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第5章:建国式典
第218話:王家の人たち
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王都について2日目の夜。昨日ハールさんに招待された食事会に向かっていた。
こちらの面子は、私とカイト、ポーラの3人。お付きとして、フェイとレビンが一緒だ。後はマーカスに、ジョナス、そして騎士が2人。護衛の彼らは、会場には入らず横の部屋で待機するらしい。向かう先は王家のプライベート空間なので、部屋の前まで護衛を連れて行くことが認められただけでもかなりの厚遇なんだとか。
キアラは遠慮するとのことで、レーノや一緒に来た文官組と共に、購入する予定の屋敷の内見に向かっている。商人の娘だったのもあり、キアラは読み書き計算はもちろん、お金の話にも付いていける。そのため、最近はレーノや文官組の下でいろいろ学んでいたりする。
先導する近衛騎士に案内されて王城を歩くこと少し、謁見の間などがある区画の奥にある王家のプライベート空間に進んだ。
少しして、一際豪華な両開きの扉が見えてくる。その扉の前にはハールさんの執事であるゴーランさんが待っていた。
「ようこそお越しくださいました、クルセイル大公殿下、大公弟殿下、大公妹殿下」
そう言って、恭しく礼をするゴーランさん。大公弟がカイトで、大公妹がポーラだ。2人は私の弟妹として登録されているので、これが正式な呼び名と敬称になるらしい。
先導の近衛騎士が左右に分かれて敬礼する。
それを見てマーカスが、
「それではコトハ様。我々は、こちらで待機いたします。後の準備はお任せください」
「うん、お願い」
と言って一礼し、横に逸れる。
扉が開き、ゴーランさんが私たちを案内してくれる。
中に入ると、私たちが滞在している客室と同じくらい広い部屋だった。その中央に長方形の長いテーブルが置かれ、左右に椅子が並べられている。一番奥の短辺の部分には椅子は無かった。
左側には既に10人が横並びに座っていた。
私たちを見て一番奥にいたハールさんが立ち上がり、
「よく来てくれたなコトハ殿。ささ、座ってくれ」
と言って、向かいの席に通された。
私たちは近衛騎士の案内が来てから移動を始めたのだが、先に待たれていると少し申し訳なくもある。
一応私がハールさんの向かいに、1つずつ開けてカイトとポーラが座る。フェイとレビンが私たちの後ろに控えている。
「コトハ殿。今日は招待に応じてくれて、感謝する。食事の前に、紹介させてくれ。妻のリアムだ」
「初めまして、ハールが妻、リアムですわ。コトハさん、とお呼びしても?」
「ええ。えっと・・・」
「リアムでいいですわ。ハールから聞いておりましたが、可愛らしい御方ですわね」
そう言いながら反対側から近づいてくるリアムさん。
思わず身構えてしまうと、
「これ、リアム。先に紹介をさせてくれ」
「あら、そうでしたわね」
そう言って、微笑みながらハールさんに連れ戻されているが、止める気は無いのね・・・・・・
それからリアムさんの隣の男性から順に自己紹介をしてくれた。
「初めまして、クルセイル大公。国王ハールが長男、ベイル・フォン・カーラルドです。お見知りおきを。それから、紹介します。こちらが妻のジャーラ。長男のグリンに、長女のフレンです」
紹介された3人がそれぞれ会釈をしてくる。
次に、
「国王ハールが次男、ガイン・フォン・カーラルドです。妻のユーリンと、長男のドムソンです。次男もいるのですが、まだ2歳であり、本日は連れていません」
「国王ハールが三男、ダン・フォン・カーラルドといいます」
と、紹介された。
ここに、ガインさんの次男以外の王族が勢揃いした状態だ。
