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いつも通り
しおりを挟む「…と、えい…!おき…起きろっ!」
「ひゃいっ!」
何事っ!いきなり聞こえた耳元での大声にただ事ではないと飛び起きる。バッと周囲を見渡すとこちらを見ている尊や徹の顔が…
「え、え?なに?ここどこ?」
「ここは保健室!そんで栄人は体育館倉庫に閉じ込められてて、風紀委員長がここまで運んでくれたんだよ。そんでもって体育祭はもう終わっちゃった。」
尊が簡潔にかつ分かりやすく教えてくれたおかげで、なんとなく思い出した。ん?そういえば、俺一回起きたよな?それで確か、輝樹先輩がいて………
ボンッ
「うわぁ!何?なんで栄人の顔爆発してんの!?」
「何もないです…」
思い出して恥ずかしくなって、両手で顔を隠す。うわぁぁぁ、俺輝樹先輩の前であんな醜態を…次どんな顔して会えば…
「だ、大丈夫か?」
耳が垂れた幻覚が見えるのは俺だけだと思うが、シュンとした様子で心配そうにこちらを見る徹。ごめん、色んな意味で大丈夫じゃない…
「大丈夫だ、ちょっとしたら治まるから……」
それから二人と寮へ帰る。心配だからと二人の部屋へお泊りすることになった。
二人とも心配し過ぎだと思うけど、お言葉に甘えておく。
そうして、1日がとても長く感じた体育祭は幕を閉じた。
徹がお風呂に入っているとき……
「栄人~本当に何もされてない?胸とか尻とか触られてない?あ、み、耳舐められたり!?」
あ、圧!圧が凄い!
「だ、大丈夫だ…どこも触られてないし、舐められてもない。ただ閉じ込められてだけだ。」
閉じ込めた犯人には…ね……
「じゃあ、なんでそんなに可愛い顔するんだよ~絶対何かされたんじゃん!」
尊の鋭い勘にギクリとするが、言わなければ分からないんだからここは突き通すのみ。
「俺は可愛くない!それに本当に何もされてないから。」
ってか、近い!尊は変態かもしれないけど顔だけは良いから、なんかドキドキする。
急に真顔になってジッとこちらを見るから、目が合わせれない。これなんの時間?
ゴンっ
「ッ!~~~~~~っいっったーい!!え、俺の頭ある?ねぇ、割れてない?大丈夫?脳みそ壊れた、これ絶対壊れたよ!?」
「うるせぇ、壊れてねぇわ。お前が無意味に栄人に迫るからだろう。」
徹の正義の鉄槌が尊の頭頂部を直撃。何とか変な雰囲気から脱出できたから、徹に感謝だな。
「無意味ってなにさ!徹の気になるだろ?本当に何もなかったのか!」
「そうだが、お前が迫ってどうすんだ。」
「……ごもっともです。すいません…」
即論破され、静かになる。
「っふ、ふふふ…あっはははは!」
「栄人!?どうしよう徹。栄人が壊れちゃった…」
「壊れてねぇわ!」
ゴンっ
「ふふ、ありがとうな。二人とも。」
あくまでいつも通りな二人に心の中でちゃんと感謝する。
「ねぇ、俺なんで叩かれたの?俺の頭流行ってる感じ?と言うかこれっていじめって言うんじゃ……ねぇ、聞いてる!?」
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