38 / 50
勇と幸司⑵
しおりを挟む
1時間目が終わっても、幸司は登校してこなくメッセージを送ってみたが、既読にならない。4時間目が終わっても何の反応もなく、電話をかけてみるが、それも同じだった。
今までこんなことはなかったのに……
「幸也。今日、幸司は休み?」
「うーん。連絡つかないんだよね……」
確か昨日は、おじさんが出張で勇くんと2人だったはずだ。何かあったんだろうか…。
幸司が勇くんの事で、不安定になっているのは知っていた。
先生には体調が悪いと言って、早退して幸司の家に急ぐ。家に着くまでの間も、電話してみたけど、やはり呼び出すばかりだった。
もう!!どうしたんだよ!
幸司の家の前で、インターホンを押すが全く出てくる気配がない。ただ、戸口に手をかけると少し開き、鍵はかかっていないようだ。少し中に入って、「幸司……」と呼んでみるが、やはり誰も出てこない。悪いと思いながら、靴を脱いで中に入り、リビングのドアを開けると、ソファーで丸くなっている幸司がいた。
「幸司……幸司!!」
少し大きめに声をかけると、幸司はゆっくり顔を上げる。
「幸也……?えっ……何で」
青い顔をした幸司が聞いてくる。
「何でって……連絡しても全然出ないしっ!心配するだろ!」
「あ……ケータイ……部屋だ……ごめん…えっ、もう昼過ぎ?!ちょっと休んだら、学校に行こうと思ってたのに……」
「そんな顔して何言ってんだよ……何があったの?」
「いや……」
「何もないなんて言うなよ!!」
こんな状態なのに、まだ頼ってくれない幸司にイラついて、つい大きな声を出してしまう。
「ごめん……」
謝って欲しいんじゃないのに、自分が幸司を責めているようで、自分に嫌気がさす。
「この間、僕のカッコ悪い部分見ただろ。どんな幸司でもボクは気にしないよ。今の幸司のしんどさを今度は僕がシェアする番だろ」
幸司の顔が歪んで、今にも泣き出しそうだ。だけど、ポツリポツリと話が、前後に飛びながらも話し始める。
勇くんと一緒に寝てお母さんの夢を見たこと、勇くんと一緒に、布団を濡らすほどのおねしょをしてしまったこと、勇くんに怒鳴ってしまったこと……途中からは、涙が止まらなく、小さい子のように嗚咽する幸司がいた。幸司は、おねしょをしたことも勇くんを怒鳴ってしまったことも、ものすごく自己嫌悪していて、とても、このままにしておける状態ではなかった。
「幸司、また僕の家においでよ。今日はおじさん帰ってくるんだろ。今、勇くんと一緒にいるのは、しんどいだろ。幸司は勇くんのことが好きだから、今は一緒にいるのは、辛いと思うよ」
「でも……」
「僕は、しんどそうにしている幸司を見てるのが、すごく辛い……僕の為に、家に来て……」
僕も泣きそうになりながら、幸司を抱きしめていた。
「ありがとう……幸也。オレ……最近……どんどんダメな自分になるみたいでこわい……たぶん……ずっと考えるのを避けてきた……母さんのことが関係してるんじゃないかと思ってるんだ……そこに向き合わないといけないと思ってる……でも、1人だと怖くて、先に進めない……幸也……一緒に……そばにいてほしい……」
そんなことは、お願いされるまでもない。僕は、抱きしめたまま何度も何度もうなづいた。
今までこんなことはなかったのに……
「幸也。今日、幸司は休み?」
「うーん。連絡つかないんだよね……」
確か昨日は、おじさんが出張で勇くんと2人だったはずだ。何かあったんだろうか…。
幸司が勇くんの事で、不安定になっているのは知っていた。
先生には体調が悪いと言って、早退して幸司の家に急ぐ。家に着くまでの間も、電話してみたけど、やはり呼び出すばかりだった。
もう!!どうしたんだよ!
幸司の家の前で、インターホンを押すが全く出てくる気配がない。ただ、戸口に手をかけると少し開き、鍵はかかっていないようだ。少し中に入って、「幸司……」と呼んでみるが、やはり誰も出てこない。悪いと思いながら、靴を脱いで中に入り、リビングのドアを開けると、ソファーで丸くなっている幸司がいた。
「幸司……幸司!!」
少し大きめに声をかけると、幸司はゆっくり顔を上げる。
「幸也……?えっ……何で」
青い顔をした幸司が聞いてくる。
「何でって……連絡しても全然出ないしっ!心配するだろ!」
「あ……ケータイ……部屋だ……ごめん…えっ、もう昼過ぎ?!ちょっと休んだら、学校に行こうと思ってたのに……」
「そんな顔して何言ってんだよ……何があったの?」
「いや……」
「何もないなんて言うなよ!!」
こんな状態なのに、まだ頼ってくれない幸司にイラついて、つい大きな声を出してしまう。
「ごめん……」
謝って欲しいんじゃないのに、自分が幸司を責めているようで、自分に嫌気がさす。
「この間、僕のカッコ悪い部分見ただろ。どんな幸司でもボクは気にしないよ。今の幸司のしんどさを今度は僕がシェアする番だろ」
幸司の顔が歪んで、今にも泣き出しそうだ。だけど、ポツリポツリと話が、前後に飛びながらも話し始める。
勇くんと一緒に寝てお母さんの夢を見たこと、勇くんと一緒に、布団を濡らすほどのおねしょをしてしまったこと、勇くんに怒鳴ってしまったこと……途中からは、涙が止まらなく、小さい子のように嗚咽する幸司がいた。幸司は、おねしょをしたことも勇くんを怒鳴ってしまったことも、ものすごく自己嫌悪していて、とても、このままにしておける状態ではなかった。
「幸司、また僕の家においでよ。今日はおじさん帰ってくるんだろ。今、勇くんと一緒にいるのは、しんどいだろ。幸司は勇くんのことが好きだから、今は一緒にいるのは、辛いと思うよ」
「でも……」
「僕は、しんどそうにしている幸司を見てるのが、すごく辛い……僕の為に、家に来て……」
僕も泣きそうになりながら、幸司を抱きしめていた。
「ありがとう……幸也。オレ……最近……どんどんダメな自分になるみたいでこわい……たぶん……ずっと考えるのを避けてきた……母さんのことが関係してるんじゃないかと思ってるんだ……そこに向き合わないといけないと思ってる……でも、1人だと怖くて、先に進めない……幸也……一緒に……そばにいてほしい……」
そんなことは、お願いされるまでもない。僕は、抱きしめたまま何度も何度もうなづいた。
0
あなたにおすすめの小説
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
月弥総合病院
御月様(旧名 僕君☽☽︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる