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第4章:新たな日々
第176話:王都へ
うちの騎士団とバイズ公爵領の騎士団の合同訓練は、定期的に行われることになった。
うちの騎士団は練度の高いバイズ公爵領の騎士団から、集団戦闘のノウハウや戦闘以外の騎士団の仕事についてなど、多くを学ぶことができる。バイズ公爵領の騎士団は、魔法武具の扱いやクライスの大森林に生息する魔獣の対処などを学ぶことができる。両者にメリットがあり、また騎士団の交流は領の交流に繋がるということで、定期的に実施することになった。
何はともあれ初回のバイズ公爵領の訪問は無事に終了した。その後も、砦の運用はつつがなく行われ、王都キャバンへ向かって出発する日を迎えた。
領都内での準備は既に済ませており、朝一でマーラに乗って砦に移動してきた。同行する騎士団は既に砦に移動し、準備を完了している。
今回一緒に行くメンバーは、まずカイトとポーラ、フォブスにノリス、そしてキアラの子どもたち5人だ。カイトとポーラはもちろん、フォブスとノリスは、一緒に連れて行ってほしいとラムスさんに頼まれた。どうやらラムスさんは頻繁に王都とガッドをかなりの強行軍で行き来しているようで、2人にはゆっくりと道中を見ながら王都を目指してほしいとのこと。2人を守るくらいは問題ないし、カイトたちも友だちが一緒にいた方が楽しいだろうということで了承した。
4人が一緒にいくとなると、キアラが1人になる。最初キアラは、おそらく身分というか立場の違いから、「領都かガッドで待っています」と言っていたが、処理されたとはいえ彼女を狙っていたバカのこともあるし、一緒に連れて行くことにした。扱いとしては、私の部下の一人という扱い。最近は、魔力操作の練習がてら、魔法武具作りを手伝ってくれている。なので、ある意味では“弟子”ともいえるしね。
他にはレーノ。レーノが不在の間の領の運営はヤリスにお願いすることにした。まあ、この間は定期的な物資の購入や武具の納品だけであり、ヤリスさんがいれば問題なく進めてくれると思う。
後はレーベルたち悪魔族の3人が、私たちの身の回りの世話をしてくれる。
最後に騎士団。騎士団長のマーカスと、警護隊である第1中隊の中隊長を兼ねる副団長のジョナス。そして騎士団の第1中隊と第3中隊が一緒に行く。つまり騎士50人と騎士ゴーレム100体になる。しかし、さすがに数が多すぎるし、警備隊に配属する魔鋼製のゴーレムは試作段階で運用を開始していない。それにギリギリ騎士の数分の軍馬は用意できたが、騎士ゴーレムの移動手段に困った。
そのため、警備隊は騎士のみ25人。第3中隊から騎士25人と騎士ゴーレム25体。騎士ゴーレムは用意した馬車4台にそれぞれ台車を取り付け、そこに乗せてある。台車の乗り心地は最悪だが、騎士ゴーレムであれば関係ない。加えて命令式を書き込んだ魔石と魔力を溜め込んだ魔石をリンが『マジックボックス』にしまってくれているので、急いで身体を用意すれば適当なゴーレムは作ることができる。最近は、騎士ゴーレムに必要な動きを考え定式化した結果、『ゴーレム生成の魔法陣』使用後に騎士ゴーレムに動きを覚えさせる必要がほとんど無くなっており、直ぐに実戦投入できるようになっている。
こうして馬車4台に、騎士ゴーレム25体を含めて90人ほどでの移動になった。マーカスとレーノ曰く、高位貴族が公式な式典のために移動することを考えると一般的か少し少ないくらいの規模らしいので、いいだろう。
後は、馬車4台は、マーラ、スティア、ウォロン、ワートのスレイドホースたちが1台ずつ引いている。一応、軍馬2頭で引く想定で作られていたが、スレイドホースであれば余裕だった。ポスとベッカは、それぞれの子どもであるロンとバズと一緒に領都に残っている。既に軍馬ほどの大きさではあるが、まだ子どものロンとバズを連れていく気は無かったし、万が一の場合を考えると領都にスレイドホースがいてくれた方がいいと考えたからだ。
