危険な森で目指せ快適異世界生活!

ハラーマル

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第2章:異世界の人々との出会い

第87話:ゴーレム作り4

カイトたちの動きを見ながら命令式を書き込んだ魔石を、土人形の頭部に設けた空間にセットし、開閉式にした胸部の空間に魔力を込めた魔石を5つセットする。

本の説明によれば、この土人形に『ゴーレム生成の魔法陣』とでもいうような、魔法を発動することで、命令式の書き込まれた魔石が核となり、ゴーレムへと至るらしい。
それ以上の詳しい説明は無かったが、『適合化の魔法陣』を知り、レーベルから『闇魔法』の代表例としてゴーレム生成の存在を聞いている私にとっては、何だか既視感のある内容に思えた。




発動したい魔法のイメージと、魔法発動による結果のイメージをしっかりと持つことができているので、成功すると信じよう。

土人形を横たえた場所から少し離れて、『竜人化』し、両手を前に突き出す。
ゴーレム作りの副産物的に感覚を掴んだ、体内の魔力の流れ。
普通に考えて、魔力を大量に使うであろう『ゴーレム生成の魔法陣』に向けて、両手に魔力を溜めていく。

私は魔素から魔力を作り出すのがトップクラスに速いらしい。
魔石に魔力を込めていた際にも、常に両手に魔力が供給され続けていた。
どこから供給されてくるのかはよく分からないが、感覚的には全身から魔力が供給されているような気がする。
全身で魔素を魔力へと変換し、作られた魔力が身体を巡って、両手に集まってくる感じかな。




ついつい余計なことを考えてしまったが、今はゴーレムに集中しよう。
最後の最後に変なこと考えて無駄にしたくはないし・・・

土人形に手を向け、集中していく。
ゴーレムは、核となる魔石の指揮の下、稼動エネルギーたる魔力が身体を巡り、身体を動かす。
『ゴーレム生成の魔法陣』に求められるのは、核となる魔石・魔力電池である魔石・身体である土人形を結びつけることだと思われる。
その手法として思いつくのは、核となる魔石・魔力電池である魔石・土人形を全て私の魔力で繋ぐことだ。

前世のロボットやドローンなんかは、電池と可動部位をコードなどで繋ぎ、プログラムに従って稼動する。
ゴーレムも構造は似たようなものだとすると、電池が魔力を溜めた魔石、稼動部位を含む胴体が土人形、プログラムが魔石に書き込まれた命令式になる。
となると残るは“コード”だ。
その代わりに、私の魔力を使う感じだろうか。
私の込めた魔力を流す道を、私の魔力で作ることができるのか少し疑問だが、イメージと強力っぽい私の魔力のごり押しで最後まで行くしかない。




土人形に向けて魔力を放出する。
イメージは、核となる魔石の指揮で、魔石の魔力を用いて、土人形が動くもの。
ゴーレムを実際に見たことはないので、前世でテレビなんかで見た、二足歩行型のロボットをイメージする。

いつもよりも遥かに多くの魔力が身体から抜けていく感覚がある。
両手から土人形にどんどん魔力が供給されていき、全身で作られたであろう魔力が高速で両手に集まってくる。


その流れが途切れることなく続いて、5分ほど。
これまで魔法の発動に、ここまで時間を要した記憶も無いので、「失敗か?」と思い中断しようとした矢先、土人形の置かれた地面に、魔法陣が出現した。

『適合化の魔法陣』と似たような模様の魔法陣は、同じく黒い光を放っている。
魔法陣がグルグルと回転を始め、それに従うように黒い光が土人形を包み込んだ。


少しして、魔法陣が回転を止め消えると同時に、黒い光も消えていった。
土人形には、変化が見られない・・・・・・?
そう思い、土人形に近づこうとしたとき、土人形の両腕が垂直に上がった。

「おっと・・・・・・」

思わずそう叫んでしまったし、カイトとポーラもビクついていた。

「お姉ちゃん、成功したの?」
「コトハ姉ちゃん、動いたよ!」

そう問われるが、分からない。
ただ間違いなく、腕が動いた。

警戒しながら観察していると、今度は腰を90度曲げて、身体を起こした。
腕と腰が直角の前屈みたいな姿勢になっている。


それから、足を曲げたかと思うと、立ち上がった。
そして、姿勢を正して、こちらを向いた・・・・・・と、思う。
土人形には、顔を作らなかった。
そのため、視線などを感じることはできないのだ。

土人形で顔を作るのは難しかったし、ゴーレムにとって目や口、鼻といった顔の各部位が必要なのか、どのような役割を担うのか分からないので、とりあえず後回しにしたのだ。
ゴーレムが物事の認識に目を使うのか不明だし、ゴーレムが食事をするとも思えない。
・・・・・・だが、“のっぺらぼう”ではかなり不気味だったので、簡単にでも顔を作るべきであった。


立ち上がったゴーレムは、私に向かってゆっくりと歩き出した。
歩く素振りは人間と変わらず、その動きは軽快だ。
そしてゆっくりと私の前に来ると・・・・・・、跪いた。
・・・・・・そういえば、カイトが「必要な場面があるかも」って、お手本の中に入れてたっけ?




ゴーレムは私の前に跪いたまま動かない。
これは、私が声をかけないといけないやつかな?

「・・・・・・えーっと、私の言葉は分かる?」

そう問いかけると、ゴーレムはゆっくりと頷いた。
声を発することはできないらしい。
・・・いや、発声器官なんか作ってないから当然だけど。
とりあえず、魔石に書き込んだ命令式の内容を、行動に移すことができるのかどうか確認するか・・・




確認した結果、カイトたちに動きをしてもらい、魔石に命令式を書き込んだ動きについては、無事にすることができた。
その動きもスムーズなもので、人間と変わらない感じだった。
どうやら、ゴーレムの身体は私の作った土人形をベースに、可動部分が関節のように変形し、身体のバランスを取るために形状が変えられているようだった。
そして、理屈は不明だが、ゴーレムは周囲の地形や物を認識することができるようで、歩かせても壁にぶつかることもなく、私たちのことを避けて歩くことができていた。

一方で意思疎通にはかなり困ることになった。
言葉を発することはできず、表情など存在しないため、こちらの指示を理解したら頷いてもらう、二択の質問には両手の上げ下げで応答してもらう、などの工夫が必要だった。
しかし、ゴーレム側から何か伝えたいことがある場合に、それを伝える術は今のところ無かった。
やはり、ゴーレムの顔や発声器官を含めて、改良の余地はあるな・・・


とはいえ、簡易な説明しかされていないゴーレムの作りについて、成功したことは間違いなかった。


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