危険な森で目指せ快適異世界生活!

ハラーマル

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第6章:龍族の王女

第309話:騎士団長と副団長

「騎士の人数がキリのいい数ではないので、小隊、中隊ごとに多少人数のブレはありますが、騎士と騎士ゴーレム併せて、各中隊約100人になります。副団長ごとに、役割を与える予定です」
「役割?」
「はい。コトハ様、カイト様、ポーラ様、インディゴ様、つまりクルセイル大公家の皆さまやお屋敷の護衛が1つ、領都の警備が1つ、ケール砦が1つ、クライス砦が1つになります」
「・・・うちの警備と領都の警備って被らない?」
「いえ。大公家の護衛ですので。明確に分け、護衛に特化した部隊に編成し直します。護衛専用の命令式を検討中ですので、近々、護衛専門の騎士ゴーレムを作りたいと考えております。以前、コトハ様が騎士ゴーレムに着色をされていましたが、部隊ごとに騎士ゴーレム、騎士の装備品の色を分けることを、ドランド殿と考えております」
「護衛担当が黒みたいな?」
「はい。コトハ様の発案ですので、護衛部隊を黒にしようかと」

黒い騎士ゴーレムに守られているのは、なんかカッコいいからってだけだったけど・・・
まあ、いいか。

「レーノたちはどう? 今の話を聞いて、気になったところはある?」
「・・・・・・基本的には問題ないかと。騎士団がより強い組織になるでしょう。ですが1点。以前、騎士に階級制を導入する目的の1つに、褒賞的な面があると。そこはどうなるのでしょうか?」

レーノの疑問についてはアーロンが、

「お答えします。まず、騎士10級から1級、曹長から尉官、佐官、将官に上がること、それ自体が何よりも名誉なことだと考えております。曹長以上は当然、騎士1級として認められていることになりますので、先ずは騎士としての己の戦闘能力や基本的に指揮能力が認められ、その後他の部分でも認められる。その審査にあたっては、どのような功績を挙げたのかも加味される予定です。また当然、階級が上がるにつれて、給金も上げることを考えております」
「なるほど」
「追加でいいですか?」

アーロンの説明に一応納得した様子のレーノにヒロヤ君が言う。

「はい。ヒロヤ殿」
「功績って、その功績に見合うだけの能力を備えていることの証しにはなると思うんです。だから、功績を理由に昇格することもできる。後は、勲章を考えたらいいと思います」
「勲章、といいますと?」
「名前は・・・、覚えてないですけど、例えば、『勇敢な態度を示して、領民を救った』ことに対して、『勇敢賞』みたいな・・・・・・。すいません、名前は無視してもらって。そんな感じです」

うん、『勇敢賞』はね・・・。ちょっと・・・、いや結構ダサい。
なんか、日本の賞だと、凄い難しい漢字を織り交ぜた感じだったし、アメリカだと『シルバースター』とかだっけ?

「・・・確かに、名前は、その、難しいですが、良い案だと思います」

レーノが少し笑いを堪えた様子。
マーカスが、

「コトハ様のお名前をお借りし、『コトハ賞』というのは?」
「・・・ごめん、なんか嫌だ」

嫌です。それは、嫌です。断固、お断りです。

「そ、そうですか・・・」
「まあ、名前はともかく、勲章はありだよね」
「そうですね。最初は価値が分かりにくいですが、種類によっては滅多にでないようなものであれば。せっかくですから、今回、騎士団を再編するにあたり、これまでに大きな成果を上げた何人かに勲章を授与するのがよろしいかと」
「そうだね。カベアさんたちに手伝ってもらって、メダルみたいなもの作ろうか。後さ、領のために働いたってことなら、騎士団以外にも勲章は出せるよね。それこそ、騎士団の武具を作ってるドランドとか」
「はい。ドランド殿の功績は大きすぎます」
「うん。マーカスとレーノもね」
「えっ・・・」
「いや、2人がいなかったら、領の運営とか無理だったよ? 本当に感謝してるし・・・」
「コトハ様・・・」
「勿体ないお言葉です」

