あなたに告白してもいいですか?

笹タクタク

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第1章 凶歩大会編

3話「バトってもいいですか?」

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 富山県立ウェスト学院
 5月の始めには、年に4回ある凶歩大会きょうほたいかいがある。
 かつては、恐ろしい名前とは異なり、友達と長い距離を歩くだけのピクニックのようなものだったが、現生徒会、通称『鎖と剣ソラフル』によって、今年から変革が起きようとしていた。

================

 <お久しぶりです。兎野原周南様に仕えるメイド、波霧亜水です。
 4月も終わりに近づいてきましたが、皆様はお元気でしょうか?
 私は元気ですが、周南様は『鎖と剣ソラフル』の仕事で大変忙しい為か、それとも最近夕凪さんに全く関わってないためか、ひどく落ち込んでおられますが大丈夫なのでしょうか?私はまだ未熟なのでどのようにケアをすれば良いか教えてもらえると有難いです。>
「よしっ、通達完了っと」
 あ、皆様はじめまして。波霧亜水なみきりあすいと申します。
 先ほど申した通り私は周南様に使えるメイドで、ウェスト学院の後頭部…じゃなく高等部1年生です。以後よろしくお願いします。
 私はノートパソコンに打ち込んだメールを『守護委員会メイドギルド』に送りました。
 最近、あまり夕凪さんと周南様の絡み(まぁ周南様が一方的に行動してるだけですが)が無さすぎる為、あまり報告が無く通達しなかったのですが、メイド長のク○BBAにボ○…
 おっと、失礼しました。
 ク○メイド長に怒られてしまいましたので、適当にメールを送っていました。
 現在、午前3時を回ってしまいました。
 また不眠確定です。
(チッ、あのク○BBA…調子に乗りやがって…)

 そして、私は勢いよくカ□リーメイトを噛み砕いた。



 ~後日~

 『鎖と剣ソラフル』の凶歩大会についての最終会議が行われた。テーブルを囲うようにして8人の生徒会委員は、テーブルにおかれた資料を見ながら沈黙していたが、その中の一人の少女が首をかしげて口を開いた。

「本当にこれでよいのか?」

「あぁ、いいだろ兎野原?」

 メガネをかけた背の高い男子が即答し、周南に聞いた。

「いいよーべつにー」

 周南は、気だるそうに答えた。
 すると、大男は机を一部分を綺麗に削り取るように叩き壊し、怒りながら周南に、

「あ?兎野原ぁ?いい加減な受け答えすんじゃねぇよぉ?」

 と言ったが、ゆるゆるなおっとり系の女子が

「まぁまぁ落ち着きましょうよぉ」

 とゆったりと言うと、

「チッ?」

 大男はドカッとその場で座り込んだ。

「反対意見がないならこの案にするけどいいかな?」

 と、先程のメガネが言うと、皆が頷いたので、メガネは「新編 凶歩大会」に
承認の判を押した。

 そして、運命を分ける第87回凶歩大会が幕を開けてしまうのであった…



 そして、5月1日

 学園の新生活が少しずつ慣れ始めた頃、凶歩大会が開かれた。俺、笹原夕凪はなんやかんやあって今回初めて参加することになっている。友人の栗林と千田に内容を聞いたところ、ただ歩くだけのピクニックだと言うことが分かったのだが、こんなことして何が面白いのだろうか?いろいろ疑問が残るが、とりあえず運動着に着替えて学校に向かった。

◇◇◇

 学校に着くと、すでにほとんどの生徒がグラウンドに集合していた。俺はグラウンドに着くなりにやっぱり絡まれた。

「遅いじゃない!いつもだけど!」

 いつも通り絡んで来るのは同じクラスの幼なじみ、鶏塚綾香とりつかあやかだ。
 綾香はクラス委員長であり、俺の遅刻の尻拭いをいつもしてくれる。まぁありがたいが、少しめんどくさい子だ。

「……ちょっとあんた、今めんどくさいって思ったよね?よね!?」

 こういう勘の良いところがさらに面倒臭さを強めてる。

「てか、何で俺ばっかに構うんだよお前は?」

 すると綾香は急に顔を赤くして

「ど、どうでもいいでしょ!このバカ!」

 と言い、どっかに走り去っていった。

「ハァ…めんどくせぇなぁ。学校はよぉ」

 俺は雲ひとつない空に向かってため息を吐いた。

 ◇◇◇

 俺がグラウンドに着いてわずか10分で開会式が始まった。
 まあどうせ学園長の長ったるい話を聞き、めんどくさいピクニックが始まるんやろなぁと誰もが思っていたが、いつも行事には必ず参加する学園長の姿はグラウンドにいなかった。
 また、他の先生すらいなかったので周囲はざわつき始める。
 しかし『鎖と剣ソラフル』のメガネが、持っていたマイクのハウンド音を使い、周囲を強制的に黙らせた。

「あー、今から行われる凶歩大会を行います。主催の浅見星空あさみせいくうです。皆さんには今回から脱落式マラソンをしてもらいます。」

 グラウンドにいる生徒全員が再びざわめき始めた。一部では「帰れ」コールも始まって、場はカオスと化した。が、浅見はそれを気にせず、話を少し大きな声で続ける。

「男女各々一位の方には好きな方と二人演習ダブドリができます。」

 と、言ったとたん歓声があがった。
 皆が盛り上がっている中、構わずに浅見は続けた。

「皆さん頑張ってください。マップとルールはは皆さんのスマホにデータを送りましたので読んでください。以上、行ってらっしゃい」

 言い終わると、グラウンドから一瞬にして浅見以外全員が消えた。
 浅見はニチャリとした気持ち悪い笑みを浮かべ、とある場所へゆっくりと向かった。

◇◇◇◇◇

 グラウンドから急に高野のような場所に俺達は飛ばされていた。
 ルールを知っているであろう生徒会の『鎖と剣ソラフル』が、急に全速力でこの場所から平地へ駆け降りたので、それにつられるように俺たちも走り出した。その時、先頭集団の中でなにやら言い合いしている人たちがいた。



 ~一方その頃、先頭集団~

 私、亜水は今、周南様と鶏塚さんとの会話を間近で聞いていた。

「あんた、夕凪と二人演習ダブる気け?」

 鶏塚さんは怒りながら言うと、

「これだから、勘のいいガキは嫌いだよ!」

 周南様もお怒りの様子で走りながら鶏塚さんの胸ぐらを掴んだ。
 鶏塚さんは周南様の胸ぐらをつかみ、

「あんたに夕凪は渡さん!このペチャパイがぁ!」

「なんやとぉ!?」

 二人は走るのを止め、

「「決闘デュエル!!」」

 と叫び、殴り合いのけんかを始める。
 私は呆れながら立ち止まり小さく呟いた。

「これはマラソン大会だというのに…このあほんだらぁ…」

 私は先に行くと小さな声でいい、この場から駆け出した。

 何故かこの時、私の頬に冷や汗が垂れた。
 この後、残酷な争いが始まると知らずに…



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