危険な森で目指せ快適異世界生活!

ハラーマル

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第3章:変わりゆく生活

第134話:魔法の可能性

「それでコトハ殿。2つ目は?」
「えーっとね、フォブス君とノリス君のことなんだけど・・・」
「ん? 2人がどうかしたのか?」
「さっき外で、カイトが一緒にオランドさんと剣の訓練をしているのを見たんだけど、フォブス君ってかなり魔力の量が多いよね。それに昨日挨拶したときに感じたけど、ノリス君も」
「・・・なんだと? 魔力が多いというのは、魔法が使えるくらいにか?」
「うーん、そこまではなんとも。私は種族柄、他人や魔獣の魔力を感知するのが得意なんだけど、2人の魔力量がかなり多いのは間違いないかな。少なくとも騎士とは比べものにならないし、この前会った、ソメインさんといい勝負だと思うよ」
「ソメインと!? 前も話したが、ソメインは元王宮魔法師団の師団長を務めた優秀な魔法使いだ。彼と同程度ということは・・・」
「可能性はあると思う。ただ、魔力があるのと魔法が使えるのは別だよ。カイトの魔力量はソメインさんを大きく上回るけど、カイトは魔法得意じゃないしね」
「・・・なるほど。正直、『人間』が多いカーラルド王国では、魔法に関する理解が浅い。当然、魔力についてもだ。だが、魔法が使えて損はないし、仮に使えなくても現状が変わるわけではない。後でラムスと相談してみよう。教えてもらい、感謝する」
「ううん。もしよければ、私が魔法の使い方を簡単に教えてみようか?」
「いいのか!?」
「ええ。まあ、使えるかは分からないし、お試しって感じだけど」
「もちろんだ。ラムスに話してこよう。続きは夕食時に」

そう言うとアーマスさんは、ラムスさんのもとへ走って行った。やっぱり魔法が使えるってのは大きいんだな。けど、2人の魔力量が多いのはなんでだろう。ラムスさんやミシェルさんの魔力量は、一般的な『人間』と変わらないし・・・


進化し、ここ1ヶ月間は魔力の制御に時間を割いていたおかげで、私の魔力を感じる力や制御する力は格段に向上した。その結果、個々の魔力が放つ個性、いわゆる「オーラ」をある程度は識別できるようになった。魔力を持つ者は多かれ少なかれ身体から魔力を放出している。私のようにその魔力が特徴的かつ濃いと、他者を寄せ付けない強力なオーラになる。

このオーラは子に引き継がれる。というより、地球の知識でいう遺伝のように両親から引き継ぎ融合する。そのため、子と親の関係性を知らなくても、それぞれのオーラを確認すれば関係性が分かる。このことに気がついたのは、ロンとバズを世話していたときだ。それぞれポスとベッカのオーラを感じるのはもちろん、ワートのオーラを感じたのだ。ポスとベッカに確認したところ、2頭ともワートが父親で間違いなかった。・・・・・・あやつ、あっという間に2頭の親になりよった。

それから検証がてら、領内唯一の親子であるマーカスとレーノを確認してみたが、やはりオーラに近しいものを感じた。兄妹でも似るらしく、カイトとポーラのオーラも似ている。このような能力を手に入れたことだし、ここ1ヶ月の間に破壊された魔石は無駄じゃ無かったと自己完結しておく。まあ従魔たちが美味しそうに欠片を囓っていたけど・・・


そんな魔力による親子鑑定の結果、フォブス君とノリス君の親は間違いなく、ミシェルさんとラムスさんだ。最初、フォブス君とノリス君から強い魔力を感じたときは良からぬことを想像してしまったが、ひどい思い違いで安心した。心の中で謝りつつ、考えてみる。

そもそも魔力量が多いのは、身体が魔素に親和的だからだ。親和的なため、多くの魔素を魔力へ変換し体内に保管できる。簡単にいえばこうだ。そうすると、フォブス君とノリス君の魔力が多いことは、2人の身体が魔素に親和的であることと同義になる。

カイトたちみたいに後天的に魔素に親和的な身体になり、魔力量が増すこともあるけど、これはたぶん特殊な例だ。身体が魔素に親和的かどうかは、生まれながらに決まっている、つまり遺伝的なものだと考えられる。片親が他種族で魔力が多いとき、子どもの魔力が多いことがあるのはそのせいだろう。

ただ、遺伝が関係してくるのならば、必ずしも親の身体に魔素へ親和的な要素が発現していなくてもいい。先祖の中に魔素に親和的だった人や種族がいれば、その遺伝子を多かれ少なかれ引き継いでいる可能性があるからだ。それが偶然、子孫に発現するとすれば、親が普通なのに子が魔素に親和的なことはあり得るのだと思われる。隔世遺伝ってやつだ。
まあ、魔素への親和度に遺伝が関係しているのかすら不明だから、推測の域は出ないけど・・・


