危険な森で目指せ快適異世界生活!

ハラーマル

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第4章:新たな日々

第177話:村の異変

村の各所から立ち上る煙を眺めながら状況の確認に向かった騎士の帰りを待つ。カイトたちも馬車から出てきて一緒に見ている。

「コトハお姉ちゃんあれって・・・」
「寄る予定だった村。今、騎士が見に行ってるよ」
「そっか・・・」

詳しい状況は分からない。けれど、何か良からぬことが起こっているのは想像がつく。騎士の帰りを待つ空気が重くなっていった。


少しして騎士が帰ってきた。

「お疲れ様。どうだった?」

私が聞くと、

「はい。村の入り口から見た限りですが、戦闘の痕跡が多数ありました。また、村人と思われる複数体の死体も確認できました」
「・・・・・・そう」

村が何かに襲われた。それは分かっていたが、やっぱりか・・・
村が襲われたことを確認した時点で報告に戻ったそうで、詳しいことはまだ分からない。
・・・・・・確認するべきだよね。

「マーカス。村へ行くよ」
「お言葉ですがコトハ様。さすがに危険です・・・」
「でも確認しないわけにはいかないでしょ?」
「ですが、それは我々が・・・」
「ここはサイル伯爵領、でしょ? 他領内を騎士団だけで行動させるのは良くないって教わったけど?」
「それは、まぁ・・・。分かりました。カイト様方はこちらに?」
「うん」
「承知致しました。念のため騎士ゴーレムも使用します。警護隊の第1から第3小隊、第3中隊の第1から第3小隊は一緒に来い。残りはここでカイト様方を守れ。ジョナス、任せるぞ」
「「「はっ!」」」


マーカスの指示で騎士団が分かれた。
私とマーカス、それとレーベルは騎士団の半分を連れてゼット村へ向かう。残りは丘の上で野営をすることになるので、カイトとポーラに簡易の防衛措置として土壁を作るように頼み、野営地の設営を任せておいた。

村へ近づくと、煙だけでなく、所々でまだ燃えているのも目に入ってくる。そして強烈な臭い。おそらくだが、人が焼ける臭い。村を囲っている木製の柵は何カ所か壊されており、その周辺には多くの足跡がある。どう見ても人間の足跡ではない。それに血痕がそこら中にある。

騎士ゴーレムを先頭に村の入り口へ到着した。
無駄だとは思うが一応確認する必要がある。
マーカスが指示を出すと、1人の騎士が、

「こちらはカーラルド王国、クルセイル大公領の騎士団である! ゼット村に入る許可を得たい!」


少し待ってみたが、やはり村から出てくる者などいない。
この場合、既に見えている村の惨状と相まって、うちの騎士団が村へ入り、状況確認をする権限が認められる。
私が頷き、騎士ゴーレムを先頭に村へと入る。

村の作りはこれまで立ち寄った村と変わらず、中心に広場があり、そこから放射状に伸びた何本かの道があり、その道沿いに家が建っている。家の横には畑や小屋があり、それぞれ農業や畜産業を営んでいたのだと思われる。しかし畑は荒らされ、小屋は破壊されている。小屋を覗いてみたが、家畜と思われる動物が惨殺され、貪り食われた残骸が残っていた。

「盗賊じゃなさそうだね・・・」
「はい・・・」

この村を襲った犯人。考えられるのは盗賊か、魔物・魔獣だ。だが、盗賊が村を襲うのは村で作られる食料を狙ったり、少ない財を狙ったり、そして人を狙ったり、だ。ここまで破壊の限りを尽くすことは無いし、野蛮な盗賊とはいえ種族は『人間』などの人型種だ。家畜を引き裂くことも、村人の下半身を踏み潰すこともできない。

・・・・・・となると、

「・・・魔獣? でも、武器を使ってる形跡があるよね」
「はい。建物が壊されている所を見るに、剣のようなもので叩き切ったのだと思われます。こういうことができるのは・・・」
「コトハ様! 騎士団長!」

マーカスと2人で考えていると、騎士に呼ばれた。
声のする方に向かうと、

「うっわ・・・。なにあれ・・・・・・」

そこには、2メートルはあろうかという、大きな死体。全体的に太っていて、大柄。ぼろい腰巻きだけを身に付け、家屋にもたれかかるように死んでいる、豚顔の人間・・・?

