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第4章:新たな日々
第180話:騎士団の役割
~マーカス視点~
コトハ様は騎士ゴーレム5体とシャロンを連れて裏に回られた。コトハ様の強さはもちろん、シャロンが一緒であれば危険なことは無いだろう。
騎士団長としては「コトハ様が洞窟に入り村人を捜索する」という、この作戦は了承するわけにはいかないのだが、どうしたものか・・・。
俺を含め騎士たちの強さはコトハ様の強さには遠く及ばない。それは経験がどうとか、訓練がどうとかのレベルではなく、もっと根本的な話だ。
コトハ様の種族は『魔龍族』だという。初めて聞く種族だが、圧倒的な強さに加えて、この前の古代火炎竜の騒ぎ。結局、ホムラがコトハ様の従魔として加わっただけだったが、我々ですら感じることのできたプレッシャー。それだけで死を意識するようなオーラを振りまいていたドラゴンが、傅く存在。それがコトハ様だ。
とはいえ、危険な作戦の立案にあたって、コトハ様の戦闘力を計算に入れることはできるだけ避けたいと考えている。騎士団である我々の存在意義、それを考えることが多い日々だ。
今回の作戦では、我々がいかにオークを引きつけ数を減らすことができるか。それが大切になる。コトハ様といえど、狭い洞窟の中で多数のオークを相手に村人を守りながら戦うのは難しい。それ以前に、洞窟内にオークが残っていればいるだけ、村人の捜索が難しくなる。
そのため我々は、できるだけ派手に、オークを撃破していく必要がある。
「全員、準備はいいか?」
騎士の返事を確認してから、
「よし。では、かかれ!」
号令を出し、茂みの中から見張りをしているオークに向かって突撃する。
見張りをしていた3体のオークのうち2体は、それぞれ騎士が一振りで首と胴とを泣き別れにさせ始末した。オークの分厚い肉も、魔法武具の剣と訓練された騎士の腕があれば問題ない。
残りの1体は腕を切り落とす。
腕を落とされたオークは気味の悪い呻き声を上げながら、洞窟に向かって何かを叫んでいる。
・・・・・・予定通りだ。
オーク3体なら、気づかれずに始末できる。しかし必要なのは、洞窟内のオークをここに集めること。そのためには、見張りのオークに叫んでもらう必要があった。
とはいえ、クルセイル大公領騎士団としてオークと戦うのは初めてであり、自分らの力量や武具がどれ程オークに通用するのかを知る必要もあった。そこで2体は瞬殺し、残り1体を残した。
腕を落とされたオークが泣き叫ぶこと少し、洞窟の中からオークがぞろぞろと出てきた。
剣や斧、棍棒のようなものを持っているオークもいれば、素手のオークもいる。どいつもこいつも、汚い口から何かを叫んでいる。おそらくだが、怒っているのだろう。
俺たちはオークが洞窟から出てきたのを確認してから、見張りの最後のオークを始末した。そして切り落としたオークの首を蹴り飛ばして挑発する。
・・・・・・・・・オークは簡単に挑発に乗った。
「来るぞ! 構え!」
先頭にいた2体のオークが真っ直ぐ首を蹴った騎士に向かう。
そして剣と棍棒を振り上げて・・・・・・。振り下ろすと同時に騎士ゴーレムが間に入り、盾でその攻撃を防ぐ。
攻撃が盾に受け止められ足を止めたオークの首を、横から騎士が切り落とす。
最初の2体を始末したのを皮切りに、洞窟からオークが次々に飛び出し、乱戦にもつれ込んだ。
普段は騎士ゴーレム2体に騎士1人の割合で動いているが、今は騎士25人に騎士ゴーレム5体。普段の戦い方はできない。騎士5人で立ち回りつつ、騎士ゴーレムが危険な攻撃を防いでいく。
「右だ!」
「まだ生きてるぞ!」
「騎士ゴーレムに頼るな!」
普段とは違う戦闘に少し戸惑いながらも、騎士たちは機敏に動いていく。
戦闘が開始してから30分ほど。これまでにオークを40体ほど始末した。こちらは負傷者も死者も出していない。ここまでは順調だ。
しかし、俺を含め騎士たちには疲れが見えている。
