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第46話
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「王都で……という意味ですよね?」
と尋ねる私に、
「いえ。この屋敷で、です。ディーンは生前いつも、私と暮らせたらと言っていました。……もうディーンは居ませんが、ここで暮らす事をディーンは天国で喜んでくれると思うの」
と可愛らしく微笑む彼女の顔を私は凝視してしまった。
「あの……この家の者もテオドール様の事を知りません。知っているのはごく僅か……私とギルバート、そしてここに居るアーロンだけです。ここで暮らすと言うのも些か難しいかと」
「あぁ。その事でしたら。テオドールは……ほら見せてあげて」
とアイリスさんは隣のテオドール様へそう言うと、テオドール様は面白くなさそうにポケットから眼鏡を取り出して、それを掛けた。
牛乳瓶の底の様に分厚い眼鏡は、彼の特徴的な金色の瞳をすっかり隠してしまった。
「領地でもテオドールはこうして過ごしていましたから。だって、テオドールはそっくりでしょう?ディーンに。今はちゃんとテオドールがディーンの息子だと分かる様に眼鏡を外しておいただけですわ」
と、アイリスさんは、何故か挑発的に私に微笑んだ。
……子ども産んだ方の勝ちって事?別に勝ち負けの問題じゃないけど、何となく腹が立つ。
私は彼女の隣に無言で座るテオドール様の方へと話かけた。
「テオドール様、貴方はどうお考えですか?少なくとも……今まで領地では公爵様のご子息である事はバレていないようですが、危険を犯してまでもこの王都で暮らしたいと、そうお思いでしょうか?」
と私が問えば、
「……俺は、どうでも良い」
と投げやりな答えが返ってきた。すると、
「ステラさん、テオドールは私の言うことに全て賛成してくれておりますの。もう私達には行く宛はないのです。それに……テオドールはこの公爵家の正当な跡取り。ここに馴染んでおいても何にも損は御座いませんでしょう?」
とアイリスさんは可愛らしく首を傾げた。
と尋ねる私に、
「いえ。この屋敷で、です。ディーンは生前いつも、私と暮らせたらと言っていました。……もうディーンは居ませんが、ここで暮らす事をディーンは天国で喜んでくれると思うの」
と可愛らしく微笑む彼女の顔を私は凝視してしまった。
「あの……この家の者もテオドール様の事を知りません。知っているのはごく僅か……私とギルバート、そしてここに居るアーロンだけです。ここで暮らすと言うのも些か難しいかと」
「あぁ。その事でしたら。テオドールは……ほら見せてあげて」
とアイリスさんは隣のテオドール様へそう言うと、テオドール様は面白くなさそうにポケットから眼鏡を取り出して、それを掛けた。
牛乳瓶の底の様に分厚い眼鏡は、彼の特徴的な金色の瞳をすっかり隠してしまった。
「領地でもテオドールはこうして過ごしていましたから。だって、テオドールはそっくりでしょう?ディーンに。今はちゃんとテオドールがディーンの息子だと分かる様に眼鏡を外しておいただけですわ」
と、アイリスさんは、何故か挑発的に私に微笑んだ。
……子ども産んだ方の勝ちって事?別に勝ち負けの問題じゃないけど、何となく腹が立つ。
私は彼女の隣に無言で座るテオドール様の方へと話かけた。
「テオドール様、貴方はどうお考えですか?少なくとも……今まで領地では公爵様のご子息である事はバレていないようですが、危険を犯してまでもこの王都で暮らしたいと、そうお思いでしょうか?」
と私が問えば、
「……俺は、どうでも良い」
と投げやりな答えが返ってきた。すると、
「ステラさん、テオドールは私の言うことに全て賛成してくれておりますの。もう私達には行く宛はないのです。それに……テオドールはこの公爵家の正当な跡取り。ここに馴染んでおいても何にも損は御座いませんでしょう?」
とアイリスさんは可愛らしく首を傾げた。
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