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第17話
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私は父の様子を横目で見ながら、レナード様への返事を書いた。
レナード様からの手紙を心待ちにしている自分が居る事に気がついている。ハロルドにつけられた心の傷は時間と……そしてこの可愛い栞に癒されている事は間違いない
……ただ。もし私の容姿をレナード様が気に入らなかったら?ナタリーを見て『あぁ、やはり妹の方が良かった』などと思われたら?そう考えると会うのが怖くなってしまう。
私は立ち上がって、部屋に置いてある鏡の前に立つ。
地味……よね。あまり特徴もないし……。特徴と言えば女性にしては少し高めの背丈ぐらいかしら。髪はいつもポニーテール。代わり映えしないけど、これが動きやすいもの。
レナード様が面食いでなければ良いな……と思いながら、私は椅子に戻った。
次の日にはナタリーは既にケロッとしていた。そして、
「婚前旅行?」
「あぁ。結婚式が延期になった事で完全にナタリーが臍を曲げてしまったからね。ちょうど父の友人の領地まで出掛ける用があったから、ついでにナタリーを連れて行く事にしたんだ。港町だし、観光客も多いから、ナタリーも喜ぶだろうと思って」
「そう。良いんじゃない?」
ハロルドにそう言われて、私は何と返すのが正解か分からなかった。母が許可したなら、私にわざわざ言う必要はないのに。
「ナタリーの我が儘にも困ってしまうよ。結婚式だって『もっと派手に!』とか『もっと豪華に!』って言われても、パトリック伯爵家には代々伝わる形式があるからね」
謎のルールが多数存在するパトリック伯爵家。私はそれに文句を言った事はないけれど、ナタリーなら言いかねない。
「ナタリーはその仕来りを知らないのだもの。貴方が教えてあげたら?」
私はそう言い残すと、その場を去ろうとハロルドに背を向けた。すると、ハロルドが私の手を掴む。
「なぁ、エリン。君からナタリーに言ってくれないか?僕が言っても泣いてしまって話にならないんだ」
私はその掴まれた手を振りほどき、
「私は貴方達の間に入るつもりはないわ。自分で何とかして。貴方がナタリーを選んだのだから」
と私はハロルドを残して歩き始めた。
「エリン……」
と呟くハロルドの声に、
「ハロルド!おまたせ~!今日はどこまでお買い物に行くの?」
と支度を終えたナタリーがハロルドを呼ぶ声が重なった。
……二人で勝手にやってくれ。
レナード様からの手紙を心待ちにしている自分が居る事に気がついている。ハロルドにつけられた心の傷は時間と……そしてこの可愛い栞に癒されている事は間違いない
……ただ。もし私の容姿をレナード様が気に入らなかったら?ナタリーを見て『あぁ、やはり妹の方が良かった』などと思われたら?そう考えると会うのが怖くなってしまう。
私は立ち上がって、部屋に置いてある鏡の前に立つ。
地味……よね。あまり特徴もないし……。特徴と言えば女性にしては少し高めの背丈ぐらいかしら。髪はいつもポニーテール。代わり映えしないけど、これが動きやすいもの。
レナード様が面食いでなければ良いな……と思いながら、私は椅子に戻った。
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「あぁ。結婚式が延期になった事で完全にナタリーが臍を曲げてしまったからね。ちょうど父の友人の領地まで出掛ける用があったから、ついでにナタリーを連れて行く事にしたんだ。港町だし、観光客も多いから、ナタリーも喜ぶだろうと思って」
「そう。良いんじゃない?」
ハロルドにそう言われて、私は何と返すのが正解か分からなかった。母が許可したなら、私にわざわざ言う必要はないのに。
「ナタリーの我が儘にも困ってしまうよ。結婚式だって『もっと派手に!』とか『もっと豪華に!』って言われても、パトリック伯爵家には代々伝わる形式があるからね」
謎のルールが多数存在するパトリック伯爵家。私はそれに文句を言った事はないけれど、ナタリーなら言いかねない。
「ナタリーはその仕来りを知らないのだもの。貴方が教えてあげたら?」
私はそう言い残すと、その場を去ろうとハロルドに背を向けた。すると、ハロルドが私の手を掴む。
「なぁ、エリン。君からナタリーに言ってくれないか?僕が言っても泣いてしまって話にならないんだ」
私はその掴まれた手を振りほどき、
「私は貴方達の間に入るつもりはないわ。自分で何とかして。貴方がナタリーを選んだのだから」
と私はハロルドを残して歩き始めた。
「エリン……」
と呟くハロルドの声に、
「ハロルド!おまたせ~!今日はどこまでお買い物に行くの?」
と支度を終えたナタリーがハロルドを呼ぶ声が重なった。
……二人で勝手にやってくれ。
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