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70話
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「結局、丸め込まれちゃったわ」
と私が言えばマーサは、
「いいじゃないですか!ずっと虐げられていたんでしょう?幸せを見せつけてやりましょうね」
と何故か腕まくりをした。
牢に向かうのだから、あまり派手なドレスはどうかと思うのだが……。
私の心配を良い意味で裏切って、上品で尚且つ質の良いアイボリーのデイドレスをマーサは着付けてくれた。良かった……。
私と陛下は私の元家族……いや家族だったのかも怪しいが………を収監している貴族牢へと向かった。
「馬車に乗るのですね」
「馬で行くか?俺と密着したいのならそうするが?」
「そう言う意味ではありません。結構離れているのだな……と思いまして」
「あぁ。貴族牢にも位があるんだよ。お前の……知り合いは伯爵と離縁したから男爵位だ。あの森の中に牢がある」
私と横並びで馬車に乗りながら陛下は外を指差した。『家族』という言葉を使わなかった事に陛下の優しさを感じる。言葉は悪いが陛下は優しい。タリス村で会った時の威圧感は半端なかったのに、今ではそんな様子は全く無い。
「鬱蒼とした森ですね」
「あぁ、夜は獣がうろついているから、近寄るなよ?俺と一緒なら良いけど」
「一緒でも来ませんよ」
なんて会話をしていたら、牢に着いたようだ。
はぁ……気が重い。
牢に近づくと、前に立っている護衛が私達に頭を下げる。何だろう……疲労感が否めない。
そして護衛は牢の方へと声を掛ける。
「国王陛下、王妃陛下の面会だ。並べ!」
「煩いわね!偉そうに!いい加減、ここから出しなさいよ!」
まだ彼女達が見える場所には立っていないが、声で分かる。イライザだ。……案外元気そうで何よりだ。
「つべこべ言うな!」
「貴方、誰に口を聞いているの?私はマギー・ドノバン伯爵夫人よ!」
いやいや、もう貴女はマギー・ダズリンよ?ダズリン家が貴女を見放していなければ……だけど。と私は心の中で独りごちた。
後ろでずっと聞こえているのはジョアンナのすすり泣きだろう。護衛が疲労している意味がこの数分で理解出来た気がする。
「煩い奴らだ」
と陛下が私の三歩前を歩く。私は少しだけ俯いていた。……というか、どんな顔をして会えば良いのか……。『ジャーン!』と驚かせれば良いのだろうか。正解がわからない。すると牢の中から、
「王太子殿下!!お待ちしておりました!今日こそお話を聞いて下さい!」
「王太子殿下!娘が薬を盛るなど!何かの間違いですわ!即刻、ここから出して下さい!」
「うううっ………もう嫌………お家に帰りたい……」
三者三様の様子に内心『変わらないなあ』と思いながら、私も牢の前に立った。
と私が言えばマーサは、
「いいじゃないですか!ずっと虐げられていたんでしょう?幸せを見せつけてやりましょうね」
と何故か腕まくりをした。
牢に向かうのだから、あまり派手なドレスはどうかと思うのだが……。
私の心配を良い意味で裏切って、上品で尚且つ質の良いアイボリーのデイドレスをマーサは着付けてくれた。良かった……。
私と陛下は私の元家族……いや家族だったのかも怪しいが………を収監している貴族牢へと向かった。
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「そう言う意味ではありません。結構離れているのだな……と思いまして」
「あぁ。貴族牢にも位があるんだよ。お前の……知り合いは伯爵と離縁したから男爵位だ。あの森の中に牢がある」
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「一緒でも来ませんよ」
なんて会話をしていたら、牢に着いたようだ。
はぁ……気が重い。
牢に近づくと、前に立っている護衛が私達に頭を下げる。何だろう……疲労感が否めない。
そして護衛は牢の方へと声を掛ける。
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「煩いわね!偉そうに!いい加減、ここから出しなさいよ!」
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後ろでずっと聞こえているのはジョアンナのすすり泣きだろう。護衛が疲労している意味がこの数分で理解出来た気がする。
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「王太子殿下!娘が薬を盛るなど!何かの間違いですわ!即刻、ここから出して下さい!」
「うううっ………もう嫌………お家に帰りたい……」
三者三様の様子に内心『変わらないなあ』と思いながら、私も牢の前に立った。
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