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第49話
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ナタリーは自分の泣き落としが通じなかった事に少し驚いた様にレナード様を見た。しかし、そんな事でめげるナタリーではなかったようだ。
「レナード様すみません。少し目眩がして……助けていただいて、ありがとうございました。私、レナード様の様に逞しい男性に憧れてますの!」
キラキラした目でそう言うナタリーに、レナード様は答えた。
「体を鍛えたいのか?」
いやいや。ナタリーの言う『憧れている』はそう言う意味じゃない。自分が逞しい男性の様になりたい訳では決してない。
それを聞いた兄が我慢しきれず『プッ』と吹き出した。母も口元は笑っているが、流石に兄の様に吹き出す事はなかった。
ナタリーは「なっ……!」と言ったっきり絶句しているが、それ以上は何も言う事が出来ずに口をモゴモゴさせていた。
「私気分が優れないので失礼します!」
ナタリーは拗ねた様にそう言うと、私達に背を向けて部屋を出て行った。
母はその姿に盛大にため息をつくとレナード様に改めて謝罪した。
「レナード様本当にごめんなさい。失礼ばかり」
「?何故謝罪を?」
「挨拶もろくに出来ず……。これだからパトリック伯爵に苦い顔をされているというのに……」
「気分が悪いのだろう?体力をつけさせた方がいい」
レナード様の答えに兄はまた笑った。レナード様は本気でナタリーが気分が悪く、しかも体を鍛えたがっているのだと思っているようだ。兄の反応にもキョトンとしていた。……その様子はなんだか可愛らしくて私も微笑んでしまう。
ナタリーはああやって男性に甘えるのが得意だし、そうされた男性は大体鼻の下を伸ばしてデレデレするのだが……それが通用しない男性を、私は初めて見たかもしれない。
学園でも女友達より、男子生徒に囲まれている時間の多いナタリーにも、レナード様の反応は意外だったのだろう。
しかし、ナタリーは相変わらずだ。
結局、私にもレナード様にもきちんと挨拶もせず、その上父の事にも一言も触れなかったな……私はそう思って、心の中でため息をついたのだった。
夕食はナタリー抜きで和やかに過ぎた。何故ナタリーが不在だったのか……ナタリーの機嫌を取るためにハロルドが外食に連れ出したからだ。
「お父様。私、クレイグ辺境伯のご子息に嫁ぎました。彼がもうすぐ辺境伯を継ぐので、私も辺境伯夫人になります。……私に務まるかしら?」
父の寝台の横の椅子に腰掛けて、父に話しかける。
父は私の問いに答える様に、ゆっくりと瞬きをした。
言葉は話せなくても、こうして対話が出来るのだと母に教えて貰った。
医者の話では、元に戻る可能性はゼロに近いらしい。母はそれでも良いと嬉しそうにそう言っていた。
「レナード様すみません。少し目眩がして……助けていただいて、ありがとうございました。私、レナード様の様に逞しい男性に憧れてますの!」
キラキラした目でそう言うナタリーに、レナード様は答えた。
「体を鍛えたいのか?」
いやいや。ナタリーの言う『憧れている』はそう言う意味じゃない。自分が逞しい男性の様になりたい訳では決してない。
それを聞いた兄が我慢しきれず『プッ』と吹き出した。母も口元は笑っているが、流石に兄の様に吹き出す事はなかった。
ナタリーは「なっ……!」と言ったっきり絶句しているが、それ以上は何も言う事が出来ずに口をモゴモゴさせていた。
「私気分が優れないので失礼します!」
ナタリーは拗ねた様にそう言うと、私達に背を向けて部屋を出て行った。
母はその姿に盛大にため息をつくとレナード様に改めて謝罪した。
「レナード様本当にごめんなさい。失礼ばかり」
「?何故謝罪を?」
「挨拶もろくに出来ず……。これだからパトリック伯爵に苦い顔をされているというのに……」
「気分が悪いのだろう?体力をつけさせた方がいい」
レナード様の答えに兄はまた笑った。レナード様は本気でナタリーが気分が悪く、しかも体を鍛えたがっているのだと思っているようだ。兄の反応にもキョトンとしていた。……その様子はなんだか可愛らしくて私も微笑んでしまう。
ナタリーはああやって男性に甘えるのが得意だし、そうされた男性は大体鼻の下を伸ばしてデレデレするのだが……それが通用しない男性を、私は初めて見たかもしれない。
学園でも女友達より、男子生徒に囲まれている時間の多いナタリーにも、レナード様の反応は意外だったのだろう。
しかし、ナタリーは相変わらずだ。
結局、私にもレナード様にもきちんと挨拶もせず、その上父の事にも一言も触れなかったな……私はそう思って、心の中でため息をついたのだった。
夕食はナタリー抜きで和やかに過ぎた。何故ナタリーが不在だったのか……ナタリーの機嫌を取るためにハロルドが外食に連れ出したからだ。
「お父様。私、クレイグ辺境伯のご子息に嫁ぎました。彼がもうすぐ辺境伯を継ぐので、私も辺境伯夫人になります。……私に務まるかしら?」
父の寝台の横の椅子に腰掛けて、父に話しかける。
父は私の問いに答える様に、ゆっくりと瞬きをした。
言葉は話せなくても、こうして対話が出来るのだと母に教えて貰った。
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