神さまのレシピ

yoyo

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熱⑵

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   夕方、夜勤の時間に合わせてナースステーションに入ると、日勤だった看護師がいつもより慌ただしく動き回っていた。近くにいた先輩看護師に声をかけると颯がインフルエンザに罹っているのがわかり、院内感染を防ぐべく他の患者の状態チェックをして回っているとのことだった。
   今日一緒に夜勤に入る朝也も出勤してきて申し送りを行い、颯は熱は高いが状態は安定しているようだが、他の患者への感染を防ぐために個室に移り半隔離状態だった。とりあえず、病棟内の他の患者には感染者はいなく、颯がどこで感染したのか疑問だったが、年末年始は外泊する患者やお見舞いに来る人も増えるため、人の流れが多くなることで感染してしまったのではないかと結論づけられた。
   申し送り後の雑務が終わり、颯の部屋を覗くと、扉を開けた音で起こしてしまったのか目を開けた颯と目が合い、熱のため少し潤んだ瞳を湖城に向けていた。

「ごめん……起こしちゃった?体調はどう?」

「湖城さん……解熱剤が効いたみたいで、さっきより楽になりました」

   そうは言っても、颯の額に手を置くとまだまだ熱い。


「水、飲む?」

「ん、大丈夫……飲み込む時、めっちゃ喉痛いから……」

「それでも、気持ち悪くないなら、水分は摂るようにしないとダメだよ」と声をかけて、少し強引に颯の背中に手を入れて体を起こし、水の入っているコップを口元にあてがう。少しコクっと喉が鳴ると「……った」と呟き、それ以上の水分は拒否された。点滴もしているので、脱水症状になることはないと思い、それ以上は無理強いせず、またゆっくりとベットに寝かせる。

   颯にはもう大丈夫と言われたけど、心配でずっと付き添っていたい情動にかられるが、勤務中でありそんなことできないことは湖城自身よくわかっており、後ろ髪を引かれれる思い出病室を後にした。仕事の合間、合間に颯の病室に様子を見に行ったけど、颯が言っていた通り薬はよく効いているようで、熱はあるが苦しむことなく、安定した寝息をたてていた。
   消灯時間も過ぎ、やるべき仕事も大方片付き、ほっと一息つくと後ろから声がかかった。


「郁島くんのこと気になってるんだろ。今日はみんな落ち着いてそうだし、彼のところに行ってきもいいよ。何かあったらピッチで呼ぶから」

「えっ?」

「お前、ソワソワとずっと鳴ってないのにナースコール気にしてるし。仕事の合間にもちょくちょく様子見に行ってるよな」

   朝也に全て見透かされていたようで恥ずかしくなるが、好意は素直に受け取って礼を言ってナースステーションを後にした。
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