本当に。
2人がいなければ、いくらカイトの勧めはあったとしても領の運営なんてできたわけがない。


「じゃあ、褒美・・・、勲章はそんな感じで。これも、少し考えておいてくれる?
「「はい」」

これで一通りは終わったかな?」

「コトハ様。新たな制度については、以上になります。少尉と曹長に推薦する者は、現在最終の調整中になります。それと並行して、若い騎士を中心に、1級から10級の分類を進めております。本日は、騎士団長となる少佐1名、副団長となる中尉4名を推薦したく思います」
「おお。うん、お願い」
「はい。まず、少佐ですが、アーロンを推薦いたします」
「えっ? ・・・マーカスじゃないの?」
「はい。理由はいくつかありますが、まず統合的な部隊の指揮や戦術に関しては、私よりもアーロンの方が上です。また、現在の文官のトップはレーノ。その父親である私が、騎士団のトップにいることは望ましくないと思います」
「・・・・・・権力が集中するってこと?」
「私にも息子にも、下らぬ野心などありませんが、外から見たときにどう見えるかは分かりません。いらぬ火種を起こさぬためにも、ここでアーロンに役目を譲るのが安全だと思います」
「マーカス・・・」
「ははっ。ありがとうございます。まあ、引退するわけではありません。私は中尉として、クルセイル大公家の警護を担当する中隊を率いる予定ですので」
「レーノは・・・」
「・・・はい。騎士団のトップと文官のトップ、それが親子であることは、このポストを狙う者にはおもしろくないでしょう。父の判断を、尊重いたします」
「・・・・・・・・・分かった。じゃあ、アーロンが少佐で騎士団長ね。で、マーカスが中尉で警護を担当する中隊の中隊長」
「はい。残り3名ですが、ジョナス、バッシュ、そしてヒロヤ殿を推薦いたします」
「・・・え? いや、ごめん。ジョナスはうん。バッシュは経験豊富ってのは聞いてたけど・・・」
「バッシュ殿は経験豊富な騎士ですし、判断力や指揮能力にも優れています。前線で戦える時間は残り少ないと本人は言いますが、まだまだ現役です。うちの騎士団に少ない、経験を積んだベテラン騎士ですし、適しているのではないかと」
「分かった。・・・指南役は?」
「バッシュ殿は、領都警備、領都周辺での狩りに従事する中隊を任せる予定です。騎士団に入隊した準騎士や下位の級の騎士は、領都の訓練場で鍛えますので、指南役としての仕事も引き続き任せる予定です。私も共に」

マーカスとバッシュに鍛えられるのって・・・・・・
うん、訓練大変そう。

「それで、ヒロヤ君?」

そう言いながら彼の方を見ると、ガッチガチに緊張している・・・

「確かにヒロヤはまだ若いです。戦闘能力や部隊指揮は、当然1級の基準はクリアしていますが、実戦経験は少ない。ですが、彼の統率能力には目を引くものがあります。頭の回転も速く、いざという場面での決断力もあります。それに、彼を押す声は騎士に多いのです」
「慕われてるんだね」
「そんな・・・」
「ふふっ。マーカスたちがそう判断してて、ヒロヤ君が引き受けたのなら、私はいいと思うけど」

そう言いながらレーノにふると、

「はい。元々、最初は現在騎士団を纏めている父たちの意見を尊重するという方針でしたから。今後、制度を整えていく中で、審査会議を形作っていくことになりますが、現在は、私としては異論ございません。加えるなら、ヒロヤ殿とコトハ様は昔からのお知り合いのようですし、組織作りを進めていく中では、望ましいのではないかと」
「そうだね」

今度はヒロヤ君の方を向くと、

「水原先輩・・・いや、コトハ様」
「だから様は・・・」

後輩に様付けされるのは気持ち悪いので止めようとするが、彼の目を見てそれは止めた。

「コトハ様。俺は、コトハ様やカイト様方、騎士団、領のみんなを守りたい。妹やユイハを助けて受け入れてくれたこの領の人たちを。最初は、望んだことでは無いとはいえ、戦う力も身に付きました。だから、任せていただけるのなら、精一杯、尽くします」
「・・・・・・分かった。そこまで言われたら、お願いするしかないよね。・・・でも、公式の場っていうの? ちゃんとしなきゃいけないところ以外は、様付けは止めてね」
「はい!」

こうして、新制クルセイル大公領騎士団の騎士団長、副団長が決まった。
それから、諸々の準備が進められ、副団長補佐になる少尉8名、曹長43名が決まり、各騎士たちの階級審査が行われた。

また、文官組がこれまでの功績などを整理し、昔から騎士団に所属している人を中心に、勲章や褒賞を与える準備が整えられた。
今後は、騎士団は新たに策定された『騎士団階級基準』に則り、階級が与えられ役職が与えられることになる。

ちなみに、カイトも形式上は騎士団の所属になった。これは私がいない場合などに騎士団に命令できるようにというもので、階級は大佐。といっても、私が一時的に指揮する様に命じた場合、あるいは私と連絡が取れなくなった場合に限定されるのだけどね。
私もカイトも、特別扱いは不要だと言ったのだが、逆にカイトを『騎士団階級基準』に当てはめるのは難しいし、私がいない場合のバックアップは必要と諭されて、2人で渋々受け入れた。まあ普段は、他の騎士たちに混じって、いろいろ勉強しているんだけどね。

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