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第1章 凶歩大会編
1話 「勝手に恋していいですか?」
しおりを挟む時は2055年、かつて異世界から帰ってきたものにより伝えられた魔法や超能力により人類は進化を遂げたが、同時に世界に争いが広がってしまう。
そんな時「JKJ」と呼ばれる謎の軍団の極大魔法で日本の本州は海に沈んだと思われていたが、富山県は立山の山脈により何一つ被害がなかった。
この事にJKJは怒りを表し直接手を下すかのように富山県に乗り込んだのだ。
そして…富山県民とJKJの戦争が起きてしまった。これが後に「JKJ戦争」と呼ばれるようになる。
今、この戦争により幼い命が消えようとしていた。
「何で…どうして俺をかばったんだよ!」
傷だらけの少女、夜猫を黒髪の少年、夕凪が支えながら叫んだ。
「あ…あなたは…私にとってヒカリ…だから…」
夜猫は自身の痛みがなくなったことから最期を悟り、最後の言葉を残そうと必死に言葉を繋げる。
「そんな…俺はお前が大切だったのに…」
夕凪は夜猫を寝かせ、泣き出した。
「うれ…しい…でも…私のことは…忘れて…凪君は輝き続けて…ね…」
夜猫は最後に夕凪の頭に右手をおき、笑顔で息をひきとった。
「おい、しっかりしろよ…おい!……うわぁあぁあああああぁあ!!」
夕凪は夜猫を揺さぶったが反応はない…夕凪は泣き叫んだ。そして夕凪は何故か黒髪が全て赤髪になり、その場で気絶して倒れた。
この戦争から、世界はある程度平和になったが、夕凪は記憶を失ってしまった…
================
~5年後~
ジリリリリリリリリ
目覚まし時計が鳴り響く
バン
俺は目覚ましを止め、時間を確認し、顔を青ざめる。
時計の針は両方とも12を指していた。
「寝坊した!!」
俺はすぐに着替えて、外に飛び出した。
俺の名前は、笹原夕凪
富山県の県立ウェスト学院高等部の高校1年生。
好きなものは…と説明している場合じゃねぇ!
「いってきまーーす」
父も母も誰もいない家に向かって言うと、俺は走り出した。
俺の住む富山県のムーン村は5年前まで田舎であったため、周りには田んぼしかなかった。今では都市化したものの交通機関はまだ整っていない。次の電車まで1時間かかるほど電車のダイヤルは少なく、学園まで15キロ離れている。
まぁ午後の授業にも遅れるだろうと思うよな?
でもそれは違うんだなぁ…
俺は近くにある公衆電話の箱に入り、10円をいれ、「4」と「3」をリズミカルに押すと…
公衆電話の箱の中から俺は消えた。
これはマジックとかじゃなくて、12年前、富山県知事が作った「転移ボックス」で、携帯電話の普及と共に使われなくなった公衆電話ボックスを改良してできた理屈とかよくわからんがすごいものだ。
え?結局どこに行ったかって?
学校の近くの電話ボックスに決まってるとか思っている奴もいるだろうが、それは違うんだなぁ…
俺は移動した電話ボックスを出てゲーセンに入る。
昼休みの間は遊び放題だからな!ゲーセンに行って遊ぶにきまってるだろ?
俺は意気揚々と入口の近くにあるアーケードゲームのコイン口に100円を入れようとした時…
「よぉ…夕凪ィ…」
「奴」は俺の腕を押さえた。
「こ、こんにちはぁ…」
俺は申し訳なさそうに「奴」こと担任の大石先生に挨拶をしたが…
「お前と言う奴ワァァァ!こん…だらァァァァ!」
挨拶のお返しとして鉄拳制裁が下された。
大石の拳の痛さは放課後に先生に呼び出されるまで痛みは引かなかった。
まぁ反省はしているが、後悔は全くしてない
============
結局、大石に今後寄り道しないように行動を制限する魔法、というか呪いをゲーセンの前でかけられ、仕方なく学校の近くの電話ボックスまで飛んだ。
ため息をつきながら生徒玄関へ向かった。あぁだりぃ…
靴を履き替え教室に着くと、いつもの面子が俺に話しかけてくる。
「おう!今日は見つかっちまったみたいだな!」
明るく話しかけてくるのは、クラスメイトの千田将太だ。
数少ない中等部の時からの知り合いのため、放課後は一緒に遊びにいくことが多い。
多少うるさいがいい奴だ。
「まぁ委員長辺りが先生にチクったんだろーな。」
だるそうに話しかけてくるのは、隣の席の栗林覇孤だ。高等部からの知り合いだが、俺と気が合うのですぐに仲良くなれた。
見た目はメガネをかけていることから秀才の雰囲気を醸し出しているが、アホである。
今日は座学の授業しかないためかお疲れのようだ
「昨日の昼休みは3人でゲーセン行ったからなぁ、委員長は察し良いし見張ってたのかもN」
栗林が言い切る前に女子が栗林を小突いた。
「失礼ね!何も先生には言ってないわよ!そんなことより、笹原!また遅刻ね!これで7回目よ!留年したいのかしら?」
彼女の名前は委員長縁
名字が委員長だからなのか、くそ真面目である。
数少ない中等部からの知り合いなのだが、俺とはあまり仲良くない。
校則を破るものには容赦がないので有名なのだが、なぜか学級委員長ではないためすごくややこしい。まぁ問題児の俺とは関わることが多い。
「うるせーなぁ。俺は今、大石に殴られて痛いんだから少し抑えてはなしてくれよな。」
俺はいまだに痛い側頭部を押さえて言う。
「ご、ごめんなさい…」
何故か委員長は謝りながら顔を背き、顔を赤くした。なぜ顔を背ける?