しかし、この考えが正しければ、魔法を使える『人間』がもっと多くてもいい気がする。種族には寛容だった旧ラシアール王国では、他種族と結婚することは珍しくなかった。もちろん貴族でも他種族と結婚した人はある程度いたそうだし、他種族の特徴を持つ貴族もいるらしい。

そう考えると、本当は魔素に親和的な身体を持ち、魔力量も多い人はそれなりにいるのではないだろうか。ソメインさんの話を聞く感じ、親が『魔族』や『エルフ』の場合は、子が魔法を使える可能性が高いというのが一般的な認識みたいだったし、逆に両親が『人間』なら魔法を使えるかを疑うこともしないのかも。それに、正確な系譜管理がされているのは貴族だけだろうし、数代前に『魔族』や『エルフ』がいたかなんて、普通は分からないだろう。


その後夕食時に、アーマスさんにラムスさん、ミシェルさんにもフォブス君とノリス君に魔法が使えるか試してほしいと頼まれ、2人もやる気だったので、明日試してみることになった。
ちなみにミシェルさんに聞いたところ、ミシェルさんの祖母、フォブス君とノリス君の曾祖母にあたる人が『エルフ』だったらしい。なので、先ほどの推測は一応、矛盾しないことになった。


 ♢ ♢ ♢


翌日、私たちは訓練場へ来ていた。フォブス君とノリス君に加えて、カイトたちやアーマスさんにミシェルさんもいる。ラムスさんは仕事の関係で来られないそうだ。

いろいろ試す前に、2人を『鑑定』してみた。『鑑定』結果が全てでは無いことは、ポーラで実証済みだ。一番最初にポーラを『鑑定』したときは、ポーラに『土魔法』はなかった。しかし今では、領都を覆う土壁作りを手伝えるまでになっている。おそらく、魔法の根幹は「魔力を動力として魔素を動かし事象を発生させる」ことにあって、それが体系化されたものが各魔法なのだろう。なので、身体の魔力を操り、イメージがしっかりしていれば、『鑑定』で表示されない魔法も使用できる。


『鑑定』の結果2人には、『水魔法』と『土魔法』がレベル0で備わっていた。というわけでこの2つから練習するが、その前に、

「えっと、まず2人は自分の身体を流れる魔力って分かる?」

私がそう問うと、2人は首を横に振る。どうしたものか・・・。カイトたちのときは、簡単に発動できちゃったんだよね・・・


私は少し考えてから、フォブス君の両手を握った。

「っ!」

手を握るのは12歳の男の子には早かった? 少し顔が赤いのを無視して進める。

「今からフォブス君の右手に私が魔力を流すよ。それで、左手から魔力が出るように補助するよ。多分それで、フォブス君の体内の魔力に流れができるはずだから、感じてみて。それと、気分が悪くなったり、しんどくなったりしたら直ぐに言うこと。いい?」

顔を赤くしつつ頷いてくれた。貴族の男の子ってもっと女の子慣れしてるのだと思ってたけど、違うんだね・・・・・・。なんか、可愛く思えた。
大量の魔力を流し込むのは危険な気がするので、流す魔力は少なく。ゴーレム作りのために魔石に魔力を込めるよりももっと少なくだ。それから私の魔力からできる限り個性を取っ払い、純粋なエネルギーになるように調整する。他者の個性の出た魔力を流し込むのは怖いからね。


私が魔力を流し始めて直ぐ、フォブス君が身体を震わした。それから、自分の身体を見ている。私の左手からは少量の魔力が流れ出ており、右手には魔力が流れ込んでいる。おそらく、私が流した魔力がフォブス君の体内の魔力を押しだして流れを作り、溢れた魔力が私に流れ込んでいるのだと思う。

「どう? 感じれる?」
「・・・・・・はい、なんか温かいポカポカしたものが、身体を流れている感じです」
「よし、それが魔力よ。その流れに意識を向けて、流れをしっかり感じて」
「えっと、はい。なんとなく分かります」
「よし。そしたら、手を離すよ。私が魔力を流し込むのを止めるけど、自分の身体の魔力に集中して、自分で体内を流れるようにしてみて」

それから手を離し、フォブス君を観る。手を離したことで、魔力の流れが一旦停滞したが、少ししてから再び身体を巡るようになった。フォブス君の顔を見ても、何か掴めたのだろう。


「魔力の流れが分かったら、魔力が両手に集まる様に意識して!」
「は、はい!」

観察しているが、徐々に両手に魔力が集まっているのが見て取れる。

「そしたら、これをしっかり見て、イメージして!」

私は手のひらに水球を作り出し、フォブス君に示す。


フォブス君は私の手の上にある水球をぎゅっと凝視して・・・・・・、次の瞬間、フォブス君が突き出す両手の前に水球が生み出され、地面に落ちて弾けた。




「・・・・・・で、できた。できました!」

フォブス君はかなり興奮しているようで、自分の手を見たり、水球が弾けた地面を見たりしていた。アーマスさんたちは絶句しているが、気にしない。

「フォブス君。今の感覚を忘れないうちに、もう一回!」
「はい!」

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