それなりの数の騎士団が護衛し、立派なスレイドホースが引いている馬車が4台。騎士団の装備も魔鋼製という高性能に加えて、魔獣の毛皮などを用いて見栄えも整えられており、馬車列としてはそれなりに立派な姿をしていると思う。
加えて元の大きさに戻ったシャロンが馬車列の前後や間を自由に駆け回っており、小型化したままのホムラも自由に飛び回っている。普段は町や村へ入る際には馬車へ戻しているが、王都へ入る際にはそのままでいいかもしれない。
♢ ♢ ♢
砦を出発して2週間が経過した。
最初にガッドに寄り、アーマスさん、ラムスさん、ミシェルさんはいなかったがバイズ公爵家で1泊お世話になり、トレイロやソメインさんに挨拶をするなどした。
それからガッドの北西方向にある王都キャバンを目指すべく、いくつかの町や村を訪れ、場合によっては滞在しながら進んでいった。
途中で寄る町や村は、事前に騎士が経路を確認するために巡り、マーカスやレーノ、レーベルが寄るべき町や村と、そうではないものを選んで決めてある。選ぶ基準としては、町や村の規模や場所に加えて、訪問した騎士への対応などだ。既にカーラルド王国の建国や新たな貴族の情報は発表されているが、新興貴族であるクルセイル大公家のことを知っている者は少ない。規模が小さい町や村なら尚更だ。そのため「騎士を騙る愚か者め!」と怒鳴られることもあったらしい。当然、そんなところはスルーであり、疑いながらも丁寧に対応してくれた所から立ち寄る場所を選んだ。
立ち寄ってからは、町長や村長と交流し、必要に応じて物資を渡したり、逆に購入することでお金を落としたり。後は直ぐ近くに強力な魔獣が住み着いて困っているという村では、騎士団にその討伐を行わせた。そうして、クルセイル大公家の名前を売っていくとともに、貴族としての義務を果たしたりしていった。
全部無視してキャバンまでの最短ルートで進めば1ヶ月も掛からずに到着できるし、町や村に泊まるからといって、快適なわけでもなかったが、ガッド以外の町や村を訪れるのは初めてでとても楽しかったし、いろいろ知ることもできたのでいい経験になったといえる。
そうして今日の夕方頃に到着する予定の村。場所としてはバイズ公爵領を出て、サイル伯爵領へと入って少ししたところにあるゼット村という村に近づいた頃だった。
前方にいたジョナスが私たちの馬車に近づいてきた。
「コトハ様。少しよろしいでしょうか?」
そう言って声を掛けてきた。
「もうすぐ着く?」
立ち寄る町や村に近づいたときにはいつも報告があった。それは主にシャロンとホムラを馬車に入れるための合図であり、今回もそうであろうと思っていると、
「はい。ですが、少しおかしなことが」
「おかしなこと?」
「はい。先頭を走っていた騎士によると、『村のある場所から煙が上がっている』と。何かあったのかもしれません」
「煙・・・」
私が少し考えていると、横にいたマーカスが
「コトハ様。騎士を何名か送り、確認させるべきかと」
「そうね。お願い」
「承知致しました。ジョナス。第3中隊から騎士を5名送れ。村人に怖がられても面倒だから騎士ゴーレムは待機だ。それから、残りの騎士に警戒を指示しろ」
「はっ!」
マーカスの指示によりジョナスが命じると、列の先頭近くにいた騎士が村の方へ向かっていった。
私たちも馬車から降りて列の前の方へ進んだ。
列はちょうど、小さな丘の頂上付近に差し掛かっており、先頭が頂上に達したところで煙に気がついたそうだ。
頂上まで行ってみると、まだそれなりに距離があるのにハッキリと分かる黒煙。これまで訪れた村に比べて大きめの村のようだが、その各所から煙が立ち上っていた。