一方のオークは俺たちを包囲するように広がっている。まだ50体近くのオークが見えるが、一度に襲ってくるのは10体弱。というのも、遠距離攻撃の手段が無いオークたちは、近接戦を仕掛けるほかなく、身体の大きさから同時に戦える数も限られる。数の利を活かせていない状況はこちらに有利に働いていたが、時間が経つにつれて、いくらでも替えがいるという数の利が、こちらにとってキツくなってきたな・・・
現在戦っていたオークも始末して、次のオークかと思ったそのときだった、
「な、なんだ、あれ・・・」
オークの方を向いていた1人の騎士がそんなことを呟いた。
その騎士の視線の先に目をやると・・・・・・
「・・・・・・オークジェネラル」
俺の横にいた騎士、冒険者経験の長いランパルドがそう呟いた。
俺も戦ったことがある化け物、オークジェネラル。オークの上位種であり、支配階級の魔物だ。オークが100体近くいることから、何らかの上位種がいることは想定していたが、ここまで雑魚ばかりだったので、今更出てくるとは思わなかった。
「全員、気を引き締めろ。あれはオークジェネラル。オークとはわけが違う。フォレストタイガー並みの相手だと意識しろ」
そう指示を出しながら、少し距離を取る。
オークジェネラルの攻撃力は普通のオークとは段違いだ。騎士ゴーレムが少ないためオークの攻撃を剣で受け止めることをしていたが、オークジェネラルの攻撃であれば耐えきれないかもしれない。
「お前たちはオークジェネラルの背後にいるオークの相手をしろ。ランパルドは俺と一緒にオークジェネラルの相手をするぞ。騎士ゴーレム2体は俺たちと一緒に来い!」
「「「はっ」」」
俺たちと騎士が離れたのを見てオークジェネラルもこちらの思惑を感じ取ったようだ。しかし邪魔をする様子もなく、真っ直ぐ俺とランパルドに向かってきた。俺たちの前には騎士ゴーレムが2体控えている。
最初に動いたのはランパルドだ。オークジェネラルの右側に走り込みながら剣を下から振り上げた。しかしその攻撃は、オークジェネラルに当たることはなく、オークジェネラルが右手で持つ剣で防がれた。そして剣を持たない左手で殴りかかってきた。
オークジェンラルの素手の攻撃は、ランパルドとオークジェネラルの間に素早く入り込んだ騎士ゴーレムが盾で防いだ。
しかし・・・
「なっ!?」
オークジェネラルの攻撃は、盾を持つ騎士ゴーレムの右腕を破壊し、騎士ゴーレムを吹き飛ばした。
右腕が破壊されたことで、オークジェネラルの攻撃を耐えきれず盾が外れて、騎士ゴーレムの身体に攻撃が乗り、騎士ゴーレムが飛ばされた。飛ばされた騎士ゴーレムは数メートル先の岩に激突し、バラバラになった。戦闘不能だ。
「オークジェネラルの攻撃を受け止めるな! 躱すんだ!」
そう叫びながら、オークジェネラルの攻撃をなんとか躱していく。オークジェネラルの動きの速さは普通のオークと同じか劣る程度であり、ギリギリ躱すことができる。しかし、攻撃を受け止め隙を作らなくては攻撃に転じることができない。
・・・・・・このまま躱していては、いつか攻撃を喰らう。
そう思い、どうにか隙を作ろうとしたときだった。
「メイロン!」
オークを相手していた騎士たちが叫んだ。
そちらを向けば・・・・・・、1人の騎士、メイロンが吹き飛ばされていた。攻撃の瞬間は見ていないが、腕を振り抜いた直後のオークが見えることから、オークのパンチを食らったのだろう。その近くには、先ほどの騎士ゴーレムと同様に破壊された騎士ゴーレムも見える。
まずいな・・・
騎士たちはメイロンにオークを近づけないように牽制しながら、オークを相手している。当のメイロンは落下した場所から動かない。騎士が駆け寄り声を掛けているが、どう考えても重傷だ。
そう考えていたとき、
「マーカス!」
ランパルドの声が聞こえた。その声に従いランパルドとオークジェネラルの方を向く。すると、オークジェネラルの剣が直ぐそこまで迫っていた・・・
まずい・・・
