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第1章
お姫様抱っこ
しおりを挟む「ロイさんや、私自分で歩けるから下ろしてほしいな~なんて。」
「あぁ?」
「あ、嘘です。すいません。で、でもなんかこの体勢恥ずかしいの!」
「別に怒ってない。お前が無茶するのはいつものことだしな。だから、今は休んでいろ。恥ずかしかったら顔でも隠してたらいい。」
呆れたような、それでいてどこか甘いロイの顔に何故かどぎまぎする。
とりあえず顔を隠すためロイの首に手を回し、首元に顔を埋める。
「涎とか付いちゃったらごめんね。」
「はぁ?ふざけるな。なんで涎が付くんだよ。口閉めとけ、口!」
そう言いながら、揺らさないように歩いてくれている様子にロイの気遣いを感じる。
コンコンッ
「失礼する。」
相手の返答待たずに入っちゃうタイプなのね、ロイ。
「おい、ノックするなら返事待てや。」
この柄の悪そうなのは魔術師団救護隊隊長のハルトだ。言わずもがな私たちの同級生。緑の髪と瞳をしており、いかにも治癒が得意そうな爽やかイケメンだ。
性格は見た目とは裏腹に、口が悪く全体的に柄が悪い。これがギャップ萌えとかいうやつか?全然なんとも思わないが。
「あ?ナーシィじゃねえか。今日は何やらかしたんだ?」
「何もやらかしてないかな。」
「こいつ媚薬呑んだ。」
「ちょいちょいちょいちょーい!ロイさんや、なんで馬鹿正直に言っちゃうかな。」
「あぁ?お前は何堂々と嘘つこうとしてんだバカ。」
「いっっっっった!なにすんのさ!」
「でこピンだ、バカ。見てやるからちょっとこっち来い。」
憎まれ口叩きながらもちゃんと見てくれるんだね。でこピンは愛のムチだと思っておこう。
「おい、ロイ。早くそいつを下ろせ。見れないだろうが。」
「いやだ。」
ロイは一言そう返すとギュッと私に抱き着きなおした。
え、なにそれ。可愛いかよ。
大の男がやだ、とか破壊力がすごい。
「はぁ~お前は。…ナーシィ、ちょっと手出せ。」
一向に動かないロイにしびれを切らしたハルトは私が差し出した手に自分の手を重ねる。
「はぁ?お前、本当に媚薬飲んだのか?全然状態異常かかってねぇぞ。相変わらず、治癒士いらずだな。」
「ンフフ、もっと褒めてもいいんだよ?」
「誰も褒めてねぇわ。おら、健常者はとっとと出ろ。」
私が病人じゃないと分かったとたん、医務室から追い出される。もちろんロイと一緒に。
「ロイ、離して。ロイさーん、ロイ様、ロイ殿、ロイロイ。」
「もう、無茶すんなよ。俺もいるだろう。」
やっと腕を離してくれたと思ったら、真剣な顔で見つめられた。
「今回のは無茶じゃないよ。私に効かないことは分かってたし。でも、そのお願いは聞けないな。心配してくれることは嬉しいよ?でも、私達の仕事は殿下を含めた王家を守ること。そのためなら、何でもするよ。」
「そ、れはそうだが。」
「うん、分かってる。死にはしないから大丈夫。それだけは約束する。」
「あぁ、絶対だ。」チュッ
おでこに柔らかい感触と同時に近づいていたロイが遠ざかるのが見える。
え、今、え?キス?なんで?
「え、キス?…~~っなんで!!」
「ケガしないようにおまじないだ。」
「え、そうなの?ありがとう。」(バカなんです)
ロイめ、おまじないなんて信じるやつだったっけ?
でも、それだけ私のことを案じてくれてるのだと思うと心がポカポカ?ほわほわ?する。
でも、なんかおでこに残る感触を思い出すと心なしか顔に熱が集まってくる、気がする…
気のせいか。
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