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昔の話⑹
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「んっ……」
目の前にある天井も部屋も見覚えがなく、ガバッと体を起こすと頭がグラっとする。
「った……ここ……どこ?」
オレは、ソファーに横になっていたようだ。8畳ほどの部屋には机とオレが今横になっていたソファーと、あとは本棚や段ボールなどがあり、どこかの休憩室のような場所のようだった。大人っぽいお洒落なバーに来たことは覚えていたけど、どうして今ここにいるのかは全く、わからなかった。そもそもお酒だって、飲んでなかったはずなのに……
ぐるぐる考えていると、ドアが開いて1人の見覚えのある男の人が入ってきた。
「お、目、覚めたか?具合悪くないか?」
「えっ……なんで……ここに?えっと……泰輔の……お兄さん?」
部屋に入っってきたのは泰輔の兄の佑輔さんだった。手に持っていた水のペットボトルを手渡される。佑輔さんはここのバーでバイトをしているらしい。
「お前、泰輔の友達だったよな。確か……」
「あ、奥田です。奥田春人」
「あー、そうそう。奥田くん。奥田くんってさ、もしかしてって思ってたけど、オレと同じ?オレのことは泰輔から聞いてるでしょ」
「えっ?あー、まぁ……はい……」
1回しか会ったことない人に気づかれるなんて……今日記憶がない時に、何かマズイ行動をしてしまったのだろうか……
余程、困惑した顔をしていたのか佑輔さんに笑われる。
「オレさ~なんか知んないけど、わかっちゃうんだよね~。百発百中って訳じゃないけど、9割は当ててるかなぁ」
「はあ……」
やや間の抜けた返事をしていると、佑輔さんは真面目な顔になって話を続ける。
「それはそうと、付き合う人は選んだ方がいいよ。今日だって、どこに連れられたか……」
「え?それって、どういう……なんで俺、ここで寝てたんですかね?一緒にいた人は……」
「何も覚えてない?はぁ……お前はお酒飲まされて、連れて行かれそうになってた」
「お酒……は飲んでないですけど……一応……未成年ですし……飲んでたのは……ジンジャエール……です」
「だからっ、ジンジャエールにお酒が入ってたってこと。騙されて飲まされたんだよ。たぶん、ホテルとかに連れ込まれて、お前今頃やられちゃってたよ」
そんなことが現実に起こるのだろうか……まるでドラマのようだ。ましてオレは女の子じゃないのに。
「信じられないって顔だな。男でもあるんだよ」
「あの、えっと、ありがとうございました。助けてくれて……」
「なーんか、危機感ないね」
そんなこと言われても、怖い目にあった訳でもないし、お酒は飲まされたかもしれないけど、楽しく喋って寝てしまった。そんな感じだった。それに仮にそうなっても、逃げられるんじゃないかとも思う。
そんなことをボンヤリ考えてると、徐に佑輔さんが近づいてきて、一瞬、身体への衝撃があったかと思ったら、気づいたらソファーに押し倒されて、馬乗りにされている。抵抗しようと手を伸ばすが、すかさず両手を押さえ込まれて、身動きが出来ない状態になった。至近距離から見つめられて、一瞬ドキリとする。
そして耳元で「こんなに簡単に押し倒されちゃうよ。自分は男だから、振り払えると思った?」そう囁かれると、ペロッと俺の耳を舐める。
「やめっ……んぐっ」
手で口を塞がれる。
「声出しても、もうだ誰もいないけど、夜中だからね」
えっ……と、これは、どういう状況……
佑輔さんは、やばい人から助けてくれたんじゃなかったの……?
ってか、全然振りほどけない……
これって、マズくない?俺、佑輔さんにやられちゃうの……?
