乙女ゲームに転生しましたが、パラ上げで心が折れそうです。

『AKARI』

７月になった。
今月は『AKARI』と知り合うイベントが発生するはずだ。
でも日にちは決まってないと攻略サイトに書いてあった気がする。

とりあえず、私は毎日呟く事にする。
確か、『AKARI』とは、好きな小説家が共通だった事で仲良くなっていったはず。

……ゲームではその作家の名前はなかったが…呟くには、具体的に名前を書かなければならないよな。…で、誰？

私は自室の本棚を見る。


小説が好きなだけあって、たくさん並んでいる。その本棚の作品の中で１番多くを占める作家と２番目に多い作家の名前を呟く事にした。
２人書くのは、一応保険だ。

そこでふと気がつく。
作者の話をするという事は、作品を読んでなかったら無理だと言う事だ。

確かに自室にはたくさんの本が並んでいるが、実際私が読んだわけじゃない。
ゲームではただの背景だ。

でも、今は違う。
絵に書かれた本棚ではなく、ぎっしりと本が詰まった本棚だ。

………これを全部読むの？無理じゃない？

私はその日から、パラ上げとは別に、小説を読むというノルマが加わった。

パラ上げだけでも地獄なのに、私…何やってんだろ？

とりあえず、名前を呟いた作家の作品から読んでみる。

そして、感想をそれっぽく呟く。
もちろん読みきってからでは時間がかかりすぎる事に気づいた私は、あらすじをネットで調べる事にした。
これなら、ある程度効率的に進められそうだ。

２週間程毎日頑張って呟いた。
そうしたら、やっと『AKARI』からDMが届いたのだ。
やった！なんとかこのイベントはクリアできそうだ。
『AKARI』が好きな作家は本棚では２番目に多い作家だった。良かった保険かけといて。

私はそこからは、その作家の作品に絞って読み漁った。

なんとか『AKARI』と共通の話題で話を続ける事が出来ている。

私は初めて、ゲーム上のイベントで手応えを感じていた。