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だからお茶会は嫌だった⑶
しおりを挟む「殿下ここにおられましたか。探しましたぞ。」
そこへ、いかにも貴族で領民の金を悪用していそうな風格の男が話しかけて来る。そのぽってりお腹に、沙漠化した頭、全部の指に着けられたセンスのない指輪たち。一目で成金貴族だと言うことは分かる。
「何の用だ。俺は今、友達との会話に忙しいのだが。」
「友達?それは是非我が息子となって頂きたい。やっと殿下に我が息子を紹介することが出来ますな。」
「いや、俺は頼んでいないのだが…その息子とやらにはもう会ったこともある。それで十分ではないか。」
「しかし、本日は殿下と是非親交を深めてもらおうと…」
欲望を隠しもしない…と言うか自分の欲望を当たり前だと、恥ずべきことだとは一ミリも思っていないような口ぶりに驚く。
本日は親交を深めてもらおうとってことは主催者か。
「それにその殿下のお友達とやらはどなたなのでしょうか。立場的にも我が息子以上の適任者はいないと思いますが。」
そう言いながらチラリをこちらへ不躾な視線を送ってくる中年オヤジに挨拶をする。
「お初にお目に掛かります。サムソン家が嫡男、サムソン=シガンと申します。以後お見知りおきを。」
「さ、サムソン公爵家!招待状を送りはしたが本当に来るとは…あ、あぁ初めまして。本日はお越しくださりありがとう。是非楽しんで行ってくれ。」
いや、ボソッと言ったつもりかもしれないけど、全部聞こえてるから!
「父上!俺にも殿下への挨拶を…」
引きつった表情でそう言ってきたチュリア公爵家当主の後ろからご当主をそのまま小さくしたような見た目の子どもが顔をだす。
そして、その視線を俺に向けたまま固まって数秒。
「あ、貴方のお名前を聞いてもよろしいでしょうか?よろしければ、是非私とお話を…」
左胸に右手を添えながら、左手をこちらへ差し出して、そう言ってくる。これは女性に対して話やダンスを申し込むと気にする動作。つまりこいつは俺のことを女の子だと勘違いしたということだ。
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