急に、フッと口と体が軽くなる。俺の上に乗っかっていた佑輔さんが離れ、そっちを見るとニヤニヤと笑っている。
「あはっ。そんな顔するなよ。ジョーダンだよ」
「え……」
「お前、自分ならなんとかなるとか思ってただろ。どうだ、実際押し倒された気分は」
自分の気持ちを見透かされたみたいで、何も言えなかった。
でも、こんな騙し討ちするような真似しなくても……まぁ、そんなことは言えないけど……
「睨むなよ。悪かったって」
「じゃあ、お詫びに、来週ここでイベントがあるんだ。俺らのような性的マイノリティが集まるイベントで完全な紹介制だから、変な奴も来ないと思うし、それに招待するよ。あんな奴に捕まってるってことは、出会いを求めてるんだろ?」
「や……そんなことは……」
「あ、でもオレがさっきの続きしてもいいけど?」
「へ……は?何言って……」
「えーオレは、全然アリだけどね~。でもまあ、来週のイベントはおいでよ。俺の友達も来るし。好みの人とかいたら、紹介するよ」
これをきっかけに佑輔さんとは仲良くもなったけど、からかわれるようにもなった。
目の前にある天井も部屋も見覚えがなく、ガバッと体を起こすと頭がグラっとする。
「った……ここ……どこ?」
オレは、ソファーに横になっていたようだ。8畳ほどの部屋には机とオレが今横になっていたソファーと、あとは本棚や段ボールなどがあり、どこかの休憩室のような場所のようだった。大人っぽいお洒落なバーに来たことは覚えていたけど、どうして今ここにいるのかは全く、わからなかった。そもそもお酒だって、飲んでなかったはずなのに……
ぐるぐる考えていると、ドアが開いて1人の見覚えのある男の人が入ってきた。
「お、目、覚めたか?具合悪くないか?」
「えっ……なんで……ここに?えっと……泰輔の……お兄さん?」
部屋に入っってきたのは泰輔の兄の佑輔さんだった。手に持っていた水のペットボトルを手渡される。佑輔さんはここのバーでバイトをしているらしい。
「お前、泰輔の友達だったよな。確か……」
「あ、奥田です。奥田春人」
「あー、そうそう。奥田くん。奥田くんってさ、もしかしてって思ってたけど、オレと同じ?オレのことは泰輔から聞いてるでしょ」
「えっ?あー、まぁ……はい……」
1回しか会ったことない人に気づかれるなんて……今日記憶がない時に、何かマズイ行動をしてしまったのだろうか……
余程、困惑した顔をしていたのか佑輔さんに笑われる。
「オレさ~なんか知んないけど、わかっちゃうんだよね~。百発百中って訳じゃないけど、9割は当ててるかなぁ」
「はあ……」
やや間の抜けた返事をしていると、佑輔さんは真面目な顔になって話を続ける。
「それはそうと、付き合う人は選んだ方がいいよ。今日だって、どこに連れられたか……」
「え?それって、どういう……なんで俺、ここで寝てたんですかね?一緒にいた人は……」
「何も覚えてない?はぁ……お前はお酒飲まされて、連れて行かれそうになってた」
「お酒……は飲んでないですけど……一応……未成年ですし……飲んでたのは……ジンジャエール……です」
「だからっ、ジンジャエールにお酒が入ってたってこと。騙されて飲まされたんだよ。たぶん、ホテルとかに連れ込まれて、お前今頃やられちゃってたよ」
そんなことが現実に起こるのだろうか……まるでドラマのようだ。ましてオレは女の子じゃないのに。
「信じられないって顔だな。男でもあるんだよ」
「あの、えっと、ありがとうございました。助けてくれて……」
「なーんか、危機感ないね」
そんなこと言われても、怖い目にあった訳でもないし、お酒は飲まされたかもしれないけど、楽しく喋って寝てしまった。そんな感じだった。それに仮にそうなっても、逃げられるんじゃないかとも思う。
そんなことをボンヤリ考えてると、徐に佑輔さんが近づいてきて、一瞬、身体への衝撃があったかと思ったら、気づいたらソファーに押し倒されて、馬乗りにされている。抵抗しようと手を伸ばすが、すかさず両手を押さえ込まれて、身動きが出来ない状態になった。至近距離から見つめられて、一瞬ドキリとする。
そして耳元で「こんなに簡単に押し倒されちゃうよ。自分は男だから、振り払えると思った?」そう囁かれると、ペロッと俺の耳を舐める。
「やめっ……んぐっ」
手で口を塞がれる。
「声出しても、もうだ誰もいないけど、夜中だからね」
えっ……と、これは、どういう状況……
佑輔さんは、やばい人から助けてくれたんじゃなかったの……?
ってか、全然振りほどけない……
これって、マズくない?俺、佑輔さんにやられちゃうの……?
急に、フッと口と体が軽くなる。俺の上に乗っかっていた佑輔さんが離れ、そっちを見るとニヤニヤと笑っている。
「あはっ。そんな顔するなよ。ジョーダンだよ」
「え……」
「お前、自分ならなんとかなるとか思ってただろ。どうだ、実際押し倒された気分は」
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でも、こんな騙し討ちするような真似しなくても……まぁ、そんなことは言えないけど……
「睨むなよ。悪かったって」
「じゃあ、お詫びに、来週ここでイベントがあるんだ。俺らのような性的マイノリティが集まるイベントで完全な紹介制だから、変な奴も来ないと思うし、それに招待するよ。あんな奴に捕まってるってことは、出会いを求めてるんだろ?」
「や……そんなことは……」
「あ、でもオレがさっきの続きしてもいいけど?」
「へ……は?何言って……」
「えーオレは、全然アリだけどね~。でもまあ、来週のイベントはおいでよ。俺の友達も来るし。好みの人とかいたら、紹介するよ」
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