ポーラはいつも通りだが、カイトは少し固まっている。
・・・にしても多い。いや、新しく紹介されたのはたったの9人なんだが、どうも覚えられる気がしない。まだ、カタカナの名前を覚えるのには慣れないんだよね・・・
気を取り直して、
「私は、コトハ・フォン・マーシャグ・クルセイル。こっちがカイトで、奥がポーラ。血のつながりは無いけど、弟と妹です」
私が紹介すると、2人もしっかりお辞儀する。
互いの紹介が終わったところで、食事が運ばれてきた。
簡単なコース料理になっているようで、順に運ばれてくる。
早速カイトは、ベイルさんの長男グリン君と長女のフレンさんと話をしている。ベイルさんとジャーラさんはそれを促しつつ見守っている感じだ。
ガインさんとドムソン君、そしてダンさんは、何やら探るようにポーラに話しかけている。ポーラは、初対面でも話しかけられれば答える子なので、出てくる食事を堪能しながら答えている。
「どうやら、最初の一歩は上手くいったようだな」
ハールさんがそんな風に呟いている。
「そうだね。私としても、カイトたちが話せる相手が増えるのは嬉しいかな」
カイトとポーラは、グリン君、フレンちゃん、ドムソン君と話し始めている。どうやら、グリン君がかなり積極的に、フレンちゃんとドムソン君は緊張している様子だ。こっちは、カイトがおとなしめに、ポーラが積極的に話している。そんなわけで、グリン君とポーラが中心で話している感じだ。
「コトハ殿は、王城の中を見て回っていたと聞いたが?」
「ん? ああ、少しね。どっちかというと、図書館に行った感じかな」
「おお、図書館か。我が家にあったものに加えて、潰した貴族家から多くの本を集めてきたからな。まだあまり有効活用できてはいないのだが、よかったら役立ててくれ」
「うん」
♢ ♢ ♢
食事が一段落したところで、一度お開きとなる。
ただ、私とハールさん、ベイルさん、ガインさん、ダンさんは残っている。カイトたちはフェイと一緒に部屋に戻っており、私の後ろにはレビンが控えている。そういえば、レーベルはいつ帰って来るのだろうか。レーベルに限って心配は無いのだけど、調査とやらが長引いているとか・・・?
まあ、私が気にしても仕方がない。
食事をしていた部屋の隣にある、談話室のような部屋に移動して座る。向かいに男性4人は少し圧迫感があるが、これも仕方がない。
本当はカイトも連れて来ようと思ったのだが、あの場にいた子どもたちで盛り上がっていたので、そっちを優先させたのだ。男の子2人は、カイトがガッドにいた時に冒険者として活動していた話に興味を引かれたらしく、いろいろ聞いている感じだった。
フレンちゃんは、ポーラとなにやらドレスのことを話していた。ポーラが着ていたのはレビンお手製の最高品質のドレスなので、見劣りはしないと思っていたのだが、予想以上にフレンちゃんが食いついた感じだ。ポーラも私やキアラ以外の女子と話す機会は少ないので、楽しそうに話していた。
それぞれ紅茶が前に置かれたところでハールさんが話し出す。
「それで、コトハ殿。頼んだものは・・・」
「ああ、連れてくるようにいったけど・・・。レビン?」
「畏まりました」
レビンに合図を出すと、綺麗なお辞儀をして部屋から出て行くレビン。
少しして、マーカスが2体の騎士ゴーレムを連れて入ってきた。
「失礼いたします。コトハ様、ご命令通り連れて参りました」
「ありがと、マーカス」
「これが・・・」
興味津々といった様子で騎士ゴーレムを見る4人。その後ろでは、近衛騎士がいつでも飛び出せるように剣に手を掛けている。
ハールさんに頼まれていたのは、騎士ゴーレムを見せてほしいとのこと。国やアーマスさんたちに売るかどうかはともかく、実際に目で見たいとのことだったのだ。
・・・いや、売る気は無いんだけどね?
