危険な森で目指せ快適異世界生活!

ハラーマル

文字の大きさ
148 / 370
幕間:ガッドでの新生活

幕間④:盗賊討伐

~カイト視点~

翌朝、オランドさんとグレイさんに勉強の予定や訓練の予定を調整してもらい、フォブスと朝から冒険者ギルドに向かっていた。

ギルドへ入ると受付のお姉さんに、盗賊の討伐依頼を受けに来たと伝える。すると奥の大部屋に案内された。大部屋には既に、10人の冒険者と思われる人たちが集まっていた。3箇所に分かれているので、3パーティかな?

一応「おはようございます」と挨拶をしながら部屋に入ると、一番近くにいた4人組のパーティの中の男性が声を掛けてくれた。

「おはようさん。君たちも盗賊の討伐かい?」
「はい。昨日ソメインさんに、参加するように言われました」
「ほぅ。ギルマスにか。ああ、悪い。俺はシルバーランク冒険者のカルロス。パーティメンバーのドム、ミーシャ、フーリャだ」
「僕はカイト。こっちはフォブスです。アイアンランクです。よろしくお願いします」
「ああ、よろしく。にしてもその若さでアイアンランクか」

カルロスさんのパーティメンバーや他のパーティメンバーとも挨拶を交わし、話をしているとソメインさんが入ってきた。

「揃っていますね。まずは集まってくれて感謝します。伝えているとおり、本日は東の街道に出る盗賊の討伐を行います。出没する位置と襲われた商隊の護衛をしていた冒険者からの情報で概ねアジトの場所は分かっています。なので、商隊に扮してそのアジトがあると思われる周辺に向かいます。向こうが襲ってくればよし、こなければアジトを見つけて攻めます。配役としては、エコーとケイジュのパーティが護衛役を。カルロスのパーティは2台の馬車に分かれて商人役をお願いします。カイトとフォブスはカルロスと一緒に行動してください。カルロス。この2人の戦闘能力は私が保証しますが、盗賊討伐の経験はありません。いろいろ教えてあげてください。最後に、今回は私も同行します。指示は私が出すので従ってください」

ソメインさんの説明と指示に、カルロスさん、エコーさん、ケイジュさん3人のパーティリーダーが頷く。当然僕たちにも異論はないので、頷いておく。
ちなみに、僕たちが貴族の身分を持っていることは隠すようにお願いしてある。なので、いつもと違って呼び捨てだ。
それにしてもソメインさんも参加するのって、僕たちに何かあると困るからなのかな・・・。そう考えると、迷惑を掛けてしまう。フォブスもそう思ったようで申し訳なさそうにしていた。


「それで、質問がある人はいますか?」

手を上げる人はいなかったので、準備に入ることになった。
僕たちはカルロスさんと一緒にギルドの裏手にある馬車置き場に向かう。


「それじゃあ、馬車の用意をするか。カイト、フォブス、一緒に来てくれ」

カルロスさんの指示に従い、ギルドで飼育している馬を馬車に繋いでいく。馬の扱いにもここ2ヶ月でかなり慣れたと思う。スティアは何も言わなくても動いてくれるけど、騎士団の軍馬はそうはいかない。なので、乗り方に世話の仕方、指示の出し方や機嫌の治し方を習った。フォブスもさすがに馬にはなれているので問題ない。


僕たちが問題なく馬を扱っているのを見てカルロスさんが、

「ほぅ。馬の扱いもできるのか。戦闘能力もギルマスのお墨付きがあるわけだし、こりゃぁ、将来有望だな」
「あ、ありがとうございます」
「それで、カイトにフォブス。御者をした経験はあるのか?」
「えっと、それはないです」
「そうか。なら、道中で教えてやろう。冒険者をしてると、護衛依頼や自分たちの移動で馬車をレンタルすることがある。そのときに御者ができると便利だぞ」
「「お願いします」」

正直僕たちが御者をすることが後々あるかは分からない。けれど、何事も知っていて損はない。それにフォブスはともかく、僕は冒険者を長く続ける可能性もある。カルロスさんの好意に甘えることにした。




それから準備を終わらせ、予定通りガッドの東側へ出発した。ふと上空を見ると、フェイも着いてきている。フェイには、盗賊の討伐に行くことを話し、僕が合図したら助けに入るようにお願いしてある。周りへの説明が面倒なので、そうならないことを願うばかりだけど・・・

襲撃が予想されるポイントまでは、片道2時間ほど掛かるので、エコーさんとケイジュさんのパーティは交替で護衛を装いながら、休憩している。僕とフォブスは、カルロスさんが御者をしている馬車に乗り、御者のやり方や盗賊の討伐依頼の際の注意点を教えてもらっていた。


そうして進むこと2時間ほど。同じ馬車に乗り書類仕事をしていたソメインさんが、いきなり顔を上げた。

「カルロス、来ますよ。この先500メートル。小さな林の中に12人います」
「了解」

そう言うとカルロスさんは、後ろの馬車で御者をしているドムさんに合図を送り、それから護衛をしているエコーさんとケイジュさんにも合図を送った。


こちら側の緊張感が高まり、全員が飛び出してくる盗賊に集中していた。
それから少しして、右前方にある小さな林の中から盗賊が飛び出してきた。
ソメインさんの情報通り12人だ。


