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第84話
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私は窓際にズルズルとへたり込んだ。
レナード様に限ってそんな事あるわけないと思う気持ちはあるのだが、足に力が入らない。
すると、大きな足音と共にレナード様がなだれ込んで来た。
「エリン!!誤解だ!!」
「ヒッ!……レナード様?」
その勢いに私は驚いて変な声が出てしまった。
……というか、瞬間移動?
先ほどまで外を歩いていたレナード様が何故、此処にいるのだろう?
此処は二階。もしや、レナード様は空でも飛べるのだろうか?
窓の下にしゃがみ込んだ私に目線を合わせる様にレナード様もしゃがみ込む……が、私が見上げなければ視線は合わない。
レナード様、改めて大きいわ……とこんな時に違う事を考えて無意識に現実逃避をしているようだ。
「エリン、よく聞いてくれ。さっき君が見た光景は君が考えている様なものではない!」
「私が考えていること……」
レナード様を信じきれない心を読まれてしまった様で、私は居た堪れなくなった。
「君の妹がこっそりと逃げ出そうとしていたのを、俺が厩舎からの帰りに見つけたんだ。それで引き止めて屋敷に連れて帰っていただけだ」
「……あんなにくっついて……ですか?」
抑えきれない気持ちが、つい口に出てしまう。
「違う!!それはあの女が!!」
『あの女』と言った事を不味いと思ったのか、それともその後に続く言葉を言いたくないのか……レナード様はハッとした表情で自分の口を手で塞いだ。
「何が違うのです?」
「す、すまん」
「謝らなければならない事なのですか?」
「違う!!あ~もう!さっきから俺は『違う』しか言ってないな。……エリン……君の妹の事を……その、悪く言ってしまう事になるが良いか?」
レナード様は自分の額に手を当てたかと思うと、また私に視線を移して、恐る恐る尋ねた。
「真実をお話いただけるなら」
「その……言い難いのだが、ナタリー嬢は、『本来なら自分が貴方に嫁ぐはずだったのに』と。そして、その……『こんな魅力的な人だと思わなかった。今からでも遅くないから、自分をハロルドから奪ってくれないか』と言われて……腕を取られたのだ。俺は直ぐに振り払った。だが、その一瞬を君に見られて……」
レナード様の顔は本当に焦っている様だった。額に汗もかいている。
瞬間移動かと思う程の早さで此処に走って来てくれたのだろう。そう思うと、心が少しずつ解れていく。
私はレナード様の額の汗をゆっくりと手を伸ばしてそっと拭った。
レナード様に限ってそんな事あるわけないと思う気持ちはあるのだが、足に力が入らない。
すると、大きな足音と共にレナード様がなだれ込んで来た。
「エリン!!誤解だ!!」
「ヒッ!……レナード様?」
その勢いに私は驚いて変な声が出てしまった。
……というか、瞬間移動?
先ほどまで外を歩いていたレナード様が何故、此処にいるのだろう?
此処は二階。もしや、レナード様は空でも飛べるのだろうか?
窓の下にしゃがみ込んだ私に目線を合わせる様にレナード様もしゃがみ込む……が、私が見上げなければ視線は合わない。
レナード様、改めて大きいわ……とこんな時に違う事を考えて無意識に現実逃避をしているようだ。
「エリン、よく聞いてくれ。さっき君が見た光景は君が考えている様なものではない!」
「私が考えていること……」
レナード様を信じきれない心を読まれてしまった様で、私は居た堪れなくなった。
「君の妹がこっそりと逃げ出そうとしていたのを、俺が厩舎からの帰りに見つけたんだ。それで引き止めて屋敷に連れて帰っていただけだ」
「……あんなにくっついて……ですか?」
抑えきれない気持ちが、つい口に出てしまう。
「違う!!それはあの女が!!」
『あの女』と言った事を不味いと思ったのか、それともその後に続く言葉を言いたくないのか……レナード様はハッとした表情で自分の口を手で塞いだ。
「何が違うのです?」
「す、すまん」
「謝らなければならない事なのですか?」
「違う!!あ~もう!さっきから俺は『違う』しか言ってないな。……エリン……君の妹の事を……その、悪く言ってしまう事になるが良いか?」
レナード様は自分の額に手を当てたかと思うと、また私に視線を移して、恐る恐る尋ねた。
「真実をお話いただけるなら」
「その……言い難いのだが、ナタリー嬢は、『本来なら自分が貴方に嫁ぐはずだったのに』と。そして、その……『こんな魅力的な人だと思わなかった。今からでも遅くないから、自分をハロルドから奪ってくれないか』と言われて……腕を取られたのだ。俺は直ぐに振り払った。だが、その一瞬を君に見られて……」
レナード様の顔は本当に焦っている様だった。額に汗もかいている。
瞬間移動かと思う程の早さで此処に走って来てくれたのだろう。そう思うと、心が少しずつ解れていく。
私はレナード様の額の汗をゆっくりと手を伸ばしてそっと拭った。
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