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睡眠不足
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「…花音ちゃん、大丈夫?なんだか疲れてるみたいだけど…」
朝、寝不足を隠す事も出来ず、隈の酷い顔でダイニングに現れた私を見て江梨子さんが心配そうな顔をする。
「うん。ちょっと睡眠不足かな?でも大丈夫だよ。」
そうは言うが、きっと心配を解消出来る程の声色ではないだろう。
このところ、連日、勉強と読書で睡眠時間がゴリゴリと削られている。
『AKARI』とは、なんとか交流が続いているが、まだ、自分の悩みを吐露する程にはなれていない。
なので専ら小説の話をしなくてはならない為、読書に追われる毎日だ。
もう活字を読むのが苦痛になってきた。
でも、今日はその作家の新刊が出ると『AKARI』に教えてもらった。
『楽しみだね~』なんて心にもない返信をしてしまったから、今日は帰りに書店に寄らなければならない。
「毎日、遅くまで起きてるみたいだけど、お勉強?あんまり、無理しちゃダメよ。」
「うん。今日はなるべく早く寝るね。」
…嘘だ。新刊を読まねばならない。
私は放課後、バスに乗り、駅の近くの大型書店へ行く。
そこで、なんと!
本郷先輩に会う事が出来た。
「あれ?坂崎さんも、この作家の作品好きなの?」
先輩は私と同じように、新刊を買いに来たようだ。
『AKARI』の中身は先輩なのだから、ここに先輩がいる事にはなんの疑問もないが、ゲーム中は『AKARI』の正体なんて知らないのだ。
そして、先輩も私が連絡を取り合っている『ベル』だとは知るよしもない。
「はい。先輩もお好きなんですか?」
「ああ、この作家の言葉選びが好きでね。読んでいて気持ちが良いから。」
ああ、そういえば『AKARI』もそう言っていた。
この〃書店で偶然鉢合わせ〃はゲームでもあるイベントなのだろうか?
これは、『AKARI』と先輩が同一人物であるという匂わせ?
ああ、こんなことなら、実況動画は、本郷先輩のをいの一番に見るべきだった。
後悔先に立たず。
私達は一緒にバスに乗る。
自然と小説の話になるが、私が『AKARI』と『ベル』として話した内容は話せない。私が『ベル』とバレるのは不味いだろう。
そう思うと、考え過ぎて、あまり会話を弾ませる事が出来なかった。
せっかく先輩との接触の機会なのに、もったいない事をしてしまった。
そう反省しながら家に帰り、私は江梨子さんにまた翌朝も心配をかける羽目になるだろうと思うと、思わず溜め息をついた。
朝、寝不足を隠す事も出来ず、隈の酷い顔でダイニングに現れた私を見て江梨子さんが心配そうな顔をする。
「うん。ちょっと睡眠不足かな?でも大丈夫だよ。」
そうは言うが、きっと心配を解消出来る程の声色ではないだろう。
このところ、連日、勉強と読書で睡眠時間がゴリゴリと削られている。
『AKARI』とは、なんとか交流が続いているが、まだ、自分の悩みを吐露する程にはなれていない。
なので専ら小説の話をしなくてはならない為、読書に追われる毎日だ。
もう活字を読むのが苦痛になってきた。
でも、今日はその作家の新刊が出ると『AKARI』に教えてもらった。
『楽しみだね~』なんて心にもない返信をしてしまったから、今日は帰りに書店に寄らなければならない。
「毎日、遅くまで起きてるみたいだけど、お勉強?あんまり、無理しちゃダメよ。」
「うん。今日はなるべく早く寝るね。」
…嘘だ。新刊を読まねばならない。
私は放課後、バスに乗り、駅の近くの大型書店へ行く。
そこで、なんと!
本郷先輩に会う事が出来た。
「あれ?坂崎さんも、この作家の作品好きなの?」
先輩は私と同じように、新刊を買いに来たようだ。
『AKARI』の中身は先輩なのだから、ここに先輩がいる事にはなんの疑問もないが、ゲーム中は『AKARI』の正体なんて知らないのだ。
そして、先輩も私が連絡を取り合っている『ベル』だとは知るよしもない。
「はい。先輩もお好きなんですか?」
「ああ、この作家の言葉選びが好きでね。読んでいて気持ちが良いから。」
ああ、そういえば『AKARI』もそう言っていた。
この〃書店で偶然鉢合わせ〃はゲームでもあるイベントなのだろうか?
これは、『AKARI』と先輩が同一人物であるという匂わせ?
ああ、こんなことなら、実況動画は、本郷先輩のをいの一番に見るべきだった。
後悔先に立たず。
私達は一緒にバスに乗る。
自然と小説の話になるが、私が『AKARI』と『ベル』として話した内容は話せない。私が『ベル』とバレるのは不味いだろう。
そう思うと、考え過ぎて、あまり会話を弾ませる事が出来なかった。
せっかく先輩との接触の機会なのに、もったいない事をしてしまった。
そう反省しながら家に帰り、私は江梨子さんにまた翌朝も心配をかける羽目になるだろうと思うと、思わず溜め息をついた。
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