「あ、あと、先生が放課後、職員室に行けって言ってたから…」
顔を背けたまま伝言を伝えてその場から委員長は去った。
「何で委員長、途中謝ったんだ?」
俺は2人に聞くと、千田が俺のズボンを見てから笑って言った。
「ハハハ!お前、ズボンのチャック開けっ放しになってるぜ!」
「おい、それを早く言えよ…」
俺はすぐに閉めた。
=================
~放課後~
「夕凪!!お前というやつはいつも遅刻して!!次遅刻すると、本当にお前留年だからな!分かってるのか!」
俺はいつものごとく、放課後に職員室で担任の大石に怒られていた。
「すいませんでした。」
いつものごとく、俺も棒読みで謝る。
「またお前…空返事をやめろと言っているだろ!」
間違えた。更に怒らせてしまった。
「お前は少し妹を見習え!成績優秀、スポーツ万能、中等部の生徒会長にもなってるのにお前は…」
大石が再び拳を強く握ったその時、
「大石先生、質問があるんですけど…」
同じクラスの女子、兎野原周南が割り込んできた。
「今忙しい、後にしてくれ」
大石はまだ怒りが収まっていないようだ…
「いや、この作業は今日までなので早急に片付けたいのですが…」
兎野原は何故か負けじと半ば強引にプリントを渡した。大石は苛立ちながらプリントに素早く目を通すと怒りで真っ赤な顔が急に青くなった。
「ま、魔法学か…し、仕方ないな…」
大石はそう呟くと俺に向かって一言、
「次はないからな」
と言い残し兎野原と共に去っていく…………
『助かったー、兎野原、ありがとう。』
心のなかで兎野原に感謝した。
職員室を出て、なんも入ってないに等しい鞄を持ち一人で帰宅する。
こんな毎日を暮らしている俺だが、公衆電話ボックスに向かうまで3キロの間、昼に寄り道しないように大石に呪術をかけられたので、寄り道できないし暇なので、俺が帰る前にこの世界について皆に説明しよう。
-----------------------------------------
この世界、いや、この富山県は魔法が普通に使われている。今から40年前に異世界から富山県に帰ってきた日本人によって「魔法」、「錬金術」、「超能力」など、未知なものが富山県に伝わり、今では世界で当たり前のように使われている。その影響もあって、大学受験にも「魔法」という分野が追加された。そして、今では「魔法学」を小学生の頃から義務教育になっていた。
-----------------------------------------
さっきいた兎野原は小学校の頃から同じ学校にいたらしい。俺はとある事情で記憶を失っているので全く覚えてないが、昔はよく妹と共に遊んでいたと両親から聞いた。
と言っている間に公衆電話ボックスについたようだ。
いつものように俺は家の近くのボックスに移動しようとボタンを押すと、受話器から着信音らしき音が鳴り響く。え、公衆電話に着信とか出来るのか?
俺は不気味な現象に驚いた(決してビビってなんかいねぇぞ)が、受話器を手にとり、耳に当てると
「あなたに勝手に恋していいですか?」
と声が聞こえた。え、ドユこと?
突然の告白に俺の鼓動は速くなった。
今までモテることがなかった俺がこ、告白されるなんて…
しかし、なぜ公衆電話に電話が届くのか俺は怖くもなった。
二重の意味で緊張していた俺は、震えた手で受話器を少しずつ耳から離し、
「ま、間違い電話ですよ!」
と震えた声で言い、怖くなって受話器をすぐに置き、その場を去った…
その後、ダッシュで15キロを完走した。超疲れた。
でも、その時の告白の声は心から願うようだった。本気だった。
声質から恐らく兎野原だと思うが…
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
~次の日、俺の部屋にて~
「ってこんなことがあってよお」
俺は昨日の出来事を千田と栗林に言うと、
栗林は羨ましそうに
「いーなー、告白されて!いーなー」
と言い、千田は、
「公衆電話だし間違い電話ということもないよな…それは怖いな」
「だろ!そうだろ!」
俺は千田に共感したあと、少し間をおいて
「この事、一度兎野原に聞いてみるべきだよね?」
と言うと、二人は即答で
『やめとけ、やめとけ』
と言った。
「もし兎野原がかけていたことがあっていても、間違っていてもお前か兎野原かどちらかが傷つくかもしれんし、放置が一番だろ」
千田にもっともなことを言ったので、この件は放置することにした。
栗林は
「あんな美人に好きなんて言われたらこっちから告白するけどな。」
と羨ましそうに俺をみて呟いた。
================================
富山県立ウェスト学園
小中高一貫校で建てられてわずか10年の新設校である。
学力、部活共に最高峰の自称進学校レベルという中の上くらいの生徒が集まる中途半端学園。
だが、兎野原周南という文武共に最強の生徒のお陰で世界規模で注目されている学園となった。それ故に問題も多い。
そんな学園で出会った最強の残念少女と、普通のビビりな少年の激動の恋愛が繰り広げられるとは、まだ誰も知らない。
これは、バトルと青春が組み合わさった超次元青春恋愛物語である。
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