【完結】総受け主人公のはずの推しに外堀を埋められた!?

抹茶らて

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俺の思い人は無自覚たらし

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初めて剣術の時間。

いくら護衛と言えども授業を一緒に受けるってどういうことか。しかも、各家の護衛騎士を競わせて家格を表そうなどと、そんなくだらないもののためにベルを出すなんてもってのほかだ。だから、

「先生、我がサムソン公爵家はこのような模擬戦ごときで護衛騎士の実力を見せるわけにはいきません。」

大切な人を少しでも危険な目に合わせないようにしたい。だから、誰に何を言われてもいい。

「ふん、天下のサムソン家は逃げるのか。天下と言えどもそこまででもないんだな。」

そう思って直談判したのに、こんな低レベルの煽りに子の無自覚護衛は…

「シガン様、従者の私を気にかけて頂きありがとうございます。しかし、私はサムソン家の護衛騎士です。誰が相手でもシガン様の護衛を怠ることはございませんので…どうか、この愚かな護衛に模擬戦をする資格をいただけませんでしょうか。」

なんて、何を思ったのかこれでもかと言うほどに遜るし。
そのベルの言葉を聞い周りのクラスメイト達が

「なんだ、護衛を心配してたんだ。」

「従者をわざわざ気遣うってやっぱり高位は違うのかな。」

そう騒ぐのを見て、目の前の護衛は若干のしたり顔をしてるし。そうじゃない、俺が望んでいるのはベルに危険が及ばないことなのに…俺に対する、公爵家に対する印象なんてどうでもいいのに。

本当は分かっている、護衛騎士のベルを危険から遠ざけることなんて困難なこと。それでも俺の気持ちの整理がつかないからもがいているだけ。

「……分かった。ケガしないように。絶対。」

やっぱりベルは俺のより年上で、俺よりも色んなことを見て考えて行動して…俺なんて自分のことしか頭にない、まだまだガキなんだと自覚せざるを得ない。

その悔しさが前面に出てしまった態度で答えちゃったのに…

「(ふふ、そんなこと言われたら意地でもケガ出来ないじゃん)御意に。」

この護衛と言ったら、何故かポーカーフェイスを崩してフッと微笑んでキレイにお辞儀をした。
ただでさえキレイな顔なのに、微笑んだら……なんてこった。この無自覚な思い人どうにかしないと貞操が危ない。

案の定、周りを見渡すとベルに釘付けの子達ばかり。あの殿下もボーっとベルから視線を逸らさない。
まだ始まって数日の学園生活の先行きが不穏だ。







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