危険な森で目指せ快適異世界生活!

ハラーマル

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第3章:変わりゆく生活

第127話:領地発展計画2

今後の大まかな方針が決まったところで、『アマジュの実』を紹介しておく。いつかは説明するつもりだったので、早いほうがいい。それに、マーカスや騎士たちは、クライスの大森林の中で狩りをしながら生活することになる。そうすると、怪我をする騎士も出てくるだろう。そのときに、『アマジュの実』から作った魔法薬を使うこともできるが、やはり『アマジュの実』を直接摂取する方が、効果が高い。

『アマジュの実』を紹介した際の反応は、最初にカイトに紹介した時と同じかそれ以上のものだった。騎士たちには明日伝えることにして、マーカスとレーノに、とりあえず食べてもらった。栄養価が高いし、疲れもとれる。それに美味しいし。


それから、拠点の改造について話し合う。現在の拠点は、レーベルが少し大きく改造していた半径100メートルほどの岩山を中心に、半径50メートルほどの円状に『土魔法』で作った壁で覆われている。北側には、普段生活するときに使う様々な用品が置かれていて、南側には『セル』の木が生えている場所や『シェン』を育てている場所、レーベルが薬草や野菜を栽培している畑がある。東側には最初にマーラたちのために作った馬房 —いまでは多くの馬房が作られて厩舎になっている— がある。西側含めてその他の場所は、伐採した木が積み上げられている。

私の案としては、騎士たちのための寮のようなものを作ることと、拠点自体を広げること。それを伝えると、

「騎士のための建物を作るというのは賛成です。今は家族がいる者も、家族はガッドに置いてきていますが、ゆくゆくはこちらに連れてきたいと思う者もいるでしょう。私もその1人ですが・・・。そのときには考える必要がありますが、差し当たりガッドにもある単身の騎士向けの宿舎の様な建物があれば十分かと。この岩山は、レーベルさんの計画通りに改造を進めてもらって、領主邸としましょう」

レーノの案に、みんなが同意する。

「それから、先程の『アマジュの実』の採れる『アマジュ』の群生地は、ここから近いのですよね?」
「うん。北西に5分くらい歩いたところかなー・・・。一応、全部『土魔法』で作った土壁で覆ってあるけど」
「なるほど。できたら、その群生地も拠点の内部に取り込みたいですね。そうすれば、防衛しやすくなるかと」
「息子に賛成です。騎士団を交替で派遣することを考えても、拠点内にある方が守りやすいかと」

そこまでするのか・・・。いや、本当はしておくべきだったんだろうなー・・・。一応、ゴーレムを数体置いてきているけど、もっと真剣に守るべきだった。まあ、『人間』が攻めてくることはあまり想定していなくて、魔獣が食べちゃうことを警戒していただけだったからね。


「オッケー。じゃあ、『アマジュの実』の群生地は拠点に取り込もう。それ以外に提案はある?」

私が聞くと、マーカスが手を上げた。

「はい、マーカス」
「はい。騎士団を預かる身として、騎士団の訓練場所があると嬉しいです。それに、カイト様へ剣術の指南を行う予定もありますし」
「そうだねー。実戦訓練をするのは、外で魔獣を狩ればいいけど、その前の訓練場所は必要だよねー。アーマスさんのお屋敷みたいな、空き地でいいの?」
「はい。ある程度の広さがあれば、それだけで十分です」
「了解。・・・カイトは何かある?」
「うん。さっき急いで増築したけど、ロンとバズも生まれたし、軍馬も増えたから、厩舎をもう少し広げて整備する必要があると思う。できたら、自由に走り回れるくらいのスペースが欲しいかな」
「確かに・・・。それに、軍馬たちの食事をどうするかも考えないとねー」

