どうも、この森に住んでいる、というのが信じ難くてな。して、そちらのカイト殿が、私を知っていると?」
「はい。僕の昔の名は、トーマス・フォン・マーシャグ。マーシャグ子爵家の次男でした。いろいろあって、こちらのコトハお姉ちゃんに助けられて、一緒に暮らしています」
カイトがそう言うと、今度は5人揃って、目を見開いている。
表情豊かだねー。見た目よりも元気なの?
ていうか、カイトの昔の名前はトーマスだったんだ。
初めて知った。
「・・・・・・・・・な、なんと。マーシャグ子爵家の次男だと!?」
バイズ辺境伯はそう驚いているし、4人の騎士はまだどこか怪訝そうにしている。
「はい。証明する術はありませんが、2年半ほど前にいきなりカナン村に送られ、半年ほど前に川に流され、コトハお姉ちゃんに救われました」
バイズ辺境伯は、少し考えるような、そんな素振りを見せてから、
「その証言を聞くだけで、本人であることの証明には十分であろう。少なくとも私はそなたがマーシャグ子爵家の次男であったことを疑う気は無い。あの事件の詳細は、民にはほとんど知らされていない。マーシャグ子爵家は、領地を持たぬ貴族であったし、仕事も国の財務管理と民にはなじみがあまりないからの。マーシャグ子爵家のことをあまり知らぬものの方が多かったのだ。それゆえ、あの事件はほとんど公になってはおらぬ。その、詳細を知っているのは、それを仕組んだ者達と、マーシャグ子爵家の者達だけであるからな・・・」
ふーん。
思ったよりは、理性的だし、丁寧だ。
この人は、話が通じそう。
後ろの騎士達は、自分の主が認めたから何も言ってこないけど、内心では疑っているようだ。
・・・カイトに変なこと言ったら、ただじゃおかないよ?
「信じてもらえたところで、この後のことだけどさ。希望するなら、私たちの拠点に行って、怪我の手当てと、食事や水を出してあげることはできるけど、どうする?」
そう私が言うと、やはり後ろの騎士達は何か不満げだが、バイズ辺境伯だけは、
「ぜひ、お願いしたい。よろしく頼む」
そう、頭を下げてきた。
おー・・・
貴族が頭とかって下げるんだ。
せっかく私が驚き、感心していたのに、それを見ていた残念なマノス、そう先程警告済みのマノスが、
「アーマス様、このような者達に頭を下げるなど、必要ありません! おい女、本当にあるのか怪しいがその拠点とやらに連れて行け! 今日からそこを我々のものとする! そしてそこのガキ。アーマス様が認めるのであれば我らは口出しできぬが、貴族を詐称するのは・・・・・・」
最後まで喋らさずに、顔面を『竜人化』したグーで殴った。
たぶん、この間クソ王子を殴ったときよりも、力を込めていたと思う。
『竜人化』しないと私の肉弾戦は雑魚なので、『竜人化』させているが、『竜人化』すると途端に力が増すのだ。
ちょうどいいのが無い。
マノスは綺麗に吹き飛び、木に身体を打ち付けた。
気を失ってはいないようだが、うーうー、と呻いている。
骨でも折れた?
「・・・もういい、喋んな。お前は殺す。貴族さん? こいつを擁護するなら助けるどころか、ここで皆殺しにするよ?」
「・・・お、お姉ちゃん!?」
「ごめんね、カイト。でも、私は私たちのことを馬鹿にしてくるヤツを助ける気は無いし、それ以上にカイトを侮辱するクソ野郎を助ける気なんて毛ほども無いよ」
カイトにそう言うと、カイトはそれ以上、何も言ってこなかった。
一方でバイズ辺境伯は、
「ま、待ってくれコトハ殿! マノスの無礼な発言を詫びる。どうか、見逃して・・・」
「それ以上言ったら、あなたも同罪だよ。上に立つ者なら、状況の判断も正しい言葉遣いも何もできない人間を擁護するべきではないと思うよ? 仮にそいつが強いんだとしても、私が相手なら、いてもいなくても同じだし」
「・・・・・・そ、それは」
「それに、そいつ、あなたがカイトのことを本当にマーシャグ子爵家の次男だったって認めたのに、それを否定しているんだよ? あなたのことも裏切ってるじゃん」
「・・・・・・」
バイズ辺境伯は、黙り込んでしまった。
騎士達は、おそらく私の“殺す”って発言で、抜剣し、警戒態勢をとっている。
まあ、それはそれで正しい行動なんだろうけどさ。
「あんた達も、そこの馬鹿に同意なの?」
そう聞くと一番最初に私に突っかかってきた、オリアスが、
「・・・コトハ殿がこの森に本当に住んでいるのか、拠点というものがあるのかは、正直に言えば分からない。だが、あなたが本当のことを言っていると、アーマス様が判断なさった以上、我らはそれに従うのみ。であれば、我々は頼み事をする身であり、先程のマノスの発言は論外だ。そして、カイト殿がマーシャグ子爵家の次男であったことについても、我々は疑う立場にはない。その意味で同様に、マノスの発言は論外だ。ただ、アーマス様を殺すと言うそなたには、剣を向けざるを得ない」
こちらもまともだ。
最初の発言は、忘れておこうかな・・・
「まあ、剣を向けられていることについては、なんとも思っていないから。脅威でも何でも無いし」
そう言うと、真っ直ぐこちらを見つめながら、剣を握る手に力を込めていた。
一方のバイズ辺境伯は、どうやらかなり困っている様子だ。
おそらく、私の言い分やオリアスさんの言っていることが正しいと思っているが、部下であるマノスを殺すという私に、同意は示せないって感じかな?