うちの騎士団は練度の高いバイズ公爵領の騎士団から、集団戦闘のノウハウや戦闘以外の騎士団の仕事についてなど、多くを学ぶことができる。バイズ公爵領の騎士団は、魔法武具の扱いやクライスの大森林に生息する魔獣の対処などを学ぶことができる。両者にメリットがあり、また騎士団の交流は領の交流に繋がるということで、定期的に実施することになった。
何はともあれ初回のバイズ公爵領の訪問は無事に終了した。その後も、砦の運用はつつがなく行われ、王都キャバンへ向かって出発する日を迎えた。
領都内での準備は既に済ませており、朝一でマーラに乗って砦に移動してきた。同行する騎士団は既に砦に移動し、準備を完了している。
今回一緒に行くメンバーは、まずカイトとポーラ、フォブスにノリス、そしてキアラの子どもたち5人だ。カイトとポーラはもちろん、フォブスとノリスは、一緒に連れて行ってほしいとラムスさんに頼まれた。どうやらラムスさんは頻繁に王都とガッドをかなりの強行軍で行き来しているようで、2人にはゆっくりと道中を見ながら王都を目指してほしいとのこと。2人を守るくらいは問題ないし、カイトたちも友だちが一緒にいた方が楽しいだろうということで了承した。
4人が一緒にいくとなると、キアラが1人になる。最初キアラは、おそらく身分というか立場の違いから、「領都かガッドで待っています」と言っていたが、処理されたとはいえ彼女を狙っていたバカのこともあるし、一緒に連れて行くことにした。扱いとしては、私の部下の一人という扱い。最近は、魔力操作の練習がてら、魔法武具作りを手伝ってくれている。なので、ある意味では“弟子”ともいえるしね。
他にはレーノ。レーノが不在の間の領の運営はヤリスにお願いすることにした。まあ、この間は定期的な物資の購入や武具の納品だけであり、ヤリスさんがいれば問題なく進めてくれると思う。
後はレーベルたち悪魔族の3人が、私たちの身の回りの世話をしてくれる。
最後に騎士団。騎士団長のマーカスと、警護隊である第1中隊の中隊長を兼ねる副団長のジョナス。そして騎士団の第1中隊と第3中隊が一緒に行く。つまり騎士50人と騎士ゴーレム100体になる。しかし、さすがに数が多すぎるし、警備隊に配属する魔鋼製のゴーレムは試作段階で運用を開始していない。それにギリギリ騎士の数分の軍馬は用意できたが、騎士ゴーレムの移動手段に困った。
そのため、警備隊は騎士のみ25人。第3中隊から騎士25人と騎士ゴーレム25体。騎士ゴーレムは用意した馬車4台にそれぞれ台車を取り付け、そこに乗せてある。台車の乗り心地は最悪だが、騎士ゴーレムであれば関係ない。加えて命令式を書き込んだ魔石と魔力を溜め込んだ魔石をリンが『マジックボックス』にしまってくれているので、急いで身体を用意すれば適当なゴーレムは作ることができる。最近は、騎士ゴーレムに必要な動きを考え定式化した結果、『ゴーレム生成の魔法陣』使用後に騎士ゴーレムに動きを覚えさせる必要がほとんど無くなっており、直ぐに実戦投入できるようになっている。
こうして馬車4台に、騎士ゴーレム25体を含めて90人ほどでの移動になった。マーカスとレーノ曰く、高位貴族が公式な式典のために移動することを考えると一般的か少し少ないくらいの規模らしいので、いいだろう。
後は、馬車4台は、マーラ、スティア、ウォロン、ワートのスレイドホースたちが1台ずつ引いている。一応、軍馬2頭で引く想定で作られていたが、スレイドホースであれば余裕だった。ポスとベッカは、それぞれの子どもであるロンとバズと一緒に領都に残っている。既に軍馬ほどの大きさではあるが、まだ子どものロンとバズを連れていく気は無かったし、万が一の場合を考えると領都にスレイドホースがいてくれた方がいいと考えたからだ。