「『ストーンウォール!』」
コトハ様は騎士ゴーレム5体とシャロンを連れて裏に回られた。コトハ様の強さはもちろん、シャロンが一緒であれば危険なことは無いだろう。
騎士団長としては「コトハ様が洞窟に入り村人を捜索する」という、この作戦は了承するわけにはいかないのだが、どうしたものか・・・。
俺を含め騎士たちの強さはコトハ様の強さには遠く及ばない。それは経験がどうとか、訓練がどうとかのレベルではなく、もっと根本的な話だ。
コトハ様の種族は『魔龍族』だという。初めて聞く種族だが、圧倒的な強さに加えて、この前の古代火炎竜の騒ぎ。結局、ホムラがコトハ様の従魔として加わっただけだったが、我々ですら感じることのできたプレッシャー。それだけで死を意識するようなオーラを振りまいていたドラゴンが、傅く存在。それがコトハ様だ。
とはいえ、危険な作戦の立案にあたって、コトハ様の戦闘力を計算に入れることはできるだけ避けたいと考えている。騎士団である我々の存在意義、それを考えることが多い日々だ。
今回の作戦では、我々がいかにオークを引きつけ数を減らすことができるか。それが大切になる。コトハ様といえど、狭い洞窟の中で多数のオークを相手に村人を守りながら戦うのは難しい。それ以前に、洞窟内にオークが残っていればいるだけ、村人の捜索が難しくなる。
そのため我々は、できるだけ派手に、オークを撃破していく必要がある。
「全員、準備はいいか?」
騎士の返事を確認してから、
「よし。では、かかれ!」
号令を出し、茂みの中から見張りをしているオークに向かって突撃する。
見張りをしていた3体のオークのうち2体は、それぞれ騎士が一振りで首と胴とを泣き別れにさせ始末した。オークの分厚い肉も、魔法武具の剣と訓練された騎士の腕があれば問題ない。
残りの1体は腕を切り落とす。
腕を落とされたオークは気味の悪い呻き声を上げながら、洞窟に向かって何かを叫んでいる。
・・・・・・予定通りだ。
オーク3体なら、気づかれずに始末できる。しかし必要なのは、洞窟内のオークをここに集めること。そのためには、見張りのオークに叫んでもらう必要があった。
とはいえ、クルセイル大公領騎士団としてオークと戦うのは初めてであり、自分らの力量や武具がどれ程オークに通用するのかを知る必要もあった。そこで2体は瞬殺し、残り1体を残した。
腕を落とされたオークが泣き叫ぶこと少し、洞窟の中からオークがぞろぞろと出てきた。
剣や斧、棍棒のようなものを持っているオークもいれば、素手のオークもいる。どいつもこいつも、汚い口から何かを叫んでいる。おそらくだが、怒っているのだろう。
俺たちはオークが洞窟から出てきたのを確認してから、見張りの最後のオークを始末した。そして切り落としたオークの首を蹴り飛ばして挑発する。
・・・・・・・・・オークは簡単に挑発に乗った。
「来るぞ! 構え!」
先頭にいた2体のオークが真っ直ぐ首を蹴った騎士に向かう。
そして剣と棍棒を振り上げて・・・・・・。振り下ろすと同時に騎士ゴーレムが間に入り、盾でその攻撃を防ぐ。
攻撃が盾に受け止められ足を止めたオークの首を、横から騎士が切り落とす。
最初の2体を始末したのを皮切りに、洞窟からオークが次々に飛び出し、乱戦にもつれ込んだ。
普段は騎士ゴーレム2体に騎士1人の割合で動いているが、今は騎士25人に騎士ゴーレム5体。普段の戦い方はできない。騎士5人で立ち回りつつ、騎士ゴーレムが危険な攻撃を防いでいく。
「右だ!」
「まだ生きてるぞ!」
「騎士ゴーレムに頼るな!」
普段とは違う戦闘に少し戸惑いながらも、騎士たちは機敏に動いていく。
戦闘が開始してから30分ほど。これまでにオークを40体ほど始末した。こちらは負傷者も死者も出していない。ここまでは順調だ。
しかし、俺を含め騎士たちには疲れが見えている。