ただ、決断のときは迫っていたようだった。
マノスが倒れている後ろに、フォレストタイガーが姿を見せたのだ・・・
あー、気づかれちゃったか・・・
まあ、あんまり隠れる気もなかったんだけどさ。
「初めまして。私はコトハ。こっちはカイト。あなた達は、ラシアール王国の軍人であってる?」
「なっ!? いきなり、ぶ、無礼であるぞ!」
話しかけてきた豪華な鎧を着た男性にそう答えたら、護衛と思しき横にいた騎士に、そう怒鳴られた。
うるさいなー
「あなた達が何者か知らないし、無条件に敬意を払うつもりはないから。そもそも、私たちの住んでる森に侵攻してきたあなた達に向かって、どうやって敬意を払えと?」
そう、この人達は侵入者だ。
カイトの優しさと、私の気まぐれで殺されずに済んでいるだけの、侵入者。
そこをきちんとしておかないと、拠点へ連れて行くわけにはいかない。
これは、カイトにも伝えてある。
「な、何を!?」
「やめよ、オリアス! お嬢さん、申し訳ない。魔獣の襲撃続きで、気が立っていてな。私はアーマス・フォン・バイズ。ラシアール王国バイズ辺境伯領の領主をしておる。こやつは、騎士団長のオリアス。こっちは、右から、レーノ、サーナル、マノスだ」
「どうも・・・」
辺境伯領の領主か。
なんで、そんな人がここに?
いや、王子までいたんだから不思議ではないのか?
「それで、お嬢さん・・・」
「コトハ。私の名前はコトハよ? 最初に名乗ったと思うけど?」
「失礼。コトハ、・・・殿。先ほどこの森に住んでいると聞こえたのだが・・・?」
「ええ、住んでるわよ? ここから少し行ったところに、拠点があるわ」
「嘘をつくな! 貴様、我々を騙す気であろう!?」
・・・は?
確か、マノスと紹介された騎士の1人がそう突っかかってきた。
無言で石弾を作り出し、マノスのすぐ背後の木を吹き飛ばした。
次は顔に当てるよ?
「あんた達なんていつでも殺せるのよ? そんな相手をなんで騙す必要が? そこの貴族を、カイトが知り合いかもって言うから、助けてあげようとしただけなんだけど? いらないなら勝手にすれば? 見た感じ、そう長くは保ちそうにはないけどね」
そう軽く睨み、笑いながら言うと、バイズ辺境伯は何やら申し訳なさそうに、マノスを含め周りの騎士は、呆然としていた。
この程度で驚く実力でよくこの森入ったよね・・・
確かに私もだいぶ失礼な物言いをしているし、敵寄りの他人として扱っている。
まあ、私たちはこの人達のいるラシアール王国と戦争しているようなものだし、仕方がない。
仮にカイトの知り合いじゃ無かったり、知り合いでもこちらに害を及ぼしそうなら直ちに始末するか、魔獣に食われるのを待つわけだし。
「重ね重ね申し訳ない。どうも、この森に住んでいる、というのが信じ難くてな。して、そちらのカイト殿が、私を知っていると?」
「はい。僕の昔の名は、トーマス・フォン・マーシャグ。マーシャグ子爵家の次男でした。いろいろあって、こちらのコトハお姉ちゃんに助けられて、一緒に暮らしています」
カイトがそう言うと、今度は5人揃って、目を見開いている。
表情豊かだねー。見た目よりも元気なの?