それなりの数の騎士団が護衛し、立派なスレイドホースが引いている馬車が4台。騎士団の装備も魔鋼製という高性能に加えて、魔獣の毛皮などを用いて見栄えも整えられており、馬車列としてはそれなりに立派な姿をしていると思う。
加えて元の大きさに戻ったシャロンが馬車列の前後や間を自由に駆け回っており、小型化したままのホムラも自由に飛び回っている。普段は町や村へ入る際には馬車へ戻しているが、王都へ入る際にはそのままでいいかもしれない。
♢ ♢ ♢
砦を出発して2週間が経過した。
最初にガッドに寄り、アーマスさん、ラムスさん、ミシェルさんはいなかったがバイズ公爵家で1泊お世話になり、トレイロやソメインさんに挨拶をするなどした。
それからガッドの北西方向にある王都キャバンを目指すべく、いくつかの町や村を訪れ、場合によっては滞在しながら進んでいった。
途中で寄る町や村は、事前に騎士が経路を確認するために巡り、マーカスやレーノ、レーベルが寄るべき町や村と、そうではないものを選んで決めてある。選ぶ基準としては、町や村の規模や場所に加えて、訪問した騎士への対応などだ。既にカーラルド王国の建国や新たな貴族の情報は発表されているが、新興貴族であるクルセイル大公家のことを知っている者は少ない。規模が小さい町や村なら尚更だ。そのため「騎士を騙る愚か者め!」と怒鳴られることもあったらしい。当然、そんなところはスルーであり、疑いながらも丁寧に対応してくれた所から立ち寄る場所を選んだ。
立ち寄ってからは、町長や村長と交流し、必要に応じて物資を渡したり、逆に購入することでお金を落としたり。後は直ぐ近くに強力な魔獣が住み着いて困っているという村では、騎士団にその討伐を行わせた。そうして、クルセイル大公家の名前を売っていくとともに、貴族としての義務を果たしたりしていった。
全部無視してキャバンまでの最短ルートで進めば1ヶ月も掛からずに到着できるし、町や村に泊まるからといって、快適なわけでもなかったが、ガッド以外の町や村を訪れるのは初めてでとても楽しかったし、いろいろ知ることもできたのでいい経験になったといえる。
そうして今日の夕方頃に到着する予定の村。場所としてはバイズ公爵領を出て、サイル伯爵領へと入って少ししたところにあるゼット村という村に近づいた頃だった。
前方にいたジョナスが私たちの馬車に近づいてきた。
「コトハ様。少しよろしいでしょうか?」
そう言って声を掛けてきた。
「もうすぐ着く?」
立ち寄る町や村に近づいたときにはいつも報告があった。それは主にシャロンとホムラを馬車に入れるための合図であり、今回もそうであろうと思っていると、
「はい。ですが、少しおかしなことが」
「おかしなこと?」
「はい。先頭を走っていた騎士によると、『村のある場所から煙が上がっている』と。何かあったのかもしれません」
「煙・・・」
私が少し考えていると、横にいたマーカスが
「コトハ様。騎士を何名か送り、確認させるべきかと」
「そうね。お願い」
「承知致しました。ジョナス。第3中隊から騎士を5名送れ。村人に怖がられても面倒だから騎士ゴーレムは待機だ。それから、残りの騎士に警戒を指示しろ」
「はっ!」
マーカスの指示によりジョナスが命じると、列の先頭近くにいた騎士が村の方へ向かっていった。
私たちも馬車から降りて列の前の方へ進んだ。
列はちょうど、小さな丘の頂上付近に差し掛かっており、先頭が頂上に達したところで煙に気がついたそうだ。
頂上まで行ってみると、まだそれなりに距離があるのにハッキリと分かる黒煙。これまで訪れた村に比べて大きめの村のようだが、その各所から煙が立ち上っていた。
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