うーん、考えることが多すぎる。まあ、元々人が住むのに適していないところに、ある程度の集団で住もうと思えば当然なんだけどねー。


「軍馬のエサは、外部から購入するのが一番かと思います。『アマジュの実』を食べさせるのは、少し躊躇われるところがありますので・・・」
「・・・そう? マーラたちにも普通に食べさせてるよ?」
「・・・・・・・・・それで、スレイドホースを超えたような存在へと至っていたのですか。食べさせるのは構いませんが、干し草や果実など、他のエサも用意しておくべきだと思います」
「そりゃそうか・・・」
「はい。そのことに関連してなのですが、拠点とバイズ公爵領とを繋ぐ道を作ることを考えてはいかがでしょうか?」
「・・・道ねー」

私も最初は考えた。道ができれば、商隊なんかが来てくれるかもしれない。トレイロさんに頼めば、定期的に物資を届けてくれるかもしれない。しかし、これまで隠していた森の内部の情報が筒抜けになりそうな気がして、あまり前向きに考えられなかった。
そのことを伝えると、

「なるほど。確かに仰るとおりですね。こちらの整備が完了し、騎士団も育ってから、道の整備を考えましょう」
「そうですな。そのときは、森の入口付近に小さな砦でも築いて、出入りする者を見張ればいいかと」
「そうね。とりあえずは、森の外からは目立たない感じでやりましょう。どうしても必要な物資は、買いに行けばいいし」

みんなが頷き、道を作る案はペンディングとなった。


拠点の拡張は、『アマジュの実』の群生地を取り込むように、北西方向へ拡張するのと同時に、騎士団の訓練場所や、今後住居を建てることを考えて、南側に大きく広げることとなった。
木の伐採は、私とポーラが『風魔法』を使い、リンが毒を使い担当する。伐採した木は、騎士団の宿舎や、厩舎、今後の建物を建築する際に使用する貴重な木材となるので、マーラたちや軍馬たちに頼んで、拠点へと搬入する。あまり意識していなかったし利用していなかったが、この森に生えている木は、魔素が多く含まれているので頑丈で、長持ちするらしい。レーノが、木材を売り出すことを真剣に検討していた。

土壁を作るのは、私たちがするしかない。まあ、数百メートルの土壁を作ったり、それに沿って堀を掘ったりするのもそれほど大変ではない。ただ、マーカスにレーノ、カイトにレーベルまでも、何でもかんでも私たちがやり過ぎるのは良くないと言ってきた。ここに住むのは、全員であって、みんなが自分の守るべき場所として、汗水たらして作り上げる必要があるとのことだ。その言葉はとても嬉しかったので、どうしても私たちにしかできない作業以外は、みんなで一緒にやることになった。


 ♢ ♢ ♢


翌朝から、拠点の改造工事が始まった。まずは、拠点の北側を『アマジュ』の群生地を取り込む形で拡張する。それと同時に、岩山近くの南側に、騎士用の宿舎を建築する。レーベルの作っていた畑は小規模だったので、移動させる予定だ。

この2つを同時に行うのだが、それに先だって、騎士たちに私たちの組織について、そして『アマジュの実』について説明した。この2つを説明しておかないと、拠点の改造に疑問が生じるからだ。騎士であれば、全部説明しなくても任務を遂行するだろうが、「説明できる内容は極力説明した方がいいと思う」との私の意見をレーノが容れてくれた形だ。

組織については驚きが無く、『アマジュの実』については驚きがあった感じだったが、特に問題は無かった。レーノが政治・経済関係の文官に就任したことについても、疑問に感じる騎士はいないように見えた。気になってレーノに聞いてみると、レーノは父であるマーカスの意志を継いで騎士団に入り、副団長まで登り詰めたが、元々は文官肌らしい。戦闘能力はそれなりにあるらしいが、父や他の優秀な騎士と比べるとどうしても見劣りしてしまう。しかし、指揮能力はずば抜けていたので、副団長に任命されたとのこと。私の任命した、政治・経済関係の文官というポジションは、とても嬉しいものだったらしい。

最後にゴーレムについても説明し、騎士団30名と、マーカス、レーノをゴーレムに味方だと認識させた。ゴーレムについては、昨日見たときから聞きたそうにしていた騎士が多く、私の説明を聞いて納得すると同時に、驚いていた。

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