ていうか、カイトの昔の名前はトーマスだったんだ。
初めて知った。
「・・・・・・・・・な、なんと。マーシャグ子爵家の次男だと!?」
バイズ辺境伯はそう驚いているし、4人の騎士はまだどこか怪訝そうにしている。
「はい。証明する術はありませんが、2年半ほど前にいきなりカナン村に送られ、半年ほど前に川に流され、コトハお姉ちゃんに救われました」
バイズ辺境伯は、少し考えるような、そんな素振りを見せてから、
「その証言を聞くだけで、本人であることの証明には十分であろう。少なくとも私はそなたがマーシャグ子爵家の次男であったことを疑う気は無い。あの事件の詳細は、民にはほとんど知らされていない。マーシャグ子爵家は、領地を持たぬ貴族であったし、仕事も国の財務管理と民にはなじみがあまりないからの。マーシャグ子爵家のことをあまり知らぬものの方が多かったのだ。それゆえ、あの事件はほとんど公になってはおらぬ。その、詳細を知っているのは、それを仕組んだ者達と、マーシャグ子爵家の者達だけであるからな・・・」
ふーん。
思ったよりは、理性的だし、丁寧だ。
この人は、話が通じそう。
後ろの騎士達は、自分の主が認めたから何も言ってこないけど、内心では疑っているようだ。
・・・カイトに変なこと言ったら、ただじゃおかないよ?
「信じてもらえたところで、この後のことだけどさ。希望するなら、私たちの拠点に行って、怪我の手当てと、食事や水を出してあげることはできるけど、どうする?」
そう私が言うと、やはり後ろの騎士達は何か不満げだが、バイズ辺境伯だけは、
「ぜひ、お願いしたい。よろしく頼む」
そう、頭を下げてきた。
おー・・・
貴族が頭とかって下げるんだ。
せっかく私が驚き、感心していたのに、それを見ていた残念なマノス、そう先程警告済みのマノスが、
「アーマス様、このような者達に頭を下げるなど、必要ありません! おい女、本当にあるのか怪しいがその拠点とやらに連れて行け! 今日からそこを我々のものとする! そしてそこのガキ。アーマス様が認めるのであれば我らは口出しできぬが、貴族を詐称するのは・・・・・・」
最後まで喋らさずに、顔面を『竜人化』したグーで殴った。
たぶん、この間クソ王子を殴ったときよりも、力を込めていたと思う。
『竜人化』しないと私の肉弾戦は雑魚なので、『竜人化』させているが、『竜人化』すると途端に力が増すのだ。
ちょうどいいのが無い。
マノスは綺麗に吹き飛び、木に身体を打ち付けた。
気を失ってはいないようだが、うーうー、と呻いている。
骨でも折れた?
「・・・もういい、喋んな。お前は殺す。貴族さん? こいつを擁護するなら助けるどころか、ここで皆殺しにするよ?」
「・・・お、お姉ちゃん!?」
「ごめんね、カイト。でも、私は私たちのことを馬鹿にしてくるヤツを助ける気は無いし、それ以上にカイトを侮辱するクソ野郎を助ける気なんて毛ほども無いよ」
カイトにそう言うと、カイトはそれ以上、何も言ってこなかった。
一方でバイズ辺境伯は、
「ま、待ってくれコトハ殿! マノスの無礼な発言を詫びる。どうか、見逃して・・・」
「それ以上言ったら、あなたも同罪だよ。上に立つ者なら、状況の判断も正しい言葉遣いも何もできない人間を擁護するべきではないと思うよ? 仮にそいつが強いんだとしても、私が相手なら、いてもいなくても同じだし」
「・・・・・・そ、それは」
「それに、そいつ、あなたがカイトのことを本当にマーシャグ子爵家の次男だったって認めたのに、それを否定しているんだよ? あなたのことも裏切ってるじゃん」
「・・・・・・」
バイズ辺境伯は、黙り込んでしまった。
騎士達は、おそらく私の“殺す”って発言で、抜剣し、警戒態勢をとっている。
まあ、それはそれで正しい行動なんだろうけどさ。
「あんた達も、そこの馬鹿に同意なの?」
そう聞くと一番最初に私に突っかかってきた、オリアスが、
「・・・コトハ殿がこの森に本当に住んでいるのか、拠点というものがあるのかは、正直に言えば分からない。だが、あなたが本当のことを言っていると、アーマス様が判断なさった以上、我らはそれに従うのみ。であれば、我々は頼み事をする身であり、先程のマノスの発言は論外だ。そして、カイト殿がマーシャグ子爵家の次男であったことについても、我々は疑う立場にはない。その意味で同様に、マノスの発言は論外だ。ただ、アーマス様を殺すと言うそなたには、剣を向けざるを得ない」
こちらもまともだ。
最初の発言は、忘れておこうかな・・・
「まあ、剣を向けられていることについては、なんとも思っていないから。脅威でも何でも無いし」
そう言うと、真っ直ぐこちらを見つめながら、剣を握る手に力を込めていた。
一方のバイズ辺境伯は、どうやらかなり困っている様子だ。
おそらく、私の言い分やオリアスさんの言っていることが正しいと思っているが、部下であるマノスを殺すという私に、同意は示せないって感じかな?
ただ、決断のときは迫っていたようだった。
マノスが倒れている後ろに、フォレストタイガーが姿を見せたのだ・・・
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