盗賊たちはこちらを見てニヤッとしてから、

「そこの商隊! その場で停まれ! 抵抗すると痛い目を見るぞ!」

と、脅し文句を掛けてきた。盗賊で確定だ。

ソメインさんがカルロスさんに合図を送り、それを見たカルロスさんが護衛に扮していたエコーさんとケイジュさんに合図を出した。合図を受けてエコーさんとケイジュさんのパーティ6人が、盗賊の背後を取るように走り出した。

盗賊はいきなり走り出した6人に驚いたようだが、残っているのは商人だけで護衛の冒険者は逃げたのだと思ったようで、笑みを崩さないままこちらに近づいてきた。そもそも護衛の人数は盗賊の半分なので、戦闘になっても問題ないと思ったのだろう。

それを確認して、2台の馬車からカルロスさんのパーティと僕たち、そしてソメインさんが下りて戦闘態勢に入る。
今日はフォブスも剣を抜いている。魔法が使えること自体を厳密に隠す必要はないが、ここまで使いこなせることは隠しておきたいらしい。まあ剣術もきちんと身に付けているフォブスなので問題ない。


ここにきて初めて盗賊は違和感に気がついたようだった。逃げたと思った護衛が背後を固めている。商人しかいないと思っていた馬車から抜剣した冒険者風の戦闘員が出てくる。ようやく罠に嵌まったと気がついたようだった。

けどもう遅い。

「かかれ!」

というソメインさんの号令の下、盗賊討伐が開始された。


僕も双剣を抜剣し、直線上にいた男に接近する。盗賊の男は剣を構え振り上げるが、その動きは騎士団のそれには遠く及ばない。左手の剣で軽く受け止めて、男の左の肩口を斬りつける。それと同時に、男の左斜め後ろに回り込み、左の膝裏を蹴り上げた。

肩口を斬られ膝を蹴られたことで、剣を落とし、バランスを崩して膝をついた男の右側に回り込んで。今度は腹を蹴りつけた。
男は「うぐっ」と声にならない呻き声を上げて、気を失った。ちなみに、『身体強化』は使っていない。騎士団との訓練で、殺さずに相手を無力化する方法も習ったのだが、その1つを使っただけだ。


それから周りを見渡すと、それぞれ盗賊を制圧し終わっていた。全体を管理しているソメインさんを除いて、人数は12対12の同数だったのでそれぞれ1人ずつ相手にすることで、問題なく制圧できた。

ソメインさんの指示で捕らえた盗賊を馬車に積んであった縄で縛っていき、盗賊の討伐はものの数分で完了した。

感想 126

あなたにおすすめの小説

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~

ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国辺境でただ静かに生き延びたいだけの少年・ヴァン。 彼に正義感はない。あるのは、母が遺したノートに記された、物理法則を応用した「高圧魔力」の理論と、徹底した費用対効果至上主義だけだ。 敵国三千の精鋭が灰燼城に迫る絶望的状況。ヴァンは剣を振るわず、心理戦と補給線攪乱だけで、たった三日で敵軍を撤退させる。 この効率的すぎる勝利は帝国の中枢に届き、彼は最高峰の帝国軍事学院への招待状を手に入れる。 「英雄になりたいわけじゃない。ただ、母の死の真相と父の秘密を知るため、生き残らなきゃならないだけだ」 無口最強の仮面メイド・シンカク、命を取引に差し出した狼耳少女・アイリ。彼は常にコスパの高い道を選び、母の遺したノートの謎、そして生まれて一度も会ったことのない父・帝国大元帥のいる帝都の闇へと踏み込んでいく。 正義も英雄も、損をするなら意味がない。合理主義が英雄譚を侵食していく、反英雄ミリタリー学園ファンタジー。

本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜

あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい! ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット” ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで? 異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。 チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。 「────さてと、今日は何を読もうかな」 これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。 ◆小説家になろう様でも、公開中◆ ◆恋愛要素は、ありません◆

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです

yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~ 旧タイトルに、もどしました。 日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。 まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。 劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。 日々の衣食住にも困る。 幸せ?生まれてこのかた一度もない。 ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・ 目覚めると、真っ白な世界。 目の前には神々しい人。 地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・ 短編→長編に変更しました。 R4.6.20 完結しました。 長らくお読みいただき、ありがとうございました。

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

3点スキルと食事転生。食いしん坊の幸福無双。〜メシ作るために、貰ったスキル、完全に戦闘狂向き〜

幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
伯爵家の当主と側室の子であるリアムは転生者である。 転生した時に、目立たないから大丈夫と貰ったスキルが、転生して直後、ひょんなことから1番知られてはいけない人にバレてしまう。 - 週間最高ランキング:総合297位 - ゲス要素があります。 - この話はフィクションです。