「・・・オーク」


騎士団が散開し、村を調べた結果、4体のオークの死体が発見された。
オークは割とメジャーな魔物。二足歩行をする大型の人型の魔物で、剣や斧などの武器を使う。知能はそれほど高くないが、人を襲い、人を食う。また餌として、ときには単に陵辱するために若い女性や子どもを攫うことがある。そのため、冒険者ギルドでは、発見し次第の討伐が推奨されているらしい。それに、オークの肉は結構メジャーな食料だとか。あの死体を見た後では、とても食べたいとは思えないけど・・・

「じゃあ、オークの群れが、この村を襲ったってこと?」
「はい。村の惨状も、酷い状態の死体も。オークがやったのであれば説明がつきます。群れの規模は分かりませんが、一度の襲撃で、村を壊滅させたのであれば、数十から100体近くの群れであった可能性もあります」
「・・・・・・それって」
「はい。かなりの緊急事態です。そもそも、オークは人を襲いますが、それは旅人や商人など十数人規模の集団まで。数百人が暮らす村を襲うなど、めったにありません」
「うーん・・・」
「それから・・・」
「まだあるの?」
「はい。オークの死体が残っていたことです。どの死体も目立つ場所に転がっていました。他に餌がない場合は、オークは仲間の死体さえも餌と認識して喰らいます。4体とも腹を割かれる等して死んでいましたが、綺麗でした。それを喰わずに放置しているということは」
「・・・・・・他に餌があったってこと? それって・・・」
「村人です。確認した村人の死体は20体ほど。村の規模から考えて村人は少なくとも300人ほど」
「・・・・・・300人近くが食べられた?」
「分かりません。連れ去られた可能性もあるかと。オークの死体の状態から、村が襲われたのは今朝と思われます。とすれば、まだ連れ去られ、オークの住処に捕らわれて生きてる人がいるやもしれません」
「助けられるの?」
「可能性はあります」

・・・・・・うーん。
村が襲われたのが今朝なら、まだ襲われてから7、8時間ほど。オークの食生活は知らないけど、まだ助けるチャンスはあるのか・・・
さすがに見捨てるのは心苦しいし、私たちが助けなければ捕らわれた村人は確実に死ぬ、よね・・・・・・


「マーカス。村人を助けるとして、どうやるの? オークの住処を探す必要があるんでしょ?」
「はい。オークの住処は森の中にあることが多いです。この村がオークの活動圏内であるとすると、北側と東側の森に可能性があります。しかし東側の森は、我々が直ぐ側を通っていましたし、可能性は低いかと」
「そうなの?」
「はい。推定100体のオークがいる群れと、90人近くいるうちの馬車列が何の接触も無くすれ違うことは考えにくいです。それにシャロンやホムラも反応しませんでしたから」
「なるほど・・・」

シャロンやホムラには、魔物や魔獣が近くに来たら、教えるように言ってある。自由に遊び回ってるとはいえ、その嗅覚や感覚は優れたものであり、見過ごすとは考えにくい。
とすると・・・

「北側の森ね」

村の北側に見える森。それなりに有名な森らしく、その名をゼールの森というらしい。
有用な薬草が多く採れる一方で、強い魔物・魔獣はあまり生息しておらず、新人冒険者が多く訪れているとか。

「そんな森にオークが? オークってそれなりに強いんでしょ?」
「はい。うちの領で魔獣と戦っていると感覚が狂いますが、推奨ランクはブロンズ以上。ゼールの森にオークが、それも群れを成してというのは聞いたことがありません。とはいえ、状況的に可能性は高いかと・・・」
「そっか。じゃあ、そのゼールの森に行こうか」

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