5 / 50
台風の夜に⑶
しおりを挟む
「うわぁー」
「勇か?大丈夫か?」
リビングのドアが開いて、幸兄ちゃんの声が聞こえるのと同時にパッとまた、明るくなった。
「よかった。すぐついて。......ゆう?」
電気がついて幸兄ちゃんの顔を見て、安心した。
あれ......足にお水......
ショショショショショヮヮ....
温かいお水が、ボクの足を伝って水溜りを作る。
「あーあー。やっちまったか......」
我に返って、ギュッと強く握ったけど、もう全部出してしまったあとだった。
「幸?どうした?勇もいるのか?」
「あ、父さん。勇、漏らしちゃってタオルとってくれる?」
「ありゃりゃ。こりゃ大変。タオル......タオル」
「勇、大丈夫か?急に停電になってビックリして出ちゃったんだよな。拭けば大丈夫だから。気にすんなよ」
幸兄ちゃんと広くんがボクの体を拭いたり、雑巾を取りに行ったり、バタバタ動いてるのをぼんやり見つめていた。ボクに何か言ってたみたいだけど、頭は真っ白で何も聞こえないし、考えられなかった。
「とりあえず、僕がここの片付けをしておくから、幸は勇をお風呂に連れて行ってくれる?」
ボクのお尻にグルッとタオルを巻いて、幸兄ちゃんは、ひょいと抱き上げてお風呂場へ向かった。
「勇、ゆーう!」
何度か声をかけられ、やっと幸兄ちゃんの声が聞こえた。
「大丈夫か?シャワーで温まろうな。パジャマ脱げるか?」
やっと、トイレに間に合わず、漏らしてしまったことが鮮明に思い出され、涙が出てきた。
「ご、こめんなさい......ひっく......ごめんなさい......ぅぅぅ......」
「勇、ビックリしたら漏れちゃうこともあるんだよ。トイレに起きてきたんだろ?」
「ぅ......ぅ......ぅ」
「はい、足上げて......勇は謝ることないから。はい、こっちの足も......」
幸兄ちゃんは、ボクのビチョビチョになったズボンとパンツを素早く脱がしていく。
シャワーから出るとすっかり水溜まりはなくなって、キレイになっていた。リビングでは、広くんが温かいミルクを用意して待っていた。
「幸、ありがとう。もう、大丈夫だから先に寝ていいぞ」
「ふわぁぁ......ああ、そうするわ」と言ってボクの頭に手を置いた。
「ごめんなさい」
「勇、こういう時はありがとうだ」
「あ、ありがとう......ゴザイマス」
「うん。どういたしまして」
幸兄ちゃんはニッコリ笑って、部屋を出て行った。
ミルクを飲んで、トイレに行って、広くんと一緒に寝室に入る。自分の布団に入ろうとしたとき「今日は、こっちにおいで。一緒に寝よう」と広くんは布団を広げて手招きする。
「でも......」
今日は布団が濡れてる訳じゃないし......
「僕ちょっと寂しくてね。眠れないかもしれないから、勇とギューっとして寝たいんだ。勇に甘えさせて」
大人でも甘えてもいいんだ......
広くんはボクの心を読んだかのように、言葉を続ける。
「大人でも寂しいときは甘えるんだよ」
そう言うと、ボクの腕を引っ張って布団の中に入れて、背中に手を出してまわしてギューって抱きしめた。
トクン、トクン、トクン......
広くんはボクに甘えさせてって、言ったけどボクの方が広くんに甘えてるみたいだ。でも、それが心地良くて朝までぐっすり眠れた。
「勇か?大丈夫か?」
リビングのドアが開いて、幸兄ちゃんの声が聞こえるのと同時にパッとまた、明るくなった。
「よかった。すぐついて。......ゆう?」
電気がついて幸兄ちゃんの顔を見て、安心した。
あれ......足にお水......
ショショショショショヮヮ....
温かいお水が、ボクの足を伝って水溜りを作る。
「あーあー。やっちまったか......」
我に返って、ギュッと強く握ったけど、もう全部出してしまったあとだった。
「幸?どうした?勇もいるのか?」
「あ、父さん。勇、漏らしちゃってタオルとってくれる?」
「ありゃりゃ。こりゃ大変。タオル......タオル」
「勇、大丈夫か?急に停電になってビックリして出ちゃったんだよな。拭けば大丈夫だから。気にすんなよ」
幸兄ちゃんと広くんがボクの体を拭いたり、雑巾を取りに行ったり、バタバタ動いてるのをぼんやり見つめていた。ボクに何か言ってたみたいだけど、頭は真っ白で何も聞こえないし、考えられなかった。
「とりあえず、僕がここの片付けをしておくから、幸は勇をお風呂に連れて行ってくれる?」
ボクのお尻にグルッとタオルを巻いて、幸兄ちゃんは、ひょいと抱き上げてお風呂場へ向かった。
「勇、ゆーう!」
何度か声をかけられ、やっと幸兄ちゃんの声が聞こえた。
「大丈夫か?シャワーで温まろうな。パジャマ脱げるか?」
やっと、トイレに間に合わず、漏らしてしまったことが鮮明に思い出され、涙が出てきた。
「ご、こめんなさい......ひっく......ごめんなさい......ぅぅぅ......」
「勇、ビックリしたら漏れちゃうこともあるんだよ。トイレに起きてきたんだろ?」
「ぅ......ぅ......ぅ」
「はい、足上げて......勇は謝ることないから。はい、こっちの足も......」
幸兄ちゃんは、ボクのビチョビチョになったズボンとパンツを素早く脱がしていく。
シャワーから出るとすっかり水溜まりはなくなって、キレイになっていた。リビングでは、広くんが温かいミルクを用意して待っていた。
「幸、ありがとう。もう、大丈夫だから先に寝ていいぞ」
「ふわぁぁ......ああ、そうするわ」と言ってボクの頭に手を置いた。
「ごめんなさい」
「勇、こういう時はありがとうだ」
「あ、ありがとう......ゴザイマス」
「うん。どういたしまして」
幸兄ちゃんはニッコリ笑って、部屋を出て行った。
ミルクを飲んで、トイレに行って、広くんと一緒に寝室に入る。自分の布団に入ろうとしたとき「今日は、こっちにおいで。一緒に寝よう」と広くんは布団を広げて手招きする。
「でも......」
今日は布団が濡れてる訳じゃないし......
「僕ちょっと寂しくてね。眠れないかもしれないから、勇とギューっとして寝たいんだ。勇に甘えさせて」
大人でも甘えてもいいんだ......
広くんはボクの心を読んだかのように、言葉を続ける。
「大人でも寂しいときは甘えるんだよ」
そう言うと、ボクの腕を引っ張って布団の中に入れて、背中に手を出してまわしてギューって抱きしめた。
トクン、トクン、トクン......
広くんはボクに甘えさせてって、言ったけどボクの方が広くんに甘えてるみたいだ。でも、それが心地良くて朝までぐっすり眠れた。
0
あなたにおすすめの小説
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
月弥総合病院
御月様(旧名 僕君☽☽︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる