家族のかたち

yoyo

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寂しい3日間⑴

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「おはよう」

 カーテンを開けて眩しい朝日を入れながら、起き上がったボクに広くんは声をかける。

「おはよう……ございます」

 挨拶をしたボクと目が合い、広くんは手招きしてボクを呼び、力いっぱいボクを抱きしめる。そして「おはよう、勇。大好きだよ」と囁くんだ。
 ボクはすごく嬉しいんだけど、どうしたらいいのかわからなくて、立ち尽くしてしまう。これが、最近の毎朝の日課になっている。




「あ、幸。今日もお迎えお願いできるか?」

「ああ、今週はテスト期間でバイトも入れてないし、いつでも行けるよ」

「悪いな。帰りもいつもより遅くなると思うから、勇と先に食べてて。冷蔵庫に昨日の肉じゃがあるから」

「わかった。最近、忙しそうだね」

「ああ。でも、今日で落ち着くから」

   朝、広くんと幸兄ちゃんのそんな話しをしているのを、隣で聞きながらご飯を食べていた。









「勇くん、お迎え来たよ」

 玄関で勇を呼んでもらうとすぐにやって来た。

「お待たせ。帰ろう」

「うん」


 何だか、ちょっと残念そうな顔の勇。
     

「そんなしょぼくれた顔すんなよー。父さん、お仕事だって」

「違うの。違う……」


 ちょっとからかって、不貞腐れた声を出すと、勇は必死になって首を振る。

「アハっ。そんなに必死になんなくったって、わかってるって」

 そんな勇のことが可愛くて、勇の頭に軽く手を乗せる。夜ご飯も勇と2人。考えてみれば、勇と2人きりの夕食は初めてだった。



「広くん、お仕事忙しい?」

「ん?あー、そうみたいだな。何かイベントの準備してるみたい」

「イベント?」

「うん。オレもよく知らないんだけど、チラシとか?作ってるんだって」

「そっか……」

「さみしい?」

「えっ。いや……うーんと……えっ……と……」


 そう聞くと、困った顔をして言葉を詰まらせる。勇は、感情を表現するのが下手くそだ。
 素直に寂しいと言えばいいのに……



「寂しいときは、寂しいと言ってもいいんだよー」

「……さみしい……」

「ふふっ。うん、それでいい。でもね、今日で忙しいのも終わるみたいだよ」

「ほんと?」

「うん。今朝言ってた」


 勇の嬉しそうな顔を見て、今朝の父さんとの会話を思い出していた。







「最近、勇、失敗しなくなったよな。父さんの毎日のハグが効いてるんじゃない?」

「そうだといいんだけどな……」

「あれ。なんか心配?」

「うーん。勇はさ、僕が抱きしめても固まっちゃって、腕を回してくることないんだよ……僕の自己満足になってなきゃいいけど……」

「そう?ハグされると安心するし、考えすぎじゃない?」

「へー。幸はそうなの?じゃあ、久し振りにギューってするか?ほら、幸おいで」


 父さんはニヤニヤしながら、両手を広げる。


「……んなっ……何言ってんだよ。気持ちわりーな。勇とやってろよ」

「なーんだ、つれないな……でも、幸も気にかけて、よく勇の頭を撫でてくれてるよな」

「う、うるさい!もう、学校に行く!」


 後ろを向いて、足早に立ち去ろうとするオレに、後ろから声がかかった。

「ありがとな」

「……ん」

 照れ臭くて、そのまま立ち去った。



 父さんの気持ちは、ちゃんと勇に届いてるよ……少し元気になって、ご飯を食べ始めた勇を見てそう思った。
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