連れてきた騎士ゴーレムは大きな盾を左腕に融合したタイプが1体、ロングソードを携えたタイプが1体だ。騎士ゴーレムをこのように分けた理由はともかく、ハールさんたちに与えた衝撃は大きいようだ。
最初に口を開いたのはダンさんだった。
「クルセイル大公・・・。このゴーレムは、かなり強いですね・・・」
確信めいた言い方が少し気になった。
「分かるの?」
「はい。自分は、ゴタゴタが起こる前はラシアール王国の近衛でしたから。それなりに腕には自信があるんですよ。少なくとも、後ろにいる近衛と互角には戦える自負があります。ですが、このゴーレムは無理ですね・・・。特に盾を持ってる方。これを倒せる気がしないです・・・」
こちらの面子は、私とカイト、ポーラの3人。お付きとして、フェイとレビンが一緒だ。後はマーカスに、ジョナス、そして騎士が2人。護衛の彼らは、会場には入らず横の部屋で待機するらしい。向かう先は王家のプライベート空間なので、部屋の前まで護衛を連れて行くことが認められただけでもかなりの厚遇なんだとか。
キアラは遠慮するとのことで、レーノや一緒に来た文官組と共に、購入する予定の屋敷の内見に向かっている。商人の娘だったのもあり、キアラは読み書き計算はもちろん、お金の話にも付いていける。そのため、最近はレーノや文官組の下でいろいろ学んでいたりする。
先導する近衛騎士に案内されて王城を歩くこと少し、謁見の間などがある区画の奥にある王家のプライベート空間に進んだ。
少しして、一際豪華な両開きの扉が見えてくる。その扉の前にはハールさんの執事であるゴーランさんが待っていた。
「ようこそお越しくださいました、クルセイル大公殿下、大公弟殿下、大公妹殿下」
そう言って、恭しく礼をするゴーランさん。大公弟がカイトで、大公妹がポーラだ。2人は私の弟妹として登録されているので、これが正式な呼び名と敬称になるらしい。
先導の近衛騎士が左右に分かれて敬礼する。
それを見てマーカスが、
「それではコトハ様。我々は、こちらで待機いたします。後の準備はお任せください」
「うん、お願い」
と言って一礼し、横に逸れる。
扉が開き、ゴーランさんが私たちを案内してくれる。
中に入ると、私たちが滞在している客室と同じくらい広い部屋だった。その中央に長方形の長いテーブルが置かれ、左右に椅子が並べられている。一番奥の短辺の部分には椅子は無かった。
左側には既に10人が横並びに座っていた。
私たちを見て一番奥にいたハールさんが立ち上がり、
「よく来てくれたなコトハ殿。ささ、座ってくれ」
と言って、向かいの席に通された。
私たちは近衛騎士の案内が来てから移動を始めたのだが、先に待たれていると少し申し訳なくもある。
一応私がハールさんの向かいに、1つずつ開けてカイトとポーラが座る。フェイとレビンが私たちの後ろに控えている。
「コトハ殿。今日は招待に応じてくれて、感謝する。食事の前に、紹介させてくれ。妻のリアムだ」
「初めまして、ハールが妻、リアムですわ。コトハさん、とお呼びしても?」
「ええ。えっと・・・」
「リアムでいいですわ。ハールから聞いておりましたが、可愛らしい御方ですわね」
そう言いながら反対側から近づいてくるリアムさん。
思わず身構えてしまうと、
「これ、リアム。先に紹介をさせてくれ」
「あら、そうでしたわね」
そう言って、微笑みながらハールさんに連れ戻されているが、止める気は無いのね・・・・・・
それからリアムさんの隣の男性から順に自己紹介をしてくれた。
「初めまして、クルセイル大公。国王ハールが長男、ベイル・フォン・カーラルドです。お見知りおきを。それから、紹介します。こちらが妻のジャーラ。長男のグリンに、長女のフレンです」
紹介された3人がそれぞれ会釈をしてくる。
次に、
「国王ハールが次男、ガイン・フォン・カーラルドです。妻のユーリンと、長男のドムソンです。次男もいるのですが、まだ2歳であり、本日は連れていません」
「国王ハールが三男、ダン・フォン・カーラルドといいます」
と、紹介された。
ここに、ガインさんの次男以外の王族が勢揃いした状態だ。
ポーラはいつも通りだが、カイトは少し固まっている。
・・・にしても多い。いや、新しく紹介されたのはたったの9人なんだが、どうも覚えられる気がしない。まだ、カタカナの名前を覚えるのには慣れないんだよね・・・
気を取り直して、
「私は、コトハ・フォン・マーシャグ・クルセイル。こっちがカイトで、奥がポーラ。血のつながりは無いけど、弟と妹です」
私が紹介すると、2人もしっかりお辞儀する。
互いの紹介が終わったところで、食事が運ばれてきた。
簡単なコース料理になっているようで、順に運ばれてくる。
早速カイトは、ベイルさんの長男グリン君と長女のフレンさんと話をしている。ベイルさんとジャーラさんはそれを促しつつ見守っている感じだ。
ガインさんとドムソン君、そしてダンさんは、何やら探るようにポーラに話しかけている。ポーラは、初対面でも話しかけられれば答える子なので、出てくる食事を堪能しながら答えている。
「どうやら、最初の一歩は上手くいったようだな」
ハールさんがそんな風に呟いている。
「そうだね。私としても、カイトたちが話せる相手が増えるのは嬉しいかな」
カイトとポーラは、グリン君、フレンちゃん、ドムソン君と話し始めている。どうやら、グリン君がかなり積極的に、フレンちゃんとドムソン君は緊張している様子だ。こっちは、カイトがおとなしめに、ポーラが積極的に話している。そんなわけで、グリン君とポーラが中心で話している感じだ。
「コトハ殿は、王城の中を見て回っていたと聞いたが?」
「ん? ああ、少しね。どっちかというと、図書館に行った感じかな」
「おお、図書館か。我が家にあったものに加えて、潰した貴族家から多くの本を集めてきたからな。まだあまり有効活用できてはいないのだが、よかったら役立ててくれ」
「うん」
♢ ♢ ♢
食事が一段落したところで、一度お開きとなる。
ただ、私とハールさん、ベイルさん、ガインさん、ダンさんは残っている。カイトたちはフェイと一緒に部屋に戻っており、私の後ろにはレビンが控えている。そういえば、レーベルはいつ帰って来るのだろうか。レーベルに限って心配は無いのだけど、調査とやらが長引いているとか・・・?
まあ、私が気にしても仕方がない。
食事をしていた部屋の隣にある、談話室のような部屋に移動して座る。向かいに男性4人は少し圧迫感があるが、これも仕方がない。
本当はカイトも連れて来ようと思ったのだが、あの場にいた子どもたちで盛り上がっていたので、そっちを優先させたのだ。男の子2人は、カイトがガッドにいた時に冒険者として活動していた話に興味を引かれたらしく、いろいろ聞いている感じだった。
フレンちゃんは、ポーラとなにやらドレスのことを話していた。ポーラが着ていたのはレビンお手製の最高品質のドレスなので、見劣りはしないと思っていたのだが、予想以上にフレンちゃんが食いついた感じだ。ポーラも私やキアラ以外の女子と話す機会は少ないので、楽しそうに話していた。
それぞれ紅茶が前に置かれたところでハールさんが話し出す。
「それで、コトハ殿。頼んだものは・・・」
「ああ、連れてくるようにいったけど・・・。レビン?」
「畏まりました」
レビンに合図を出すと、綺麗なお辞儀をして部屋から出て行くレビン。
少しして、マーカスが2体の騎士ゴーレムを連れて入ってきた。
「失礼いたします。コトハ様、ご命令通り連れて参りました」
「ありがと、マーカス」
「これが・・・」
興味津々といった様子で騎士ゴーレムを見る4人。その後ろでは、近衛騎士がいつでも飛び出せるように剣に手を掛けている。
ハールさんに頼まれていたのは、騎士ゴーレムを見せてほしいとのこと。国やアーマスさんたちに売るかどうかはともかく、実際に目で見たいとのことだったのだ。
・・・いや、売る気は無いんだけどね?
連れてきた騎士ゴーレムは大きな盾を左腕に融合したタイプが1体、ロングソードを携えたタイプが1体だ。騎士ゴーレムをこのように分けた理由はともかく、ハールさんたちに与えた衝撃は大きいようだ。
最初に口を開いたのはダンさんだった。
「クルセイル大公・・・。このゴーレムは、かなり強いですね・・・」
確信めいた言い方が少し気になった。
「分かるの?」
「はい。自分は、ゴタゴタが起こる前はラシアール王国の近衛でしたから。それなりに腕には自信があるんですよ。少なくとも、後ろにいる近衛と互角には戦える自負があります。ですが、このゴーレムは無理ですね・・・。特に盾を持ってる方。これを倒せる気がしないです・・・」
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