一方のオークは俺たちを包囲するように広がっている。まだ50体近くのオークが見えるが、一度に襲ってくるのは10体弱。というのも、遠距離攻撃の手段が無いオークたちは、近接戦を仕掛けるほかなく、身体の大きさから同時に戦える数も限られる。数の利を活かせていない状況はこちらに有利に働いていたが、時間が経つにつれて、いくらでも替えがいるという数の利が、こちらにとってキツくなってきたな・・・
現在戦っていたオークも始末して、次のオークかと思ったそのときだった、
「な、なんだ、あれ・・・」
オークの方を向いていた1人の騎士がそんなことを呟いた。
その騎士の視線の先に目をやると・・・・・・
「・・・・・・オークジェネラル」
俺の横にいた騎士、冒険者経験の長いランパルドがそう呟いた。
俺も戦ったことがある化け物、オークジェネラル。オークの上位種であり、支配階級の魔物だ。オークが100体近くいることから、何らかの上位種がいることは想定していたが、ここまで雑魚ばかりだったので、今更出てくるとは思わなかった。
「全員、気を引き締めろ。あれはオークジェネラル。オークとはわけが違う。フォレストタイガー並みの相手だと意識しろ」
そう指示を出しながら、少し距離を取る。
オークジェネラルの攻撃力は普通のオークとは段違いだ。騎士ゴーレムが少ないためオークの攻撃を剣で受け止めることをしていたが、オークジェネラルの攻撃であれば耐えきれないかもしれない。
「お前たちはオークジェネラルの背後にいるオークの相手をしろ。ランパルドは俺と一緒にオークジェネラルの相手をするぞ。騎士ゴーレム2体は俺たちと一緒に来い!」
「「「はっ」」」
俺たちと騎士が離れたのを見てオークジェネラルもこちらの思惑を感じ取ったようだ。しかし邪魔をする様子もなく、真っ直ぐ俺とランパルドに向かってきた。俺たちの前には騎士ゴーレムが2体控えている。
最初に動いたのはランパルドだ。オークジェネラルの右側に走り込みながら剣を下から振り上げた。しかしその攻撃は、オークジェネラルに当たることはなく、オークジェネラルが右手で持つ剣で防がれた。そして剣を持たない左手で殴りかかってきた。
オークジェンラルの素手の攻撃は、ランパルドとオークジェネラルの間に素早く入り込んだ騎士ゴーレムが盾で防いだ。
しかし・・・
「なっ!?」
オークジェネラルの攻撃は、盾を持つ騎士ゴーレムの右腕を破壊し、騎士ゴーレムを吹き飛ばした。
右腕が破壊されたことで、オークジェネラルの攻撃を耐えきれず盾が外れて、騎士ゴーレムの身体に攻撃が乗り、騎士ゴーレムが飛ばされた。飛ばされた騎士ゴーレムは数メートル先の岩に激突し、バラバラになった。戦闘不能だ。
「オークジェネラルの攻撃を受け止めるな! 躱すんだ!」
そう叫びながら、オークジェネラルの攻撃をなんとか躱していく。オークジェネラルの動きの速さは普通のオークと同じか劣る程度であり、ギリギリ躱すことができる。しかし、攻撃を受け止め隙を作らなくては攻撃に転じることができない。
・・・・・・このまま躱していては、いつか攻撃を喰らう。
そう思い、どうにか隙を作ろうとしたときだった。
「メイロン!」
オークを相手していた騎士たちが叫んだ。
そちらを向けば・・・・・・、1人の騎士、メイロンが吹き飛ばされていた。攻撃の瞬間は見ていないが、腕を振り抜いた直後のオークが見えることから、オークのパンチを食らったのだろう。その近くには、先ほどの騎士ゴーレムと同様に破壊された騎士ゴーレムも見える。
まずいな・・・
騎士たちはメイロンにオークを近づけないように牽制しながら、オークを相手している。当のメイロンは落下した場所から動かない。騎士が駆け寄り声を掛けているが、どう考えても重傷だ。
そう考えていたとき、
「マーカス!」
ランパルドの声が聞こえた。その声に従いランパルドとオークジェネラルの方を向く。すると、オークジェネラルの剣が直ぐそこまで迫っていた・・・
まずい・・・
「『ストーンウォール!』」
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